研究課題/領域番号 |
23K25507
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補助金の研究課題番号 |
23H00810 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅見 泰司 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (10192949)
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研究分担者 |
西 颯人 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (10962235)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2027年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2026年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | 賃貸住宅市場 / 市場滞留期間 / 市場分割 / 物件特性 / 東京圏 / 不動産価格 / 中心駅 / 駅価値 / 非線形性 / 地理的加重回帰分析 / 確率的勾配 / スケーラブル / 東京 |
研究開始時の研究の概要 |
賃貸住宅市場における市場滞留期間と家賃や物件特性との関係を正確に分析するためには、競合する物件の集合となるような適切なサブマーケットに市場分割をすることが必要である。本研究ではその方法として、Nishi, Asami, Shimizu (2021)が開発した市場分割手法を適用して分析を行う。そのうえで、家賃と市場滞留期間との関係式を導出し、各サブマーケットに供給されている物件数および実際の市場滞留期間の値をもとに、各サブマーケットにおける需給バランスを分析する。住宅特性に応じた家賃と市場滞留期間の関係、およびそれぞれの地区における最適な住宅物件特性を算出することが可能となる。
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研究実績の概要 |
不動産価格の分析において、中心エリアへのアクセス性は基礎的な要素であり、東京では鉄道が最も重要な公共交通機関となっている。このため、多くの研究者が中心駅までの距離をヘドニック回帰分析のコントロール変数として採用している。しかし、どの駅が適切な中心駅であるかは自明ではない。そこでこの問題を解消するために、距離と価格の関係の非線形性を捉えた、よりよい中心駅を選ぶためのアプローチを提案した。提案手法を用いたデータ分析の結果、東京23区の居住用土地市場の単価を回帰する場合には、渋谷駅を中心駅とすることが示唆された(西・浅見, 2023)。 GWR(地理的加重回帰分析)は空間依存性があるデータ分析で広く受け入れられている回帰手法である。GWRのキャリブレーションは計算量が多いため、キャリブレーションのための効率的な方法がいくつか提案されている。しかし、これらの方法は、大規模な計算環境を必要としたり、カーネル関数のクラスが限定されたりしており、GWRの適用範囲を制限している。本論文では、確率的勾配に基づくGWRの最適化手法であるsgGWR(確率的勾配GWR)を提案した。sgGWRでは,クロスバリデーション誤差を確率的に近似し、勾配に基づく最適化手法を適用する。sgGWRは既存のスケーラブルな手法よりも幅広い種類のカーネルを扱うことができ、高性能な計算機が利用できない場合でもその恩恵を受けることができる。したがって、sgGWRは既存のスケーラブルな手法ではカバーできない問題点を解決できる。シミュレーションにより、sgGWRと既存の手法の性能を検証した。さらに、sgGWRを東京の地価分析に適用した。その結果、時空間版GWRが最も予測性能が高く、回帰係数の時空間的不均一性を捉えることができた(Nishi, Asami, 2024)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
査読論文や著書を出版し、研究成果を順調に発表できているため。
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今後の研究の推進方策 |
西・浅見(2023)の研究では、中心地と物件最寄り駅との間の距離は物理距離を扱っていたが、既存研究では時間距離も多く使われているため、どのような距離概念が適切と言えるのかの分析を行う。 首都圏の不動産取引データに対して、改良したアルゴリズムを適用して、NAS市場分割を行う。この際に、適切なサブマーケット群を抽出するために、パラメータ調整などを行う必要がある。その上で、該当物件が少ないサブマーケットは排除して、以後の分析に適したサブマーケット群の抽出を行う。この際に、Nishi, Asami, Shimizu (2019)が明らかにした賃貸住宅における住宅特性値が欠落することによる分析バイアスや、Suzuki, Asami, Shimizu (2021)が明らかにした継続家賃が変更しにくいことによる新規家賃のバイアスにも配慮する。
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