研究課題/領域番号 |
23K25476
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補助金の研究課題番号 |
23H00779 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
矢内 勇生 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 准教授 (50580693)
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研究分担者 |
東島 雅昌 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (10756349)
清水 直樹 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (20508725)
鷲田 任邦 東洋大学, 法学部, 准教授 (50744893)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2026年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2024年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 選挙操作 / 民主制と独裁制 / 選挙 / 投票行動 / 比較政治学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、政治指導者がどのように選挙を操作するかについて、独裁制だけでなく、民主制も対象にして分析する。暴力や票の買収などの非合法の選挙不正だけでなく、選挙区割や選挙タイミングの変更などの合法的な操作もあわせて考え、選挙操作を包括的に理解することを目指す。(1) 様々な選挙操作の特徴、(2) 特定の選挙操作が選択される理由、(3) 選挙操作が選挙結果に与える影響、(4) 選挙操作が有権者の意識・態度に及ぼす影響の4点を明らかにし、それぞれの点について独裁制と民主制の差異を検証する。本研究は、選挙不正研究の発展だけでなく、政治体制の違いを超えて選挙が果たす役割の理解にも貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究は、政治指導者がどのように選挙を操作するかについて、独裁制だけでなく、民主制も対象にして分析する。暴力や票の買収などの非合法の選挙不正だけでなく、選挙区割や選挙タイミングの変更などの合法的な操作もあわせて考え、選挙操作を包括的に理解することを目的とする。 プロジェクト初年度である2023年度は、理論と分析枠組みの構築作業を進めた。初年度のうちに基本的な分析概念や定義を研究代表者・分担者の間で共有し、2年目から共通の枠組みに則って統計分析や事例研究を実施するための準備を整えた。さまざまな種類の選挙操作のなかで、一般的に合法とされる操作と違法とされる操作を分類した。さらに、政治体制をとわず観測される操作と、特定の政治体制(あるいは、特定の憲法)の下でのみ観察される操作を選り分けた。予備的な分析により、合法であっても有権者から「公正ではない」とみなされる操作と、それとは反対に違法だが「やったほうがよい」とされる操作が存在する可能性が示唆された。 また、必要なデータの優先順位を決め、優先度が高いものからデータ収集を始めた。過去の研究で整備した選挙タイミングに関するデータを拡張し、選挙タイミング以外の選挙操作と選挙タイミングデータを結合するための作業を進めている。 さらに、先進民主主義国、新興民主主義国、権威主義国のそれぞれで実施予定の調査・実験の計画を立て、調査で質問する内容や実験デザインの設計を進めた。研究倫理審査委員会で実施の許可が得られ次第、調査と実験を開始できるよう準備を整えた。 一部の成果は「財政出動と選挙のタイミング:選挙対策としての有効性は実施時期によって異なるか」というタイトルで、2023年12月に開催された公共選択学会の第27回大会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度中は、当初の予定どおりに理論と分析枠組みの構築を行った。さらに、収集すべきデータの確認と、既存データの整理作業を行うことができた。その結果、2024年度から調査・実験を行う準備が整った。以上の理由により、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、前年度に始めた理論構築とデータ収集の作業を引き続き行う。データがある程度集まった時点で記述統計などによって事実を確認する作業を進め、包括的な統計分析を始める。それと並行して代表者と各分担者がそれぞれ担当する事例研究を進める。第1の問いである選挙操作の決定要因については2024年度中に明らかにすることを目指す。理論研究を中心とする中間的な分析結果を国内外の学会で報告し、他の研究者からフィードバックを得て以後の研究に役立てる。さらに、選挙操作によって選挙の公平性や政治体制の信頼度に関する有権者の評価がどのように変化するかを調べるためのサーベイ実験を、政治体制の異なる複数の国で実施する。 さらに、理論・分析枠組みの構築とデータの収集を終える。学会報告時に得たフィードバックを反映した成果を国際学術誌に投稿し、その成果を踏まえてデータ分析と事例分析をさらに進める。成果が出たものから順に学会や研究会等で報告し、さらなるフィードバックを得る。それらの作業を通じて、第2の問いである選挙操作が選挙結果に与える影響と、第3の問いである選挙操作が有権者の選挙・政治体制に対する態度に与える影響を明らかにする。 最後に、初年度から蓄積された成果を複数の論文にまとめ、国内外の学会で報告する。また、プロジェクト終了時にデータセットを公開できるよう、データの整備作業を進める。最終成果は、代表者と分担者が個別にあるいは共同で国際学術誌に投稿し、世界に向けて発信する。それに加え、研究成果をわかりやすくまとめて解説した日本語の記事を代表者のウェブサイトで公表し、日本国民にも研究の意義と成果を伝える。
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