研究課題/領域番号 |
23K25519
|
補助金の研究課題番号 |
23H00822 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
|
研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
金 榮愨 専修大学, 経済学部, 教授 (50583811)
|
研究分担者 |
深尾 京司 一橋大学, 経済研究所, 特命教授 (30173305)
権 赫旭 日本大学, 経済学部, 教授 (80361856)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2026年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 企業間国際ネットワーク / 米中貿易摩擦 / サプライチェーン / 生産性 / 企業内ネットワーク / 企業内資源配分 / 国際調達 / 企業間ネットワーク / グローバルネットワーク / 貿易摩擦 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本企業が関わる国内および国際企業ネットワークにおける米中貿易摩擦やサプライチェーンへの需要・供給ショックが、企業の輸出入、FDI、雇用と賃金、イノベーションと生産性などのパフォーマンスにどのように影響するかを分析し、日本経済の長期成長への示唆を得ることを目的としているものである。 具体的に、ショック伝播のメカニズムと程度、企業パフォーマンス、雇用と賃金などのマクロ経済などへの影響を分析する。また、日本と米国、中国、韓国などの企業間・国際ネットワークを分析し、サプライチェーンの形成と維持、イノベーション、生産性、地域経済やマクロ経済への影響を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究は、取引、資本関係、研究開発などで形成される、企業の国内と国際のネットワークがどのように形成され、変容するか、それが企業のパフォーマンスとマクロ経済にどのような影響を及ぼすかについて実証的に分析することを目的とする。 金榮愨は、楊起中、乾友彦とともに「ロボット輸入が中国企業のパフォーマンスにあたえる影響」の論文の中で、中国企業の生産性が、海外からの資本財(特にロボット)輸入を通して向上したかを実証的に分析している。また、権赫旭は、羽田翔とともに論文「チャイナ・ショックが日本企業の雇用に及ぼす影響に関する実証分析」の中で国際調達環境の変化が国内雇用に与える影響を分析している。 また、金榮愨は、深尾京司、権赫旭、乾友彦、池内健太との共著論文「企業グループ内の資源再配分がマクロ経済の全要素生産性に与える影響」「デジタルトランスフォーメーションが生産性と企業内の資源再配分に与える影響」を通して、日本の企業内事業所間ネットワーク、ビジネスグループ内企業間の資源配分の程度とその変化を定量的に分析して、マクロ生産性への影響を明らかにした。また、金榮愨は、深尾京司、権赫旭とともに、日中韓上場企業の生産性の比較分析を行っており、その結果を論文として「東アジア上場企業(EALC)データベースの作成とTFP上昇率の比較」にまとめた。 さらに、上記の論文「デジタルトランスフォーメーションが生産性と企業内の資源再配分に与える影響」では、日本企業の国内参加事業所のネットワークと国外の海外現地法人のネットワークのパフォーマンス及びダイナミズムにおけるIT化の貢献と影響を分析し、残念ながらその影響が限定的であることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、企業レベルデータ、事業所・企業データ、ビジネスグループデータ、取引データなどを用いて、分析を行い、論文としてまとめた。 企業の国際ネットワークとしては、輸出入の通関データと企業及び事業所データ、また、国内取引データ、国外現地法人データなどを接続する作業を進めており、基礎的な分析を行ってきた。2024年度は分析をさらに進める。 日中韓企業データを特許と技術のデータと関連付けて分析するためのデータをさらに構築中で、次のステップに進めている。2024年と2025年度に分析結果を得ることが期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
研究課題の柱の一つである、米中貿易摩擦やサプライチェーンの寸断による影響と波及効果を、企業の国内外ネットワークデータを用いて分析する。現在、企業・事業所レベルでの通関データと企業及ぼ事業所のデータ、さらに国内企業間取引データをマッチングすることで、企業の国内他企業との取引、国外他企業との取引、国外現地法人との取引が、互いにどのように変貌し、それが企業の生産性と売り上げ、雇用などにどのような影響を与えているか、の分析を進めている。今までのサプライチェーンの研究は主に国内と国外の代替、もしくは海外の輸出・輸入先の変化による効果の分析が主だったが、本研究ではそれをさらに、企業レベルで分析し、企業間の関係や構造まで分析することになる。また、同様のデータセットを用いて、国家間貿易制限のために、上記の取引ネットワークがどのように変貌するかを追跡する。 また、近年の国際環境の変化の中、日中韓企業の技術的な競争と協力、技術の伝播とスピルオーバーを、産業レベルだけでなく、企業レベルと技術、特許などのミクロレベルで分析し、東アジアにおける、企業間のダイナミズムの変化を明らかにする。取引関係、資本関係、地理的距離、技術知識などによるネットワークを通じたスピルオーバーを測り、ネットワーク構造の変化(例えば取引関係の希薄化、国内生産ネットワークの解体、技術知識占有の深化など)がもたらした経済全体のイノベーションと生産性への影響を明らかにする。 第三に、既存の企業ネットワークが新たな国際企業ネットワークの形成にどのように貢献するかを明らかにする。貿易相手の選択には、価格と費用以外にも情報の非対称性、信用、契約履行のエンフォースメントなども深く関わる。既存の取引関係や資本関係、研究開発などの協力関係が影響を与えるかを、日米の企業ネットワークデータを用いて分析する。
|