研究課題/領域番号 |
23K25665
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補助金の研究課題番号 |
23H00968 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
橋爪 一治 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (70709740)
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研究分担者 |
板垣 翔大 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (20847850)
伊賀崎 伴彦 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (70315282)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
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キーワード | 木材加工 / 技能習得 / 巧緻性 / 運動錯覚 / 巧緻技能 / 力覚デバイス / 技能指導 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,専門教育機関において「誰もが,一定期間に巧緻な木材加工技能を確実に身につける」ことを目指す。そこで,学習者に,熟練者の巧緻な作業動作をあたかも自分自身が行っているような運動主体感の強い疑似体験をさせて木材加工技能を習得させる。 そこで,運動錯覚(RHI)を用いて運動主体感を高めることを着想した。この技術を用いて,熟練者が行う巧緻な作業動作を学習者自身が行っている確固たる感覚を経験させ,暗黙知を醸成する。これにより,本研究の技能指導は,RHIで運動主体感を高め,力覚デバイスで巧緻技能を体験させて作業動作を理解させ,VRによる視聴覚への働きかけで作業中の視線の運びなどを理解させる。
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研究実績の概要 |
本研究は,専門教育機関において「誰もが,一定期間に巧緻な木材加工技能を確実に身につける」ことを目指して行っている。そこで,学習者に,熟練者の巧緻な作業動作をあたかも自分自身が行っているような運動主体感の強い疑似体験をさせて木材加工技能を習得させる指導法の在り方を検討している。このために,力覚デバイスによって,巧緻な木材加工技能を体験しているときに,同時に,運動錯覚(RHI)を用いて運動主体感を高める指導法を着想した。この技術を用いて,熟練者が行う巧緻な作業動作を学習者自身が行っている確固たる作業感覚を経験させ,巧緻な技能とは,いかなるものであるかを認知する訳である。 今年度は,本研究の初年度であり,手始めに,基礎的な内容を主な研究として行った。すなわち,①錯覚が起きていることを,本人の主観だけで判断していたものを,脳波により客観的に確認することであった。このため,被験者の上肢の異なる2カ所に振動刺激を与え,脳波の違いをみて,錯覚が生起される脳部位などの特定を試みた。 また,もう一つの基本的な研究として,②われわれが開発した技能指導システム(力覚デバイス等の感覚支援装置)により,技能が向上するのかを確かめることであった。これは,開発したシステムに熟練者の巧緻技能を記憶させ,それを初心者である被験者に与えながら木材加工を行う実験により確認した。この関連研究として,技能が上達したことを,木材片からミクロ的に評価する研究にも取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,次の2点の基礎的な研究を行った。すなわち,①錯覚が起きていることを,本人の主観にたよって確認していたものを脳波により客観的に確認する研究,②われわれが開発した技能指導システム(力覚デバイス等の感覚支援装置)により,技能が向上するのかを実際に確かめる研究であった。 ①についてであるが,具体的には,錯覚生起位置と錯覚非生起位置への振動刺激による表出される脳波の違いを比較することで調査した。その結果,一次運動野C3や一次体性感覚野P3に特徴が見られるなどの結果を得た。 ②についてであるが,対象はのこぎり引きとした。これを,完成させた力覚システムを用いて,熟練者の巧緻技能を記憶した。記憶した情報は,のこぎり引きを操っている運動そのものである。これは,すなわち,熟練者の巧緻技能をシステムが記憶したことになり,条件によっては,人がまったく関与せずにシステムが板材を切断してしまうことができるよう設計した。加えて,その巧緻な切断作業中の様子を,前方,側方に加え,目線位置(顔の額の部分)のカメラで視聴覚映像として記憶した。 これらの情報を,初心者に与え,のこぎり引きが上達するか否かの実験を行った。その結果,技能の向上が確認された。 以上のことから,研究は概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も,「誰もが,一定期間に巧緻な木材加工技能を確実に身につける」ことを目指して研究を続ける。 そこで,学習者に,熟練者の巧緻な作業動作をあたかも自分自身が行っているような運動主体感の強い疑似体験をさせて木材加工技能を習得させる指導法の在り方を検討することが本研究の目的である。 したがって,まず,運動主体感の強い疑似体験をさせるために,脳波による錯覚生起確認研究を続ける。これについては,まずは,振動刺激という錯覚によって,自身が上肢を動かしているという感覚を得るために,上肢等のどの部分に振動刺激を与えれば効果的であるのかという振動刺激位置の特定が求められる。そこで,有効な振動刺激位置特定の研究を進める。 力覚デバイス等によるシステム開発であるが,引き続き精度を高めるよう,改善を施す。現在は,力覚デバイスのアームやのこぎりおよびその接続ジョイントなどの自重の影響を受け,先に述べたような,人が関与しない条件で,システムだけで板材を切断することはできない。したがって,このような課題を解決するなど,システムの精度を高める。 同時に,被験者数などの実験条件を変えるなどして,改めて開発したシステムによる指導の効果を確認する。 また,成果を広く公表するため,研究結果を論文化するなどを進める。
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