研究課題/領域番号 |
23K25632
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補助金の研究課題番号 |
23H00935 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
間篠 剛留 日本大学, 文理学部, 准教授 (90756595)
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研究分担者 |
古田 雄一 筑波大学, 人間系, 助教 (20791958)
長嶺 宏作 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (30421150)
佐藤 仁 福岡大学, 人文学部, 教授 (30432701)
原 圭寛 昭和音楽大学短期大学部, その他部局等, 講師 (30779880)
岸本 智典 鶴見大学, 文学部, 准教授 (50757713)
宮口 誠矢 東北大学, 教育学研究科, 特任研究員(日本学術振興会特別研究員PD) (70984269)
吉良 直 東洋大学, 文学部, 教授 (80327155)
石嶺 ちづる 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (80551655)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
2026年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 米国教育史 / 教師の専門性 / 教師の専門職性 / アメリカ教育史 / 米国 / 教員養成史 / 教員史 |
研究開始時の研究の概要 |
近年米国においては、新自由主義的な教育改革や社会的分断状況を反映して教師の専門性・専門職性が揺らいでおり、それに対して新たな専門性・専門職性を構想しようとする動きがある。本研究はこうした展開を、歴史的な文脈の上で多様なアクターのせめぎ合いの結果あらわれてきたものとして捉え、その内実と特徴を明らかにする。この目的のため、現地調査やインタビューを駆使して現代的展開を明らかにする研究者と、アーカイブ資料を含む文献研究によって歴史的・思想的研究を行う研究者の共同という体制をとる。
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研究実績の概要 |
本研究の核心となる問いは、「米国において教師の専門性・専門職性は、社会的状況や様々なアクターによって、歴史的にどのように確立されようとしてきたのか。そしてその歴史の上に、現代においてどのような新たな展開がみられるのか」である。この問いにこたえを出すべく、今年度は、教師の専門性・専門職性に関する主要な問題や研究についてレビューを行い、研究グループ全体での関心を共有するとともに、次年度以降の研究の論点を明確化することを目指した。 まず、全体会合を2023年5月に実施し、研究目的・内容・方法などに関して参加者間の共通認識を構築した。 次に、6月、8月に研究会を行ったうえで、日本教育学会第82回大会(8月24日)で「アメリカにおける教師の専門性の史的変遷」と題するラウンドテーブルを企画した。ここでは教師の専門性の基盤としての科学とアートの関係に注目し、20世紀への世紀転換期に哲学者ジョサイア・ロイスの果たした役割と意義、ハーバード教育大学院における「科学」の位置づけ、1980年代以降の教師教育改革における「省察」と「科学」の関係、という3点について検討を行った。 その後、9月に全体会合を行ったうえで、アメリカ教育史研究会2024年全体会(3月3日)で「アメリカにおける教師の専門性・専門職性:歴史を踏まえた論点整理」と題するラウンドテーブルを企画した。ここでは、米国独特の制度構造が教員養成や採用、身分、待遇にどのように影響を与えてきたか、そして近年教師の専門性・専門職性がどのように議論されはじめているかを検討した。その結果、専門性や専門職性をそれだけで検討するのではなく制度構造と関連付けて考える必要があること、および教師集団内の中心と周縁という構造も検討する必要があることが、今後の課題として浮上してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、研究目的・内容・方法などに関して参加者間の共通認識を構築するとともに、教師の専門性・専門職性に関する主要な問題や研究についてレビューを行い、研究グループ全体での関心を共有することができた。 教師の専門性と科学という小テーマについては、より具体的な状況を明らかにすることができた。20世紀初頭以降、測定可能性を重視した科学の隆盛に伴い、それへの向き合い方によって多様な教育の論じ方が生まれてきたことが明らかになった。 また、ラウンドテーブルでの発表と議論を通じて、専門職としての教師の在り方が一枚岩ではなく多様であること、その状況に制度構造が大きく影響していること、クラス教師の養成だけでなくカリキュラムワーカーや教育行政職の養成等も含めた研究が必要なことなどの課題も見えてきた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度において、全体の研究課題と内容・方法に関する共通認識を一定程度構築することができたので、今後は、研究グループに分かれて個別研究の進展を図る予定である。現代的問題圏の検討グループは、教育内容をめぐるポリティクス、教員養成の理念をめぐるポリティクス、教員養成の周縁部の展開、および市民性教育の観点からみた教師について調査・検討を行う。歴史的問題圏の検討グループは、教師の専門性・専門職性の背景としての教育とデモクラシーの関係、および教師の専門性における科学の問題について、調査・検討を行う。その際、前述の通り、専門性や専門職性をそれだけで検討するのではなく制度構造と関連付けて考える必要があること、および教師集団内の中心と周縁という構造も検討する必要があることに留意する。 また、令和6年度は日本教育学会大会において「アメリカにおける教師の専門職性の歴史的展開」と題するラウンドテーブルを企画し、研究発表と議論を行う予定である。令和5年度は専門性に注目したが、令和6年度は専門職性に注目し、制度構造との関係を明らかにしていく。また、アメリカ教育史研究会全体会においてもラウンドテーブルを企画し、個別の現地調査を全体で共有し、広く研究の交流を行う。
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