• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

「世界」の平和を守るピラミッド:観念体系の形成と発展による誕生と更新

研究課題

研究課題/領域番号 23K25395
補助金の研究課題番号 23H00698 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分03050:考古学関連
研究機関京都外国語大学

研究代表者

嘉幡 茂  京都外国語大学, 京都外国語大学ラテンアメリカ研究センター, 客員研究員 (60585066)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2025年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
キーワード古代メキシコ / ピラミッド / 世界観 / 都市 / トラランカレカ / メソアメリカ / シンボリズム / 物質化 / 古代都市
研究開始時の研究の概要

本研究の出発点は、古代メキシコのピラミッドは「世界の平和を守るため」に建造されたのではないかとの「問い」にある。先行研究は、為政者を埋葬し、彼らの権勢を象徴し、権威と関連した特定の神を崇める目的を指摘する。しかし、研究代表者らの研究により、ピラミッドは死者や特定の権威集団よりも、生者のために存在したことが解明されつつある。古代人が認知した世界(象徴空間)、そして、古代人が日々の暮らしを行う世界(実社会)の両者を守るために建造されたとの仮説を検証する。また、観念の体系化とその変質によりピラミッドが更新されたことを実証する。そのため政治・経済・宗教的拠点であったトラランカレカ遺跡で調査を行う。

研究実績の概要

古代メソアメリカ文明(前2000~後1521年)のピラミッドは、古代人が神々と交信するために建造された身体機能を拡張させる装置であり、この社会的重要性から各集団のシンボルとして機能したと考えられる。そして、「世界の平和」を守るために開発・建造されたとの仮説を検証することが本研究の目的である。古代人が認知した「世界(象徴空間)」、そして、古代人が日々の暮らしを行う「世界(実社会)」の両者を守るために、ピラミッドは存在したとの観点から研究を進めている。
現在まで、ピラミッドは身体機能の拡張を果たす装置であるとの観点から研究されてこなかった。それは、エジプトのピラミッドや我が国の古墳のように、為政者を埋葬する装置であるとの前提から研究が進められているからである。メソアメリカにおけるピラミッドの建造は、そもそも為政者が登場する前から始まっていた。この事実を詳細に把握するため、まず先行研究の精査を行った。
次に、当初の予定通りトラランカレカ遺跡のピラミッドBで発掘調査を実施し、仮説を実証するためのデータ収集を行った。結果、雨乞い儀礼を行ったと推測できる埋納遺構、トラルテクトリ神( Tlaltecuhtli;大地の聖獣)を表現したと考えられるモザイク遺構、人身御供の埋葬墓などが検出された。ピラミッドが単なる墓として機能したという従来の常識を覆すデータであると言える。一方、出土遺物(主に土器、黒曜石、土偶、建築資材)の肉眼・科学分析を行い、各遺構の正確な用途を理解するための研究も実施した。
他方、本課題研究では地域支援も視野に入れた活動も行っている。地方博物館に調査の成果を提供し感謝状が贈られた(2023年8月21日)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

【研究実績の概要】で述べたように、予定していた活動の大部分を実施することができ、また貴重なデータを収集することができたため、この評価を選択した。現在は、次年度の調査を実施するため、メキシコ国立考古学審議会に提出する報告書を作成中である。

今後の研究の推進方策

本研究の目的を達成するため、2年間で以下の4つの課題(①~④)を遂行していく。令和5年度と同様に、トラランカレカ遺跡を中心に研究を実施する。①自然地形を利用した祭壇の発生過程と時期の解明、②人工的に建造された初期ピラミッドの発生過程と時期の解明、③初期ピラミッドの更新過程と多様化に関する研究、④古代人の暮らしと交易網の変化に関する研究。
令和6年度は、特に課題③の解明を進める。
本年度は「ピラミッドB(最終時期:東西約62m×南北約41m×高さ約33m)」で大規模な発掘調査を行い、多数の遺物ならびに重要な遺構を検出した。令和6年度は、メキシコにおいてこれらの分析を中心に課題の解明に努める。現地では出土遺物の肉眼分析だけではなく、主に土器、石器、建築資材の科学分析(蛍光X線(XRF))とX線回析(XRD)等)をメキシコ国立自治大学(UNAM)・物理学研究所で実施する予定である。さらに、当該遺跡で表面採集そして測量調査を行い、データの収集を行う。これに加え、④の課題を進めるためトラランカレカ遺跡近郊に位置する遺跡を訪問する。
他方、遺跡のあるサン・マティアス・トラランカレカ村は部外者に対して閉鎖的であり、外国人の調査を歓迎しない傾向にある。地域との協力関係を必要とする本課題研究において、社会的コンセンサスを得ることは極めて重要であるため、現在までに行ってきた調査の成果を自治体が運営する地方博物館に提供し情報発信に努める。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)

  • [国際共同研究] メキシコ国立自治大学/メキシコ国立人類学歴史学研究所(メキシコ)

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [国際共同研究] テュレーン大学(米国)

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 「蛇」と「鷲」―プロパガンダ化する古代文化―2023

    • 著者名/発表者名
      嘉幡茂
    • 雑誌名

      「今」に意味を与えるために―近現代のメキシコにおける歴史遺産の資源化に関する考察―

      巻: 0 ページ: 1-19

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 地下界へと通ずるピラミッド2024

    • 著者名/発表者名
      嘉幡茂、フリエタ・ロペス、ホルヘ・トレド
    • 学会等名
      第8回全体会議「出ユーラシアの統合的人類史学-文明創出メカニズムの解明-」
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] なぜピラミッドは造られたのか?2024

    • 著者名/発表者名
      嘉幡茂
    • 学会等名
      NHK文化センター 京都教室
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] メキシコの神話と国旗2024

    • 著者名/発表者名
      嘉幡茂
    • 学会等名
      NHK文化センター 京都教室
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] メキシコでの調査と成果2024

    • 著者名/発表者名
      嘉幡茂
    • 学会等名
      NHK文化センター 京都教室
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi