研究課題/領域番号 |
23K25487
|
補助金の研究課題番号 |
23H00790 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
西谷 真規子 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (30302657)
|
研究分担者 |
渡邉 智明 福岡工業大学, 社会環境学部, 教授 (00404088)
小川 裕子 東海大学, 政治経済学部, 教授 (00546111)
西村 もも子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (00784448)
赤星 聖 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (20795380)
山田 高敬 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (00247602)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2026年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
|
キーワード | グローバル・ガバナンス / 自省作用(reflexivity) / 気候変動 / SDGs / 知的財産権 / 人道支援 / シップリサイクル / 国連 / 自省作用(reflexivity) |
研究開始時の研究の概要 |
地球環境等の地球規模課題のグローバル・ガバナンスでは、多中心化や多主体化、システム間相互作用により、技術や政治社会面での不確実性が生じやすく、また、民主的統制が不足しやすい。不確実性に的確に対応し、民主的正統性を確保しつつ問題の効果的な解決を図るにはどうすればよいか。本研究は、ガバナンス・システムがパフォーマンス向上のためにシステム自体を改革する自省作用(reflexivity)に着目し、①自省的な制度のパターン、②自省的な制度の有効性、③自省的な制度の民主的正統性がどのように・どの程度確保されるかを比較検証することで、グローバル・ガバナンスが民主的に有効性を向上させる条件を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
昨年度は計6回の国内研究会(対面およびオンライン)を開催し、知識の共有、理論枠組みの構築、研究手法の探究などを行った。また、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(ロンドン大学)およびクイーンメアリー大学の研究者達と国際ワークショップ(Hybrid workshop: Democratic transformation of global governance through reflexivity)を開催し、各自の専門的知見を持ち寄って自省性を軸とした共同研究のブレインストーミングを行った。 代表の西谷は全体の総括と理論構築を行いつつ、気候変動の緩和を推進する非国家制度であるレース・トゥ・ゼロ(RtZ)を中心に気候変動ガバナンスの自省的仕組みを分析し、国際学会で中間報告を行った。渡邉は、シップリサイクルについて、主にIMO(国際海事機関)とバーゼル条約それぞれのアリーナにおける議論を整理する作業を行った。特に、IMOにおいてシップリサイクルが当初自らの管轄の問題として次第に認識されるようになった過程を明らかにすることができた。西村は、知的財産権をめぐるグローバル・ガバナンスが、昨今どのように変化しているか、過去のガバナンスと比べてどのような特徴があるのかを確認した。また、その変化の中で先進国の産業界および世界知的所有権機関(WIPO)の位置づけを明らかにした。赤星は、人道支援ガバナンス全体、および、人道支援改革の契機となった世界人道サミットの先行研究レビューを中心に行った。加えて、同サミットで各国が誓約したコミットメントの進捗状況に関する報告書の全体的な概要を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体としては概ね予定通りである。ただし、当初予定していた共通指標づくりに関してはあまり進んでいない。これは、各事例の特異性が予想以上に大きかったこと、複雑な特性の整理が容易でないこと、殆どの事例が現在進行中のためさらなる経過観察の必要性があることが主因である。西谷は、理論枠組みを洗練させつつ、RtZに関連する各種文書や統計資料、インタビューを行うと同時に、部分的に参与観察も行った。これにより、RtZの実際の運営実態が明らかになってきた。渡邉は、シップリサイクルに関する国際レベルの議論を検討することを昨年度の計画としたが、IMOおよびバーゼル条約締約国会議、作業部会の文書を検討し、2000年代初頭の方向性を確認することができた。赤星は、先行研究レビューの結果、世界人道サミットの研究が少なく、それらの研究も政府高官などのハイレベルの分析に留まったことで、人道支援を担う多様なアクターの参加がどのような影響を及ぼしたのかという点が見落とされていることが判明した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、まずは各事例の調査・分析および整理を優先させ、その中から共通指標として取り出せるものを今年度後半に特定することとする。来年3月開催の国際学会にパネル・プロポーザルを出し、8-9月の対面研究会で知見の共有とすり合わせや方向性の修正を行い、3月の国際学会パネルで中間成果発表を行うことを予定している。渡邉は、EUにおける議論、アメリカ合衆国の司法判断、海運業界や環境NGOの運動を検討していく必要があるが、2024年度は特に、EUのシップリサイクル政策の背景について関連文書の検討を行っていく予定である。西村は、産業界やWIPOの関係者に対するインタビューを通して、昨年度に明らかにした知的財産のガバナンスの変化がどこから生じたものであり、その変化がどのような経緯をたどったのか、そのプロセスを明らかにすることを目指す。赤星は、昨年度中に実施した情報開示請求で開示が決定した資料の分析を進めるとともに、世界人道サミットの成果が現地でどのように実施されているのかを確認すべく現地調査(ウガンダまたはコロンビアを検討中)を実施予定である。
|