研究課題/領域番号 |
23K25515
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補助金の研究課題番号 |
23H00818 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松島 法明 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (80334879)
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研究分担者 |
安達 貴教 京都大学, 経営管理研究部, 准教授 (50515153)
北村 紘 京都産業大学, 経済学部, 教授 (30582415)
佐藤 進 一橋大学, 経済研究所, 講師 (40876710)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2025年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 市場支配力 / 寡占企業 / 労働市場 / 寡占市場 / 市場間相互依存関係 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、寡占企業が最終消費財市場と労働市場の両市場に関与する状況に代表されるように、寡占企業が複数の市場に直面している下で、両市場で市場支配力を行使できる状況を経済理論分析する。最終消費財市場の問題と接続可能な形で労働市場をはじめとする各関連市場の問題を定式化することで、関連市場における競争が最終消費財市場に波及する効果を理論化することに特徴がある。労働市場を想定した理論では、問題視されている労働者引抜き禁止合意と競業避止条項の分析に力点をおく。
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研究実績の概要 |
分担者の佐藤が労働市場と消費者市場の両側に独占力を行使する企業を想定し、労働一単位の生産性改善により生じる労働市場と消費者市場の変化を分析している。この生産性改善により供給量が増加して消費者余剰は必ず改善するが、労働需要が減少する可能性があるため労働市場に対する影響は状況に依存する。ここでは独占を検討しているが、合併等によって生産性改善が生じて消費者余剰が改善する市場環境であっても、それが労働市場に対する正の効果を直ちに意味しない可能性を示唆している点に政策上の含意がある。この設定は応用可能性が広いので、この設定を寡占市場に拡張するなど、いくつかの拡張を行うことを検討している。 労働市場の引き抜き競争について検討する前段階として、通常の消費財市場における顧客獲得競争の問題についても検討した。そこでは、消費者が1期目に購入先企業が提案する条件を受け入れると2期目に追加の便益が得られる状況を想定しており、労働市場の文脈で解釈すると既存労働者向けの将来便益の確約と似た効果を持っている。この想定の下、企業による確約が実行できることにより生じる競争環境の変化と社会厚生に与える影響を整理してColombo, Garella, and Matsushima (2023)として草稿にまとめた。 各地域の寡占企業が単一の最終消費財市場で同質財の数量競争をする状況において、企業間合併が生じる誘因を検討し、合併による労働市場における賃金水準の変化と社会厚生の変化を分析している。一般に企業間合併が生じにくい競争環境(同質財の数量競争)を設定しているにもかかわらず、合併が生じる範囲は広く、合併による賃金上昇は労働市場における人材獲得競争が激しい時に生じやすいことを明らかにしている。今後、逐次合併の誘因も分析するなどいくつかの拡張を行い、分析結果を整理して、R6年度には草稿を完成させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた設定を分析した結果、意義ある結果が得られないことが判明したことで、作業が遅れてしまった。 公刊論文はあるものの、当初予定よりも草稿が仕上がっていないので、今後、着実に作業を進めて可能な限り草稿を完成させて、公刊論文が増える確率を高める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り、当初計画していた設定を分析した結果、意義ある結果が得られないことが判明したことで、作業が遅れてしまった。 幸いにして当初予定に無かったSato (2024)の設定があるので、これを援用することで、各種分析を遂行できる可能性がある。この設定を軸にしつつ、当初予定の課題を遂行できるようにする。
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