研究課題/領域番号 |
23K25642
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補助金の研究課題番号 |
23H00945 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川田 学 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (80403765)
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研究分担者 |
吉川 和幸 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 研究企画部, 総括研究員 (30528188)
榊 ひとみ 札幌学院大学, 人文学部, 准教授 (30757498)
長津 詩織 名寄市立大学, 保健福祉学部, 講師 (40553491)
美馬 正和 北海道文教大学, 人間科学部, 講師 (40738374)
高橋 真由美 藤女子大学, 人間生活学部, 教授 (50405643)
及川 智博 文教大学, 教育学部, 講師 (50879450)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
2026年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 異年齢保育 / 発達 / 年齢 / 実践論理 / 相互構成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、異年齢保育の実践論理の分析を通して、従来の年齢別編成と発達心理学における発達観との結びつきを相対化する。保育の発達への影響を知るために、しばしば年齢別保育と異年齢保育をそれぞれ独立変数とし、その効果を直線因果的に分析する研究が多数ある。しかし、文化歴史的発達理論の立場からは、人間の行為や発達が文脈と相互構成的であるとされ、異年齢保育も外的要因ではなく、人間発達と相互構成的な実践として捉える必要がある。近年の異年齢の保育への関心の高まりは、行きすぎた年齢分離による学校型のコミュニケーション・パターンそのものの相対化を内包しており、理論運動・思想実践としての意味を問う研究が求められる。
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研究実績の概要 |
研究初年度にあたり、研究メンバー間での研究計画、関連概念、研究動向について共通理解を促すための研究会やミーティングを重ねた。一方で、異年齢保育実践の盛んな熊本県の保育所5か所(都市部および郡部)への訪問調査を行うとともに、異年齢保育を実践する保育所6園の保育士を対象としたワークショップ型ヒアリングを実施した。これらにより、異年齢保育の実践論理に関わる語彙やエピソードを収集することができた。道北地方(北海道の北部)の実地調査では、20年以上の異年齢保育の蓄積がある保育所と、ここ10年で異年齢保育を始めた保育所を訪問し、聞き取り調査を行った。異年齢保育に至った経緯や実践上の成果と課題については、保育方針はもちろんのこと、地域環境や保育所の間取り等、構造的要因も大きく影響することが見出された。このほか、東京や道東(北海道の東部)で異年齢保育を行っている現場、幼少期に異年齢保育を経験した大学生への聞き取りも行った。加えて、保育現場だけでなく、縦割りクラス編成を行う私立小中学校(A校)への訪問調査も行った。A校は、授業の大半を「プロジェクト」と呼ばれる完全な縦割りクラスで実施しており、訪問調査では、小学校の4つのプロジェクト、中学校の3つのプロジェクト、また小学校、中学校全校生徒が集まり実施するミーティングの参与観察を行い、異年齢の児童・生徒の関わり、教師と児童・生徒の関わりについて記録した。また、A校に勤める、公立の小学校、中学校の勤務経験のある教師2名に対するインタビュー調査を行い、A校に勤めるまでの経緯、A校に勤める中で経験した、縦割りクラスでの子どもたちの関わりやエピソード等について聞き取りを行った。これらの実地調査を踏まえて、今後異年齢保育の実践論理について多角的に検証していくための情報収集を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、理論的基盤の整理作業と各地の異年齢保育現場への訪問調査、カンファレンス(ワークショップ型ヒアリング)を実施することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、北海道、熊本、東京、山梨の各現場への訪問調査を継続するとともに、新たに近畿地方や中部地方の異年齢保育現場への実地調査も進める予定である。異年齢保育は、全国各地に広がりつつあるが、1年目の調査により、地域性によって保育プロセス上の異年齢保育の位置づけには差異があることが見えてきた、また、理念的に異年齢保育を行っている場合にも、どのような実践の側面や子どもの姿に価値を見出すかにはバリエーションがあることが想定される。こうしたバリエーションを丁寧に記述していくために、実地調査とヒアリングを重視していく。また、増加傾向にあるとされる異年齢保育の実施状況の実態において不明の点も多い。そのため、2年目から3年目にかけては、全国規模の質問紙調査を実施し、異年齢保育実践の分布を明らかにしたい。
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