研究課題/領域番号 |
23K25498
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補助金の研究課題番号 |
23H00801 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
小区分07020:経済学説および経済思想関連
合同審査対象区分:小区分07010:理論経済学関連、小区分07020:経済学説および経済思想関連
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
川越 敏司 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (80272277)
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研究分担者 |
肥前 洋一 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (10344459)
船木 由喜彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (50181433)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 投票 / 社会的選択理論 / ゲーム理論 / 実験経済学 / 投票制度 / 非協力ゲーム / 協力ゲーム / 実験 / メカニズム・デザイン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、投票者が候補者の中から複数の当選者を選ぶ場合に望ましい投票方式を理論と実験によって明らかにすることを目的としている。この場合、投票者がその選好に基づき各候補に対するスコアを提出するような方式を分析対象として、スコアの和が最大となる候補を選ぶ場合やスコアの最小値が最も高い候補を選ぶ場合(マキシミン)など、各投票方式がもつ性質をゲーム理論によって比較分析する。また、他のどの候補者との一対比較においても多数決で勝利する候補者の集合(コンドルセ委員会)が当選するかどうかについても検討する。最後に、こうした投票方式についての理論分析を検証する実験室実験を実施し、各方式の性能を比較する。
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研究実績の概要 |
本年度は、投票者が候補者の中から複数の当選者を選ぶような投票方式を検討するため、最初に、投票者の提出したスコアを集計し、それを各候補に配分するゲームとみなした場合の解の性質を理論的に検討した。投票者はその選好に基づき各候補に対するスコアを提出するが、その和が最大となる候補を選ぶ場合の他、スコアの最小値が最も高い(マキシミン)候補を選ぶ場合など、各集計方法がもつ性質を協力ゲーム理論によって公理的に比較分析した。また、他のどの候補者との一対比較においても多数決で勝利する候補者の集合(コンドルセ委員会)が当選するかどうかといったことも、コンピュータ・シミュレーションの助けを借りつつ分析した。この研究は、研究代表者の川越が仏エコール・ポリテクニークの郡山幸雄との国際共同研究として実施している。また、協力ゲームに基づく理論的研究と実験研究を、研究分担者の船木が仏エコール・ポリテクニークの郡山幸雄との国際共同研究として進めている。 近年、現実の投票では、投票者が候補者の中から当選者を選ぶのではなく、各候補者への集計的評価を決めるマジョリティ・ジャジメント方式や、投票者が与えられた投票ポイントを複数の候補に割り振る二次投票方式に注目が集まっているが、これらの投票方式について、研究代表者の川越と研究分担者の肥前が理論的検討を行った。さらに、マジョリティ・ジャジメント方式と伝統的な点数投票(ボルダ)方式の性能を比較評価するための予備実験を実施した。二次投票方式については、真の選好に従って投票することが必ずしもナッシュ均衡とはならないため、そうした性質が成り立つ誘因両立的なピボタル・メカニズムと比較するための予備実験も実施した。いずれの予備実験でも、マジョリティ・ジャジメント方式や二次投票方式といった新しい投票方式が投票者の戦略的行動に対して頑健であるかどうかを確認することを主眼としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、投票者が候補者の中から複数の当選者を選ぶような投票方式の検討については、投票者の提出したスコアの和が最大となる候補を選ぶ場合の他、スコアの最小値が最も高い(マキシミン)候補を選ぶ場合など、各集計方法がもつ性質を比較分析し、真の選好に従って投票することが支配戦略であるかどうかや、他のどの候補者との一対比較においても多数決で勝利する候補者の集合(コンドルセ委員会)が当選するかどうかについて、理論的な見通しを与えることができた。協力ゲームに基づく理論的研究はすでに出版されており、実験研究については現在論文を執筆中である。 また、投票者が候補者の中から複数の当選者を選ぶ、または評価するような現実の投票制度として注目が集まっているマジョリティ・ジャジメント方式や二次投票方式について、理論分析に加えて、それらを評価するための予備実験まで実施できた。 以上より、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、投票者が候補者の中から複数の当選者を選ぶような投票方式の検討については、真の選好に従って投票することが支配戦略であるかどうかに関しても、他のどの候補者との一対比較においても多数決で勝利する候補者の集合(コンドルセ委員会)が当選に関しても、悲観的な結果が理論的には得られたので、今後は、どのような選好ドメインの下で真の選好を表明することが均衡になるか、また均衡においてコンドルセ委員会が選ばれるかどうかをナッシュ遂行理論の観点から分析する。 また、現実に用いられているマジョリティ・ジャジメント方式や二次投票方式については、予備実験の結果をふまえて、実験計画を整理した上で本格的な実験を実施していく。
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