研究課題/領域番号 |
23K25406
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補助金の研究課題番号 |
23H00709 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
小区分03070:博物館学関連
合同審査対象区分:小区分03060:文化財科学関連、小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
貴田 啓子 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 准教授 (20634918)
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研究分担者 |
岩田 直美 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 助手 (00911538)
岡田 靖 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 准教授 (40401509)
土屋 裕子 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (60321551)
西田 典由 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, アソシエイトフェロー (80502898)
稲葉 政満 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 客員研究員 (50135183)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2026年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
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キーワード | 紙の保存修復 / セルロースナノファイバー / ナノセルロース / 修復材料 / 保存修復 / 修復処置 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、原料や製造方法の異なる多種類の「ナノセルロース(NC)」が高機能性材料として開発されている。本研究では、数種のNCを、文化財の修復材料として、適度な接着性および表面保護性を目的とした材料として選定し、修復材料として使用時の特性を評価する。紙資料の保存修復処置にNCを使用した報告は多くみられるが、その他の材質の文化財への応用例は未だ非常に少ない。 NCの特性上、セルロースを主成分とする油彩画のキャンバス(麻や綿)や、木彫品への使用については、馴染みやすいことが予想され、修復処置時の接着・表面保護等の補強材料としての使用を試み、新規な修復材料として、その有効性、および使用方法について検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では、数多く開発されているナノセルロース(NC)のなかから、文化財の修復材料として、その機能と目的との合致を検証し、数種に選定、比較評価を進める。それらを修復材料として油画や木材彫刻作品の修復処置に試用し、その特性を各種分析により把握する。得られた結果から、ナノセルロースの有用性の検討、および適切な使用方法の開発を目指し、より良い文化財の保存修復処置に寄与することを目的とする。 初年度は、数多く製品化が進むナノセルロースについてのリサーチを進め、その選定を試みた。種類としては、主に原料繊維物質の違い、またはナノ化のための処理の違いがある。原料の違いについては、多くの場合その工程で原料由来のセルロース以外の成分が排除されていくため、その後の性質に影響が小さい。一方、セルロース物質のナノ化処理の違いについては、物理的処理と化学的処理に大別され、化学的処理により製造されたNCは多くの場合、ナノ化の精度は高く分散性がよいので透明性も高い製品が多い。一方で、セルロースに酸性基が残っていることが予想される。一方、物理的処理されたナノ化セルロースは、サイズ的にはナノ化されてる製品は少なく、ミクロフィブリルセルロースレベルのものが多いが、酸性基が入ることはなく、安定性が高いことが予想された。代表的な、化学的処理、物理的処理のナノセルロースを入手し、修復材料としての安定性を検討するため、塗布膜を作製し、湿熱による加速劣化試験を実施した。 一方で、ナノセルロースの評価に用いる各種装置の購入をすすめるとともに、入手したNCについて、キャンバス地あるいは木材に塗布し、目視による評価を行い、評価方法の検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査および実験は、おおむね進めているが、主要な観察のための装置の購入に時間がかかり、1年目の終わりに納品した状況であった。そのため、これを使用した評価を進める部分が遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の終わりに、主要なNC評価のための装置(SEM)を購入することができたので、今後はこれを使用した観察評価を進めていく予定である。今年度にある程度選定したNCについて、分担者である技術者によるキャンバス、あるいは木材への修復処置(塗布あるいは充填など)を行い、それぞれ修復材料としての感覚的評価とともに、SEM観察をはじめとする材料の状態の評価、加えて、加速劣化試験による安定性の評価を進めていく予定である。 一方で、NC単独での処置方法について、現在は簡易的に筆による塗布でサンプル作製を行い観察や試験を行っているが、その使用方法についても、シリンジやスプレーなどにより処置した場合のその効果の違い、なども検討していく予定である。
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