研究課題/領域番号 |
23K25518
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補助金の研究課題番号 |
23H00821 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大久保 敏弘 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (80510255)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2027年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2026年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | デジタル経済 / 国際貿易 / 空間経済学 / 災害の経済 / 就業者調査 / グローバリゼーション / 就業者実態調査 / 産業集積 / 企業の異質性 / 空間経済 / 自然災害 / 数量経済史 / 新型コロナ感染症 / 企業 / 就業者 |
研究開始時の研究の概要 |
ポストコロナでは地政学的リスクが増し、自然災害は世界的に頻発し世界経済は混迷している。一方で経済のデジタル化は着実に進んでいる。本研究ではデジタル経済が人や企業の行動を変え、どのように世界経済の不安定を解消できるのかを解明する。デジタル経済の進展について就業者や企業への大規模調査を行い実態を明らかにする。その上で国際貿易論、空間経済学、自然災害の経済学の領域から理論・実証・政策分析する。グローバリゼーション、都市・地域・産業集積、自然災害が、デジタル経済の進展でどう変貌するかを研究する。また比較対象として世界情勢が不安定だった戦前期の数量経済史分析も行なう。
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研究実績の概要 |
デジタル経済に関する就業者実態調査(1万人)をNIRA総研と共同で行った。データを用いて計量経済分析を行った。過去9回にわたって行った就業者調査と接続することでデジタル経済の進展や推移が分かった。テレワークは低迷し通勤に戻り、一方でデジタルツールを利用する人は増え続け、生活全般のデジタル化が著しい。デジタル決済やEコマースが急増しているが、特定の人が頻繁に使う傾向にあることが分かった。NIRA総研にて複数のオピニオンペーパーとして発表した。各論においては①国際経済分析ではグローバリゼーションとデジタル経済の進展を分析した。人工知能やロボットの発達は労働を代替するとともに補完する。既存研究では労働を代替するので脅威的だと捉えていたが、本研究では特定の事務仕事を中心に補完し生産性を上げると日本の就業者が考えていることが分かった(Baldwin=Okubo,WEやOkubo, Lab)。②空間経済分析では企業の異質性の下での理論構築し、産業集積・都市の形成を分析した。特に複数製品を理論分析した(Forslid=Okubo,RSUE)。輸送費やデジタルによるコミュニケーション費用の低減が空間ソーティングを高めることが分かった。③災害の経済分析では関東大震災における横浜市の被災企業について計量分析を行った。震災手形と日銀の政策効果をミクロ分析をした。一連の政策は中小企業の存続を助ける一方でゾンビ企業の増加につながることが分かった(Okazaki=Okubo=Strobl,JMCB)。また、戦前期の府県別の工業統計調査を用いて、災害に関する技術フロンティア分析し、技術が破壊されるものの復興過程で大きく成長する(Mohan,et al.RegStu)。また、近年の市町村レベルの財政データを用いて、災害が教育削減など財政にバイアスを与えることを明らかにした(Ilan et al.JRS)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、デジタル経済に関する就業者実態調査をNIRA総研と共同研究にて2023年度内に1回行った。また、内閣府経済社会総合研究所と共同で企業を対象にした実態調査を行っている。就業者実態調査を基にNIRA総研からオピニオンペーパーとして3本執筆した。さらに、国際貿易、空間経済、防災の経済学、数量経済史の4つの分野において、当初の計画通りそれぞれ各論の分析(理論分析・実証分析・制度分析)を行い、英文にて論文を作成した。さらに査証付きの国際ジャーナルに採択され刊行されている。マクロ経済学のトップジャーナルの一つであるJournal of Money, Credit, Bankingをはじめ、Regional Science and Urban Economics、Journal of Regional Scienceなど、8本程度国際的に定評のあるジャーナルに刊行した。論文本数・質共に当初の想定以上の成果が出ていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き2023年度の進捗度合いを維持し、研究を着実に推進していく。論文の数と質をより高め、世界的な国際ジャーナルへの投稿、刊行を目指す。世界経済の不安定は増幅しており、グローバリゼーションが様々な側面で陰りを見せ、一方でデジタル経済は進展している。このような時流にのり、本研究課題を積極的に推進する。当初の研究計画通り行っていく。具体的には①就業者実態調査を2024年度も継続的に行い、日本のデジタル経済の進展をデータとして定点的に残し、ファクトを積み上げて分析していく。これとともに各論の分析を行っていく。②国際経済分析では引き続きグローバリゼーションの諸側面を明らかにし、③空間経済分析では基礎理論の研究を行っていく。③災害の経済では日本の過去のデータを蓄積し、様々な災害の分析を行っていく。④数量経済史分析では日本の戦前をテーマに国際貿易や投資、自然災害に関して大規模にデータを収集・整理しミクロ実証分析を行っていく。
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