研究課題/領域番号 |
23K25501
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補助金の研究課題番号 |
23H00804 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
小区分07060:金融およびファイナンス関連
合同審査対象区分:小区分07030:経済統計関連、小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
奥井 亮 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (20563480)
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研究分担者 |
黒住 英司 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (00332643)
Jiang Peiyun 東京都立大学, 経営学研究科, 助教 (20906929)
柳 貴英 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (30754832)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2026年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 計量経済学 / 教師なし機械学習 / パネルデータ分析 / クラスタ解析 / 構造変化 / 教師なし機会学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、クラスタ解析を経済データの分析に使用するための実装上の問題の解決と、クラスタ解析と構造変化点の計量経済理論における統合を目的としている。クラスタ解析は機械学習の代表的な手法の一つであり、標本をその特徴に応じていくつかのグループに分割する方法である。しかし、経済データではグループの数を前もって決めることが難しい。そこで、グループの数を誤って指定した上でクラスタ解析を行った場合の分析結果は、どのように解釈できるかを研究する。その際に、経済時系列分析における構造変化点の計量経済理論の知見を生かすことができると考えている。さらに、この二つの分野の理論的統合を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、経済データ分析のための、教師なし学習に基づいた計量経済学の手法の開発と、その理論分析ならびに数値分析を目的とする者である。特に観測対象をグループに分けて分析する際に用いられるクラスタ解析を経済分析に使用する際に問題となる点を解決し、経済分析への応用が進むようにする。具体的には、クラスタ解析において、グループの数やモデルを誤って指定した場合の従来の統計量の問題点を明らかにし、その結果を用いて、計算と解釈が容易なクラスタ解析の新手法を開発するとともに、新手法の理論分析と数値分析を行う。理論分析では、時系列分析の構造変化の文献の知見を利用する。本研究を通して、クラスタ解析と構造変化の統一的理解を目指し、両分野のさらなる発展に寄与する。さらに、こうして開発された手法を、因果推論に使用できるように拡張する。 令和5年度は数値実験を行い、また理論分析もある程度進めることができた。まず、モンテカルロシミュレーションの結果から、グループの数を実際よりも少なく指定した帰結を調べた。シミュレーションでは、実際は3つのグループがあるのに、グループの数を 2 つとしてクラスタ解析の推定する状況を考えた。この場合には、1つの推定されたグループが真の1つのグループと同じであり、もう1つの推定されたグループが真の2つのグループを合わせたものとなる場合が多いことが判明した。一方で、3つのグループが同じ間隔で離れているなら、真ん中のグループは両端のグループに別れてしまい、グループ構造が混ざり合う可能性があった。このような状況を記述する理論を、時系列が長い場合には打ち立てるができた。 さらに、クラスタ解析のための統計的推測の方法や、クラスタ解析を操作変数法に応用する方法など、クラスタ解析の経済分析に使用するための研究も進めることができた。また構造変化の研究にも成果があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、グループの数が実際よりも少ない場合の、数値計算と理論分析を行った。数値計算については、予定よりも進展させることができた。定数項だけのモデルや回帰モデルなど様々な状況を検討することができ、また逐次推定の数値計算も行えた。一方で、理論分析においては、時系列が長い場合では、研究計画時の予想や数値実験の結果と整合的な者を得ることができた。一方で、時系列の長さが、観測個体の数に比して小さい場合の理論分析は、今後の課題となった。つまり、数値計算は予定よりも進展し、理論分析は予定より少し遅れたということで、全体としては概ね順調に進展しているといえる。 さらに、クラスタ解析のための統計的推測の方法や、クラスタ解析を操作変数法に応用する方法など、クラスタ解析の経済分析に使用するための研究も進めることができた。また構造変化の研究にも成果があった。これらの成果は、この研究課題の最終的な目的である計量経済学へのクラスタ解析の応用、ならびにクラスタ解析と構造変化の理論的融合に対しての進展である。この面からも本研究課題は順調に進展しているということができる。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、理論分析をさらに進める予定である。すでにモンテカルロシミュレーションの結果から、グループの数を実際よりも少なく指定した帰結を数値的にはあたりをつけることができている。この状況を理論的に記述し、グループの数を実際よりも少なく指定してもグループ構造が保持される条件を理論的に検証することが目的となる。すでに時系列の長く観測個体が少ない場合には結果は出ているが、これを時系列が観測個体に比較して短い場合にも拡張する必要がある。 またこの結果を基に逐次推定が可能となる条件を理論的に導く。逐次推定に関する 部分は、令和6年度と7年度に研究を行う。さらに、令和7年度と8年度には、グループの数を実際よりも多く指定した場合の研究も行う。まず数値実験を行い、さらに理論的にこの問題を 調べる。 また、研究期間を通して、クラスタ解析の因果推論への応用を行う。まずは差の差法への応用を主に考える。クラスタ解析によって処置群と同 じトレンドをも つ対照群を見つけ出す方法を考案する。この場合はグルー プの数自体は興味はなく、処置群と同じトレンドをもつグループ が入手できるか どうかが重要であるので、グループの数を間違って指定してもグループ構造が保持される条件を差の差法の文脈で検討することが研究の主眼となる。また他にも、クラスタ解析の計量経済学への応用を進め、またクラスタ解析と構造変化の理論的融合を図るためにも、クラスタ解析の操作変数法への応用や、非定常時系列の構造変化の研究も進める。
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