研究課題/領域番号 |
23K25657
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補助金の研究課題番号 |
23H00960 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
唐木 清志 筑波大学, 人間系, 教授 (40273156)
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研究分担者 |
桑原 敏典 岡山大学, 教育学域, 教授 (70294395)
桐谷 正信 埼玉大学, 教育学部, 教授 (90302504)
磯山 恭子 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (90377705)
井上 奈穂 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (00580747)
橋本 康弘 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 教授 (70346295)
川崎 誠司 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10282782)
木村 勝彦 茨城大学, 教育学部, 教授 (60241759)
鈴木 隆弘 高千穂大学, 人間科学部, 教授 (40433685)
樋口 雅夫 玉川大学, 教育学部, 教授 (70510189)
峯 明秀 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 教授 (10379323)
坪田 益美 東北学院大学, 地域総合学部, 准教授 (20616495)
藤瀬 泰司 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (30515599)
小松 伸之 清和大学, 法学部, 准教授 (80609777)
保立 雅紀 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (40965498)
中平 一義 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50758597)
橋崎 頼子 奈良教育大学, 学校教育講座, 教授 (30636444)
永田 忠道 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (90312199)
小貫 篤 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (60965375)
前田 輪音 北海道教育大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (30326540)
中原 朋生 環太平洋大学, 次世代教育学部, 教授 (30413511)
吉村 功太郎 宮崎大学, 大学院教育学研究科, 教授 (00270265)
真島 聖子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10552896)
田村 徳至 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (60710085)
栗原 久 東洋大学, 文学部, 教授 (00345729)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2025年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 主権者教育 / 社会科教育 / 公民教育 / 市民リテラシー / 小中高一貫 / 社会科 / 公民科 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、市民リテラシーを育成する主権者教育が、小学校・中学校の社会科と高等学校の公民科における中核的な教育活動の一つであるという前提に立ち、小学校3年生から高等学校3年生までの10年間を見通した小中高一貫の主権者教育カリキュラムを、社会科及び公民科において開発する研究である。 本研究では、実態調査研究と実践研究を二つの柱とする。前者では、児童生徒と教員への意識調査を実施し、社会科・公民科における主権者教育の実態をつかむ。後者では、政治・法・経済の三つの内容領域から主権者教育に関する実践研究を深め、カリキュラム開発と授業モデルの構築を行う。双方の研究を往還させ、総合的に研究を進める。
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研究実績の概要 |
当該年度に実施した研究の成果は、4点である。 第一に、研究組織を確立するとともに、3年間に及ぶ研究の計画を立てた。本研究は、国内実態調査研究と実践研究の二つの柱から構成される。そして、その二つの柱を、総括研究がコーディネートするという構造になっている。このうち、実践研究に関しては、研究者と実践者(学校現場教員)が協働して進めるという特徴があり、研究に賛同する実践者を公募し、政治教育・法教育・経済教育の3領域それぞれにおいて、研究組織を確立した。大学研究者を中心とする研究分担者と研究分担者、合計25名に、実践者50名程度を加えて、研究をスタートさせた。 第二に、「市民リテラシー」の概念整理を行い、確定した。具体的には、市民リテラシーを「持続可能な社会を実現するために市民が有すべき資質・能力」と定義し、その下位概念に「政治リテラシー」「法リテラシー」「経済リテラシー」の三つを位置付け、入れ子構造で市民リテラシーを捉えることにした。ただし、この定義は暫定的なものである。今後の研究の視点に応じて、適宜修正することも念頭において、市民リテラシーの定義を行った。 第三に、国内実態調査研究として、小学校5年生、中学校2年生、高等学校2年生を対象に市民リテラシー意識に関する質問紙調査を、小学校・中学校・高等学校に勤務する社会科及び公民科教員を対象に市民リテラシー育成に関わるインタビュー調査をそれぞれ実施した。児童生徒への質問紙調査は、全国各地より、合計で8,000名程度から回答を得た。また、教員へのインタビュー調査は、これも全国各地より、合計で50名程度の回答を得た。次年度は、この分析を進め、実態を把握することに努める。 第四に、実践研究として、研究者と実践者が協働して活動を開始、継続させた。最終的には、「カリキュラムマップ」と「資質・能力マップ」の完成と、授業の実施とその評価を遂行する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究組織も確立され、国内実態調査研究と実践研究の双方で、確実に研究を遂行している。おおむね順調に進展していると判断できる状況である。 これまでに合計で4回の全体研究会を実施した。また、それと関連して、国内実態調査研究と実践研究をコーディネートする総括研究グループにおける打ち合わせを合計で5回開催した。後者の打ち合わせにおける綿密な協議を経て、全体研究会も充実した内容となった。 6月に実施した第1回の全体研究会では、主として日本公民教育学会の会員を対象として、研究全体の内容を説明し、研究への参画を促した。その際の協議を経て、「市民リテラシー」の定義を確立した。8月に実施した第2回の全体研究会では、研究組織を確立した。併せて、児童生徒を対象とした質問紙調査の内容と、教員を対象としたインタビュー調査の内容を検討した。国内実態調査研究と実践研究を連動させることが、研究の発展に重要であると考えているからである。1月に実施した第3回の全体研究会では、実践研究における実践報告を、政治教育、法教育、経済教育の各領域より2名ずつ(研究者1名、実践者1名)報告してもらい、全体協議を行った。全体研究会とは別に、実践研究グループ内に組織された政治教育・法教育・経済教育の各グループで個別に研究を進めているところから実現できた取り組みである。3月に実施した第4回の全体研究会では、先に示した政治教育・法教育・経済教育の各グループの進捗状況を報告してもらった。このように常に、個別グループの研究を全体の場で可視化していくことが、研究全体を先に進めるために大切である。 このような進捗状況を踏まえ、次年度はさらに研究を前進させるつもりである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策を、3点より記す。 第一に、国内実態調査研究の結果を分析し、実践研究の遂行に資する視点を抽出することである。そして、抽出された視点を、実践研究の発展のために活用していくことである。児童生徒への質問紙調査も、教員へのインタビュー調査もすでに終了し、その結果を分析する段階に至っている。分析にあたっては、分析結果に基づき、本研究課題(社会科・公民科における市民リテラシーを育む小中高一貫主権者教育カリキュラムの開発)の推進に資する視点の抽出までを敢行したい。両調査の結果だけでも十分に価値のある研究であるが、さらにそこから実装化に向けての視点を抽出することができれば、研究成果の社会への還元も可能になると考える。 第二に、実践研究をさらに深めていくことである。政治リテラシー、法リテラシー、経済リテラシーと、市民リテラシーを下位概念に分け、その枠組みにおいてグループを構成して研究を進めているが、この三つの研究グループの取り組みを加速化させる。その際、「資質・能力マップ」と「カリキュラムマップ」の二つが鍵となる。これらを各グループに作成してもらいながら、適宜他グループで作成した二つのマップを共有しながら研究を進める。また、実践研究に関わる三つのグループには、それぞれ授業づくり及び単元開発に際してポイントを設定してもらっている。政治リテラシーのグループであれば、模擬選挙をはじめとする体験的な活動といった具合である。このように、グループごとにポイントを決めて授業実践を積み重ねていくことで、全体だけでなく、個別的にも意義のある研究が成立すると考える。 第三に、これら一連の研究を公開研究会や公開シンポジウムを通じて、社会に向けて広く発信していくことを検討している。市民リテラシーの育成に関して、社会科及び公民教育の領域で大きな流れを作っていくことを念頭に置きたい。
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