研究課題/領域番号 |
23K25399
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補助金の研究課題番号 |
23H00702 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
岩井 俊平 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10392549)
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研究分担者 |
入澤 崇 龍谷大学, 文学部, 研究員 (10223356)
國下 多美樹 龍谷大学, 文学部, 教授 (30644083)
山内 和也 帝京大学, 付置研究所, 教授 (70370997)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 中央アジア / 仏教遺跡 / アク・ベシム / ソグド / トハーリスターン / 大雲寺 |
研究開始時の研究の概要 |
キルギス共和国のチュー川流域に6世紀以降に伝播した仏教は、ガンダーラやトハーリスターンに加え、中国方面からの影響をも強く受けて成立したと考えられている。実際に、チュー川流域の仏教遺跡の平面プランにはさまざまな違いがあり、この多様性は、仏教伝播ルートの違いによる地域間交流という視点のみでは説明できない。本研究では、チュー川流域に所在するアク・ベシム遺跡においていくつかの仏教寺院址を発掘調査し、当該地域の独自の伽藍配置や建造物の在り方を明らかにするとともに、他の宗教遺構との関係にも注目して、広く中央アジア仏教遺跡の多様性の背景を探る。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、中央アジア仏教遺跡の多様性の形成過程を、考古学的に追及することである。なかでも、現在のキルギス共和国のチュー川流域に6世紀以降に伝播した仏教について、仏教寺院址の発掘調査から明らかにすることを目指している。2023年度は、以下のような研究を行った。 1.アク・ベシム遺跡における仏教寺院址の発掘調査 すでに以前の科研費(基盤研究B、19H01348)で発掘調査を開始しており、特に第2仏教寺院址の伽藍配置の全容を解明することを目標としていたが、当該地区の土地所有者の意向により発掘の継続が困難となった。そのため急遽、アク・ベシムに所在する別の寺院址(学史上、第0仏教寺院址と呼ばれる)付近の発掘に切り替えた。この寺院址は、唐がその領域の各地に建造した「大雲寺」の一つである可能性が高く、本研究の目的である「多様性の形成過程を明らかにすること」に適した遺構であると考えられる。今回の発掘調査の結果、寺院址北側に複数の溝があること、上層には厚い中世の堆積土があり、唐時代の遺構面は非常に深いことが明らかとなった。帝京大学が行っている第2シャフリスタンの発掘結果と比較して、寺院北側が古くから低い土地であったことを示している。また、これまでに同地点から出土している赤色の砂岩で造られた仏教彫刻(蓮華座の断片)も出土した。 2.中央アジアにおける宗教関連遺構の情報収集 関連する報告書の英語への翻訳を進めている。同時に、帝京大学が発掘するアク・ベシム遺跡のキリスト教寺院に関する情報を収集し、周辺遺跡との比較が可能となるよう、関連文献の収集を継続的に行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、アク・ベシム遺跡の第2仏教寺院址の発掘調査が不可能となったものの、代わりに調査を行うこととなった第0仏教寺院址も、中央アジアと唐の技術が融合して建造された「大雲寺」である可能性が高いため、多様性の形成過程を研究するのに十分に適しており、結果的には順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
もっとも基本的な情報源となる、アク・ベシム遺跡の第0仏教寺院址の発掘調査を継続し、出土することが予想される瓦および遺構の構造などから、7~8世紀頃の中央アジアにおける現地文化と唐文化との交流のあり方を明らかにする。これに加え、情報収集を進めているキリスト教会などの他の宗教遺構についても比較検討を行い、上記の出土品・遺構に加えて、都市内における宗教遺構の位置や、寺院全体の配置の在り方なども検討していく予定である。 また、仏教寺院が多様性を獲得していく背景について、上記の考古学的な研究からのアプローチに加え、同時代の文献資料からも研究を進めていく。
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