| 研究課題/領域番号 |
23K25554
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| 補助金の研究課題番号 |
23H00857 (2023)
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| 研究種目 |
基盤研究(B)
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| 配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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| 研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
三井 泉 神戸大学, 経営学研究科, 客員教授 (00190679)
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| 研究分担者 |
河口 充勇 帝塚山大学, 文学部, 教授 (00469074)
藤本 昌代 同志社大学, 社会学部, 教授 (60351277)
上林 憲雄 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (00243296)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2028-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
2027年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2026年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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| キーワード | 事業継承 / 東アジア企業 / 価値創造 / ネットワーク / 経営人類学 |
| 研究開始時の研究の概要 |
日本をはじめとする東アジア諸国の企業は、現在「事業継承や後継者の問題」に直面して いる。その原因として、各国の高度成長期に誕生した家族企業を出自とする企業の創業者が引退する時期を迎えたことや、少子化によって後継者難に直面していることなどが挙げられる。こうした現象は、急速な高齢化社会の進展とも相まって、深刻な問題に発展しうると考えられる。このような「事業継承や後継者の問題」を単に企業経営の問題として捉えることは、問題を矮小化してしまう可能性が高い。そこで本研究では、遺産相続や家族の継承をはじめとする社会、文化背景等を含めたトータルな視点から分析する。
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| 研究実績の概要 |
2024年度は、昨年度実施できなかった海外調査を含めいくつかの国内外調査を行った。2024年8月には台湾調査、2024年8月には北海道調査(以上は補助金による出張)、そして11月には広島県西条の酒造業調査を行った。それと同時に、海外との研究交流のための国際シンポジウム(日本-台湾、日本-韓国)を行った。 11月12日~13日に行われた西条「酒祭り」の調査(参加者:三井、藤本、住原、竹内、郭)では、まず酒造の技術面でのネットワークを探るために、精米機の世界的メーカーである株式会社サタケ本社を訪問し、広報担当者等を中心に、その創業から今日に至るまでの歴史、技術の進展と歴代事業継承者の姿、事業や産業の世界的ネットワークについてインタビューを行った。また、酒祭りでは、酒造業と地域との関係について、数々のイベントの見学とともに、酒造研究所、酒造業者、ならびに杜氏へのインタビューを行った。その結果、日本を代表する酒造りの街における、コミュニティー、酒蔵、蔵人、経営者の関係性が浮上し、事業継承の位置づけを再考する機会となった。 2024年2月17~21日には、韓国ソウル市の延世大学において李志満教授を中心に日韓シンポジウム、その後、安東市で老舗調査が行われた(参加者:李、藤本、岩井、山内、洪、三井)。シンポジウムでは、日韓の事業継承の相違のみならず、アジアと西欧の継承の比較等についても考えるよい機会となった。安東市では、老舗の焼酎企業を訪ね、3代にわたる継承について、現在の社長とその子息にインタビューを行った。 2025年3月1日には、同志社大学において、中国文化大学の沈美雪教授を招へいし、我々研究メンバーとのシンポジウムを行った(登壇者:沈、住原、河口、藤本、三井)。このことから、台湾と日本の事業継承の相違が明らかとなってきた。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究は、2023年度には、研究メンバーおよび海外の研究協力者の事情ならびに、対象地における自然災害などの理由により、ほとんど調査ができなかった。その間については、研究代表者と研究分担者が中心となり、文献収集やメンバー間の研究打ち合わせや情報交換を行い、資料の蓄積を主として行ってきた。このことから、基本文献や資料の蓄積は各研究機関で進められており、メンバー間でもクラウドなどで共有されている。 また、2024年度に入り、状況が改善されることにより、国内外の調査が順調に進むようになり、新たな海外での研究協力者も得ることができ、順調に海外での研究ネットワークが築かれつつある。この結果として、特に、台湾と韓国の調査が順調に進むようになった。当該補助金の関係では、台湾(台北)での調査をきっかけとして、大学(中国文化大学)や台北の老舗企業ならびに台湾各地に点在する市場での事業継承研究を勧められる基盤が出来上がってきた。また北海道においても、事業継承者や研究機関等の連携の基盤が築かれつつある。今後は、他の地域にも研究を進めて、日本の地域間における事業継承の比較研究への進展が期待される。 さらに、この研究の方法論的母体である「経営人類学」も、国内外で注目を浴びる存在となっており、この研究メンバーもほとんどがその研究を共有していることから、今後は、それぞれの研究の相互作用により、本研究もさらなる国内外への発信が期待できる。
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| 今後の研究の推進方策 |
今までに蓄積してきた研究資料、調査結果、人的ネットワークを基盤として、さらに研究計画に従って進めていきたい。特に2025年度は、研究3年目(期間5年)の中盤に差し掛かるため、現地調査の進展もさることながら、収集した結果をある程度まとめて、論文、研究ノートや口頭発表の形で、国内外へ向けて発信していきたいと考えている。すでに現在予定されているのは、2025年6月14日~15日に東京(中央大学)で開催される国際会議GBAS(Global Business Anthropology Summit)における共同報告(三井、藤本、住原、岩井、山内、奥野、出口、竹内、郭、池田)である。ここでは、三井が全体のフレームワークを示した後で、全員が今までの調査結果をケーススタディの形で報告をする予定である。この会議は実務家を含め、世界中から参加者が集まるので、我々の研究を世界発信できる最初の機会である。 また、今後は日本、韓国、台湾、中国の事業継承の比較のフレームワークをさらに精緻化することが必要となる。すでに暫定的な枠組みは三井が作成し、研究会等で発表しているが、それをさらに現実のケースに照らし合わせつつ、全員で検討していく予定である。また、今まで関係を深めいるアジアの研究機関(中国文化大学、延世大学など)の連携をさらに強めるため、相互に研究交流をしたいと考えている。 研究の深化という点では、今まで蓄積してきた日本の伝統産業(特に酒造業や陶磁器業など)に加えて、近代化以降いろいろな形で進展すると同時に、継承問題も深刻化しているとされる印刷業、製本業、出版業などについても、昨年度からパイロット調査を始めているため、さらに深めていきたいと考えている。また、可能であれば、一次産業にも視点を広げ、農業の事業継承まで調査を広げることを検討している。
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