研究課題/領域番号 |
23K25664
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補助金の研究課題番号 |
23H00967 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
藤田 大輔 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243293)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2025年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2024年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 安全教育 / ヒヤリハット / SPSサポーター / セーフティプロモーションスクール |
研究開始時の研究の概要 |
情報端末を活用した「校内ヒヤリハット登録システム」を新たに開発し、国内外で普及が進んでいるセーフティプロモーションスクール(SPS)において、開発したシステムを利用して、教職員に加えて児童生徒やPTA等による校内安全点検活動で得られたヒヤリハットへの気づきの相互共有を起点としつつ、学校の管理下における安全推進活動を担う中核人材の養成を目的とした「SPSサポーター育成プログラム」を開発する。 このプログラムの国内外の学校への展開と評価を通じて、将来の学校と地域の安全推進に関わる課題解決能力を持った学校安全協働人材(チーム学校安全)の社会実装に及ぼす有効性について検証する。
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研究実績の概要 |
令和4年3月25日に閣議決定された第3次学校安全の推進に関する計画で、「地域の多様な主体と密接に連携・協働し、子供の視点を加えた安全対策を推進する」ことや「事故情報や学校の取組状況などデータを活用し学校安全を「見える化」する」ことが必要であると明記された。そしてその具体的な方策として、①「学校における安全に関する教育の充実」を図るための「学校における教育手法の改善」として「デジタル技術を活用した安全教育の実施状況」、②「学校における安全管理の取組の充実」を図るための「学校における安全点検に関する手法の改善」として「児童生徒が安全点検に参加する活動を行っている学校数」、③「家庭、地域、関係機関等との連携・協働による学校安全の推進」のために、「学校安全に関するPTAの参画状況(安全点検、登下校時の見守り活動等)」の3点が、主要指標として位置付けられた。 本研究では、まず初年度の活動として、前述した3つの主要指標に関わる実践として、国内のセーフティプロモーションスクール(SPS)実践校の中学校1校から「校舎見取り図」の提供を受け、児童生徒及び教職員・PTA等が校内で発見・遭遇したヒヤリハットポイントを、校内無線LAN環境に接続されている情報端末(タブレットPC等)の画面上でタップ入力できる「校内ヒヤリハット登録システム」を新たに開発し、当該校へ導入し、実証実験を開始した。併せて、本実証実験への参加後における当該校の生徒を対象に安全意識調査を実施し、計403名の回答を得た。また、本実証実験の海外の学校での普及可能性を検証することを目的として、本研究期間中に新たに「校内ヒヤリハット登録システム」を導入し、本実証実験へ参加することに内諾が得られた中華人民共和国の中学校3校に在籍する生徒を対象に、日本で実施した調査項目と同じ内容からなる安全意識調査を実施し、計1309名から回答を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①大阪教育大学の情報セキュリティポリシーに基づいて、「校舎見取り図」の提供に同意が得られた国内のSPS実践校の中学校1校から「校舎見取り図」の提供を受け、生徒及び教職員・PTA等が校内で発見・遭遇したヒヤリハットポイントを、校内無線LAN環境に接続されている情報端末(タブレットPC等)の画面上でタップ入力できる「校内ヒヤリハット登録システム」を開発し、当初予定通りに当該校へ試験的に導入した。 ②「校内ヒヤリハット登録システム」を導入した中学校で、令和5年10月から、開発したシステムの試用実験を開始し、生徒と教職員から校内ヒヤリハット事例とその改善提案データの収集を行った。この試用実験で得られたデータや生徒・教職員から寄せられた提案を参考に本システムの改修を行った。 ③「校内ヒヤリハット登録システム」を導入した中学校に在籍する生徒及び教職員を対象に、google formを用いたオンライン型の「安全意識調査(導入前)」を実施し、生徒403名、教職員24名から回答を得た。また、本実証実験の海外の学校での普及可能性を検証することを目的として、本研究期間中に新たに「校内ヒヤリハット登録システム」を導入し、本実証実験へ参加することに内諾が得られている中華人民共和国の中学校3校に在籍する生徒及び教職員を対象に、当初の実施計画を前倒しして、日本で実施した調査項目と同じ内容からなる「安全意識調査(導入前):中国語版」を実施し、生徒1309名、教職員135名から回答を得た。なお本「安全意識調査」の実施にあたっては、事前に大阪教育大学倫理委員会の審査と承認を得た。 ④「校内ヒヤリハット登録システム」を導入した国内の中学校1校で、令和6年4月から改修後の「校内ヒヤリハット登録システム」を活用した実証実験を開始し、当初予定通りに、校内ヒヤリハット事例とその対策提案データの集計を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
①国内外で普及が進んでいるセーフティプロモーションスクール(SPS)活動に参加している学校を対象に、新たに開発した「校内ヒヤリハット登録システム」を用いた本実証実験への協力を、国内の小学校と中学校、計6校以上に拡充するとともに、研究交流の実績がある中華人民共和国(中国)の華東師範大学の協力を得て、中国の小学校と中学校にも本実証実験への協力を拡大する。 ②開発した「校内ヒヤリハット登録システム」を利用して、教職員に加えて児童生徒やPTA等による校内安全点検に関わる活動で得られたヒヤリハットへの気づきの相互共有を起点とする安全教育活動を中核とした「SPSサポーター育成プログラム」を開発する。 ③「SPSサポーター育成プログラム」の開発にあたっては、当該SPS実践校でSPS推進員の資格を有する教職員の協力のもとに、校内ヒヤリハット事例・改善提案を基盤とする校内の安全推進のための課題とその実効性のある対策について考えるという、アクティブラーニングのProject Based Learningの考え方を取り入れた安全教育を展開し、その実践を通じた教育効果を分析し評価する。 ④新たに開発した「SPSサポーター育成プログラム」を実践展開した後、その実効性と残された課題について検証するためのワークショップを開催し、本安全教育活動に参加した国内のSPS実践校でSPS活動に従事しているSPS推進員等の意見を参考に「SPSサポーター育成プログラム」の改修を行う。 ⑤SPS活動に関心を持つ国内外の学校関係者を対象にセミナーを開催し、開発した「SPSサポーター育成プログラム」の展開事例とその評価を共有することを通じて、将来の学校と地域の安全推進に関わる課題解決能力を持った学校安全協働人材(チーム学校安全)の国際的な社会実装に及ぼす有効性について検証する。
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