研究課題/領域番号 |
23K25477
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補助金の研究課題番号 |
23H00780 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
舟木 律子 中央大学, 商学部, 教授 (20580054)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2026年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ラテンアメリカ / 中米 / 先住民 / 質的比較分析 / 土地権 / カリブ / アフロ / 自治権 / 領海 / 先住民自治 / 制度と運用の乖離 / QCA |
研究開始時の研究の概要 |
先住民の権利(先住権)は1990年代以降、国際法によって認められてきた。2024年現在、ラテンアメリカで「先住民の土地権」を憲法上で認めた国は15カ国に上る。しかし、現実の制度と運用との間には「乖離」が存在する。「実質的土地権の保障」は、いかなる要因により実現するのか。この問いに対して、本課題では中米7カ国を対象とし、同地域の先住民の本研究への主体的参画を得て、その原因を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、5月末のラテンアメリカ学会(LASA)で「ラテンアメリカにおける先住民農民アフロ系住民の解放の未来像」と題するパネルで、先住民アフロ系住民の土地権と自治に関するパネルの討論者をつとめた。同経験を通じて、本課題に関するメキシコ、コロンビアの研究者であり当事者でもある報告者との議論を深めることができた。その後、6月初頭のカナダ・政治学会(CPSA)においては、報告者として中米7カ国の先住民の土地権の運用実態についての、ここまでの調査をまとめた報告を行った。その後、2023年11月末に、コロンビア・サンアンドレス島において、コロンビア国立大学、カナダ・ヨーク大学、先住民の権利に関する国際NGO(IWGIA),米州機構人権委員会先住民アフロ住民作業部会とともに、「中米カリブ地域の国境に挟まれた民族集団の自治・自決権に関するワークショップ・セミナー」および、プロビデンシア島でのフィールドワークを行った。プロビデンシア島で活動するローカル・アントレプレナー団体AgroProvidenciaを訪問し、伝統的技術と観光客を意識した新しい嗜好を取り入れた社会的企業の運営状況について学んだ。また地元ライサルによって運営される漁業協会を訪問し、島外からの観光開発圧力からいかに地域の自然環境を守り、同時に地元漁師らの生活を支えていくための取り組みについて、具体的な活動状況について、団体代表らの紹介と活発なディスカッションの機会を得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年11月にコロンビアにおいて開催した「中米カリブ地域の国境に挟まれた民族集団の自治・自決権に関するワークショップ・セミナー」を通じて、今後の研究プロジェクトを実現していくために不可欠となる信頼関係の構築という意味でも、重要な協働経験を積むことができた。セミナーの参加者は中米カリブ地域の領海を挟み、異なる国家で生活している同一の先住民・アフロ住民の組織で指導的立場にある当事者と第一線の現地研究者である。こうした地域で伝統的に行われてきた漁業や人と物の行き来が、陸地だけでなく海洋をまたがる国境線によって分断されている現状の課題に取り組むための、具体的な活動事例についてのフィールド訪問によって、より深い理解を得ることができた。また、このような現地先住民・アフロ住民との協働による研究調査・知見の共有の取り組みが評価され、本研究を共同で行ってきたカナダ・ヨーク大学のゴンサレス氏を研究代表者として、カナダ政府の研究助成である「社会・人文科学研究会議(Social Sciences and Humanities Research Council:SSHRC)」にも、報告者も共同研究者として参加する研究プロジェクト(Partnership Development Grant, Emancipatory Horizons for Self-determination of Indigenous and Afro-descendant Peoples in Central America)が24年度採択されたことから、とりわけ現地のキーアクターの協力を得た調査を進めていくための条件をさらに整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまず、去る2023年11月の国際セミナーの経験について、コロンビア国立大学の学術雑誌に特別号を組み出版することとなっており、中米カリブ地域からの代表者らの報告内容およびインタビュー結果をまとめる作業を進める。同時に、今年度実施予定の現地でのフィールド調査およびワークショップ等に関して、共同研究者のゴンサレス氏をはじめ、コロンビア国立大学、パナマ国立大学の研究者および中米カリブ地域の現地先住民アフロ住民の主要組織の代表者ら、先住民の権利に関する国際NGO(International Work Group for Indigenous Affairs:IWGIA)と、プロジェクト調整ミーティングを定期的に開催しながら準備を進めていくこととしている。
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