研究課題/領域番号 |
23K25630
|
補助金の研究課題番号 |
23H00933 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
|
研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
辻野 けんま 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (80590364)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2026年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
|
キーワード | 公教育の射程 / 国民国家 / 国際研究 / アイデンティティ / イデオロギー / 公教育 / humanization / ナショナリズム / 教育経営 / アイデンティティとイデオロギー |
研究開始時の研究の概要 |
コロナ禍や働き方改革等の問題は、学校教育が「何を/どこまで」保障すべきなのかという問いをつきつけた。この問いは、家庭や地域社会など学校外の教育機会のあり方とも対をなす「公教育の射程(目標と範囲)」への問いとも言える。日常自明視され分析対象となりにくい問いに対して、10ヵ国の研究者との国際研究により公教育の基底をなす国民国家のパラダイムを相対化し、グローバルな福祉社会への教育課題を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
10か国の教育研究者が「(re)humanization of Public Education in Post Nation State Era」という共通の研究課題の下で、教育政策などのマクロレベル、学校経営などのメゾレベル、教育実践などのミクロレベルの諸相からアプローチするのが本研究である。この研究課題の背景には、国ごとに多様であるはずの公教育制度において、国民国家の作用が直接・間接に高まりつつあるという共有の課題意識がある。国際研究を通して、国民国家パラダイムを越えた公教育のありようを問うことが主たる研究課題となる。 研究初年度にあたる2023年度の上半期は、海外共同研究者との共同研究体制を構築することを主眼に置いた。まず、ブータンにて開催された国際教師教育学会(International Society for Teacher Education)における研究報告を基礎に、研究関心の共有と深化を図った。あわせて、インドでの調査・研究協議を行った。また、ドイツ、インドネシアの海外共同研究者を日本に招聘し、国際シンポジウムを開催するとともに、研究協議や共同調査を重ねた。 2023年度の下半期には、ドイツでの調査および研究協議、研究報告を行った。また、カナダでの調査および研究協議、研究報告を行った。オンラインでの国際ジョイントセミナーを国際発信ならびに研究協議の場として継続的に開催し、複数国からの参加者を得て研究討議の深化を図った。 研究初年度の成果として、教育行政の作用とナショナリズム、アイデンティティの問題が各国共有の課題として認識された。とりわけ、教育と政治との関係のあり方が問いなおされるべき課題であることが、各国に共通してみられる特徴として明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多国間の海外共同研究者との連携による国際研究を特徴とする本研究では、何よりも研究課題の共有化が最大の課題となる。各国それぞれに異なる社会背景や教育研究の潮流などが当該国固有のパラダイムも生じさせるからである。一方で、学力の国際比較調査などの影響をうけた国際的に共有化されるテスト政策の潮流も生じている。本研究はこれらと一定の距離をおきながら、「(re)humanization of Public Education in Post Nation State Era」という共通の研究課題の下で、海外共同研究者らとの共通の議論の俎上を作ることが、研究初年度の目標であった。 以上について、とくにポスト・コロナ期に移行しつつある出入国管理の緩和にともない、現地訪問や海外からの研究者招聘を予定通り重ねることができた。研究成果を適時にとりまとめながら発信し、研究協議を深めることにもつながっている。以上より、総合的に研究の進捗は順調であると判断される。
|
今後の研究の推進方策 |
研究2年目にあたる2024年度は、研究代表者の長期海外滞在を予定しており、その期間中に海外との研究ネットワークを強化していくことを主眼においている。まず、上半期には前年度の研究成果を総括し国際学会にて発表する。海外共同研究者を訪問し、現地での共同調査および研究協議を引き続き重ねていく。また、ジョイントセミナーを継続的に開催し、国際的な研究討議の場を充実させていく。研究3年目以降は海外共同研究者の日本招聘に重点をおき、研究成果を国際シンポジウムの形で発信していく予定である。
|