研究課題/領域番号 |
23K25393
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補助金の研究課題番号 |
23H00696 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
山田 昌久 東京都立大学, 人文科学研究科, 客員教授 (70210482)
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研究分担者 |
岡田 憲一 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 係長 (20372170)
篠原 和大 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (30262067)
那須 浩郎 岡山理科大学, 基盤教育センター, 准教授 (60390704)
白石 哲也 山形大学, 学士課程基盤教育院, 准教授 (60825321)
上條 信彦 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (90534040)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2026年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 水田稲作技術 / 実験考古学 / 先史期の水田稲作実験 / 耕起・不耕起稲作 / 植密度 / 栄養農法 / 水田用水系利用漁労・鳥猟 / 水田雑草 / 生産量の数値比較 / 弥生・古墳時代の水田稲作 / 生産力の数値化 / 農具変化と技術変化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の特徴は、全国各地の史跡公園やその周辺に実験水田を作り、史跡活用事業の一翼を担っている点にある。各実験水田では、地元の研究者や学生そして多くの市民の参加を得て、研究が進められている。昨年までに蓄積した実験研究の内容やシンポジウムの動画・要旨集などは、「水田稲作比較研究プロジェクト」のHPにて公開している。 幸いにも日本で原種に近いものされているイネを使用することができ、可能な限り当時の農法に近い技術での実験が安定して実施されている。 昨年度の成果は、すでに複数の史跡博物館で公開展示されている。
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研究実績の概要 |
水田実験について研究代表者と分担者で宮崎県から青森県に至る11か所の実験地での実験を行った。実験内容は①耕起・不耕起の対比実験、②植密度の差異での分けつ数の比較実験、③石庖丁使用痕観察による収穫技術の検証実験、④杵・臼・箕などによる脱穀脱ぷなどの実験などに及んだ。 各地の実験水田の水利条件が、まだ同じに設定できていないものがあり、研究1年目は各地で研究分担者によって異なるテーマの実験を行うこととした。 研究会をリモートで毎月開催し、各実験水田の研究状況を共有しながらの研究展開ができ、12月(愛知朝日貝塚ミュージアム)と3月(静岡登呂遺跡博物館)において、公開シンポジウム・公開研究会を開催した。代表者・分担者のほかに研究協力者の研究成果の発表がなされた。 実験研究の展開に並行して、遺跡の水田址情報や、日本やアジアの民族誌情報の収集が行われ、実験成果との比較情報を得ることに努めた。 別途作業用の復元鍬鋤の製作を依頼し、鉄製刃を付けた鍬鋤を作成したので、24年度の実験に造田地の土質や葦などの草地の開発に関する実験の準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請研究に関して、申請グループは研究協力体制を確保し、試行研究を3年間行って研究内容を共有し、実験項目を共有してきた。実験水田も準備し(今年度、生態系別・地域別の比較のために、2か所の実験水田を作った)実験農具も整い、各実験水田での課題が明確化できていた。 各地の研究協力体制は、代表者・分担者のともに実験を行う大学院生や地域の遺跡公園サポーターで3年間の実績をもとに整えられていたので、実験の遂行や実験成果のデータ化などの作業は順調に進んだ。 また、遺跡誌に加えて民族誌研究を展開している金沢大学の小林正史・京都大学の村上由美子氏の協力を得て水田稲作の民族技術をもとに実験研究の解釈が進められた。その結果、民族誌の調整技術と研究分担者の上条氏に加え朝日貝塚ミュージアムの学芸員原田幹氏の器具使用研究の対比が進み、遺物の観察研究を超えた技術研究が遂行できた。 水田用水系が日本列島各地に整えられた弥生時代・古墳時代には、水田稲作の生業は単なるイネ生産に止まらず、漁労・鳥猟・田螺漁などの生産が連動した可能性が高く、研究会の中に、そうした生業活動の遺跡情報や民族誌情報を加え、研究代表者の山田は福井三方湖畔の実験水田でのフナ・コイの収穫実験も行った。春に休耕田や用水系内に産卵したフナやコイが秋には40㎏ほどの魚となって収穫された。 以上所の研究が順調に進み当初の計画を超えた成果が蓄積されたが、その成果をもとに24年度研究に課題が生まれた。九州から青森の実験水田の気候差・生態系差に関する調整を図る実験田の改変・開墾などが浮かび上がり、すでに24年4月に新たな造田作業も実施の準備が整った。23年度に製作した実験農具を使用しての鉄刃鍬鋤と木刃鍬鋤での効率比較実験が予定されている。
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今後の研究の推進方策 |
23年度までに実験に使う鍬鋤類、石包丁や鎌などの収穫具、杵・臼・箕笊などの調整具の製作がほぼ整ったので、24年度からは水田稲作実験に加えて収穫・調整の実験の充実を図ることにしている。これらの技術体系こそが水田稲作が展開した弥生時代古墳時代の生活技術研究のセットとしての研究になる。 本申請研究が従来の弥生時代の稲作研究を止揚することを目指したことが、具体的に動き出せるようになったといえる。 申請研究は、①従来の弥生時代稲作史観を超える生業研究や、②生産量の数値化比較などによる「生産経済」の実態研究、を目指す「実験研究」を起点に「遺跡誌研究」「民族誌研究を援用した形で推進する予定であり、実験地・実験課題設定・実験作業協力者・民族誌研究との照合などを経た推進方策によって24年度は順調に展開することが見込まれる。 一方、韓国・台湾の研究者との共同研究が芽生え始めている(水田稲作技術比較研究プロジェクト『弥生古墳の水田稲作復元研究会・公開シンポジウム資料集』2023.12=代表者山田刊行、国際シンポジウム『農耕空間の多様性と弥生農耕の形成』2024.3=分担者篠原刊行、国際シンポジウム『日韓における史跡の整備と活用の今後登呂遺跡・松菊里遺跡を例に』2024.3=登呂博物館・山田・篠原参画、)。 日本の弥生時代に展開した水田稲作技術群研究の東アジアでの位置づけの方向性も見えてきている。
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