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電力システムにおける変動電源の経済評価と投資誘因の定量分析

研究課題

研究課題/領域番号 23K25508
補助金の研究課題番号 23H00811 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分07040:経済政策関連
研究機関東京大学

研究代表者

大橋 弘  東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00361577)

研究分担者 中村 豪  東京経済大学, 経済学部, 教授 (60323812)
西川 浩平  関西大学, 経済学部, 准教授 (60463204)
五十川 大也  大阪公立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (90708645)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
キーワード発電投資 / 需要抑制 / ディマンドリスポンス / メリットオーダー / 電力システム改革 / 経済評価 / 投資 / 需要
研究開始時の研究の概要

世界的な電力供給の不足が深刻化するなか「変動電源」を電力システムに統合した経済評価を行う必要がある。本研究では「変動電源」の経済価値を計測する手法を提示し、わが国の実情に応用することで「変動電源」が発電投資に対する影響と、わが国の電力システムに果たしうる役割について新たな知見の提供を目指している。本研究では、「変動電源」として、太陽光や風力など自然に変動して制御できない再生可能エネルギーと、時間とともに変動する電力需要を扱いつつ、「変動電源」を電力システムに統合した経済評価を行うことを目的にする。なお分析に当たっては、産業政策・競争政策の役割や、他産業からの経験も柔軟に取り入れることとする。

研究実績の概要

本研究では、電力需給バランスにおいて、世界的に課題となっている「変動電源」の影響を定量的に経済評価することを目的にする。「変動電源」として、太陽光や風力など自然に変動して制御できない再生可能エネルギーと、時間とともに変動する電力需要が挙げられる。世界的な電力供給の不足が深刻化するなか「変動電源」を電力システムに統合した経済評価を行う必要がある。本研究では「変動電源」の経済価値を計測する手法を提示し、わが国の実情に応用することで「変動電源」が発電投資に対する影響と、わが国の電力システムに果たしうる役割について新たな知見の提供を目指している。本研究では、「変動電源」として、太陽光や風力など自然に変動して制御できない再生可能エネルギーと、時間とともに変動する電力需要を扱いつつ、「変動電源」を電力システムに統合した経済評価を行うことを目的にし、前者のデータ整備を行いつつ、先行して産業用需要における価格制御に関して定量的な分析を行い、VOLL(停電価値)の推定を行った。また電力市場における競争政策の観点からの人工知能などの活用、競争政策の実証的な分析手法の適用、また電力システムにおける産業政策上の位置づけ、さらに電力セクターが大きな役割を果たすカーボンニュートラル(脱炭素化)において、とりわけ交通セクターに与える影響の大きさなどについても考察を加えた。競争政策の観点では、電力市場における価格の乱高下を踏まえ、マークアップ率における扱いなどについても検討を加えた。また電力システムと同様に、送配電網において規制的な価格付けがなされている状況と類似する側面を持つ、医薬品の価格づけについて、考察を加え、電力システムに対する含意を他産業の観点から探った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

発電投資誘因を明らかするために必要な発電や入札に関する情報を収集するとともに、負荷抑制による費用対効果分析に必要な分析を行った。前者については、発電設備の事故情報と入札情報などを組み合わせて、規制制度の情報を加味しながら、発電に関する分析モデルを考察している。後者については、ある地域における産業需要家をサンプリングし、その産業需要家に対して、需要抑制をリベートを使って行った場合に、その価格シグナルがもたらす需要抑制への影響を定量的に分析した。価格を通じて産業用の需要を低減させることで、発電と等価となる供給を生み出す手法に対して、その手法の有効性や費用対効果を分析を行った。価格シグナルは需要抑制に一定程度の影響を生み出すことが明らかになった。なお需要抑制の効果を測定するにあたっては、需要抑制がない場合にどの程度の需要が存在したかというベンチマークを設定する必要があるが、このベンチマークは反実仮想での評価となる(つまり需要抑制がなければ、どれだけ需要が存在したかということ)。反実仮想での評価を行うために、構造推定モデルを活用し、評価を可能としている。この構造推定モデルを用いて、需要抑制の費用対効果についても定量的な分析を行った。需要抑制が行われなかった場合という反実仮想との比較における費用対効果分析は、需要抑制が、発電と等価である点で、発電投資のインセンティブの理解にもつなげることができる。

今後の研究の推進方策

産業需要家における需要抑制の効果を発電におけるメリットオーダー(限界費用の低い順に発電源を並べたもの)に入れることで、発電投資の誘因に対する分析フレームワークに取り込むことを次のステップとする。発電に関するデータの利用可能性と、構造推定モデルにおける分析のフレームワークの精度とを併せていく作業を今後の研究にて行うことになる。需要抑制についても、これまでの分析から深堀を行う。例えば、需要抑制においては、事前告知が行われることがあり、データ上も観測されているが、事前告知のタイミングに応じて、価格シグナルの影響に変化が現れることが分かった。この事前告知と価格シグナルの影響との関係について、経済モデルを使って更なる理解を深めることも試みたい。また需要抑制の分析の副産物として、停電価値(VOLL)が需要家に応じて異なることが明らかになった。容量市場における指標価格を形成するベンチマーク(ネットコーン)は、VOLLから計算されるとされるが、このときのVOLLは一律であり、需要家の多様性を直接は認識していない。VOLLと発電投資誘因との関係を定量的に明らかにしつつ、再エネの導入拡大や需要抑制のメカニズムをデザインとして取り込むグランドモデルを構築することを目指したい。他方で、現実のデータでは競争歪曲行為などがあることも考えられることから、そうした競争歪曲行為に対するデータ上の識別についても考慮に入れていきたい。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 需要家の停電価値を考慮した供給信頼度の経済的な決定方法の検討2024

    • 著者名/発表者名
      橋本 篤樹, 五十川 大也, 大橋 弘, 野田 昇吾, 山下 武健志, 木畑 英記, 穴井 徳成
    • 雑誌名

      電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌)

      巻: 144 号: 2 ページ: 79-90

    • DOI

      10.1541/ieejpes.144.79

    • ISSN
      0385-4213, 1348-8147
    • 年月日
      2024-02-01
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] GXの加速を目指して2024

    • 著者名/発表者名
      大橋弘
    • 雑誌名

      運輸と経済

      巻: 919 ページ: 6-16

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 構造転換期における競争政策のあり方:人工知能とビッグデータ2023

    • 著者名/発表者名
      大橋弘
    • 雑誌名

      公正取引

      巻: 871 ページ: 49-54

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 実務法曹のための分析手法の基礎知識2023

    • 著者名/発表者名
      大橋弘
    • 雑誌名

      ジュリスト

      巻: 1585 ページ: 54-71

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 市場拡大再算定の経済分析ー薬剤費抑制効果の検証2023

    • 著者名/発表者名
      西川浩平、大橋弘
    • 雑誌名

      日本経済研究

      巻: 81 ページ: 1-33

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 先物市場の行方2023

    • 著者名/発表者名
      大橋弘
    • 学会等名
      Japan Power Summit 2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] The Role of Advance Notice in Shaping Industrial Response to Time-Varying Electricity Prices2023

    • 著者名/発表者名
      大橋弘
    • 学会等名
      Asia Pacific Industrial Organization Conference
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [図書] コロナ危機後の日本経済と政策課題ー第5章:持続可能な経済社会形成に向けた新たな産業政策の論点2024

    • 著者名/発表者名
      森川正之編、大橋弘他著
    • 総ページ数
      271
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      9784130403153
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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