研究課題/領域番号 |
23K25666
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補助金の研究課題番号 |
23H00969 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
桑原 敏典 岡山大学, 教育学域, 教授 (70294395)
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研究分担者 |
唐木 清志 筑波大学, 人間系, 教授 (40273156)
福田 喜彦 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (30510888)
呂 光暁 仙台白百合女子大学, 人間学部, 准教授 (10817604)
井上 昌善 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (10824104)
岩崎 圭祐 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 助教 (20962921)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2027年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2026年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | グローバル・シティズンシップ教育 / 教師教育 / 教員研修 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、従来のような欧米中心のシティズンシップ教育観に基づくものではなく、東アジアの文脈をふまえたグローバル・シティズンシップ教育(Global Citizenship Education)を構想し、その担い手を育てるプログラムを、日中韓のシティズンシップ教育研究者が共同で開発しようとするものである。従来のような理論やカリキュラムが先行する改革ではなく、カリキュラムや授業を構想できる担い手を、まず育成する「下からの」教育改革を目指すことも本研究の独自性である。
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研究実績の概要 |
今年度は、中国、韓国、ノルウェーで海外調査を行うとともに、愛媛大学及び東洋大学で開催された研究会に参加し情報収集を行なった。中国に関しては長春市の東北師範大学を10月末から11月上旬にかけて、さらに12月半ばに訪問し、中国の教員養成や公民教育に関して中国の研究者への聞き取り調査を行うとともに、情報交換を行なった。調査の結果、中国の教員養成も、我が国同様に知識だけではなく実践的な能力の育成に重点が置かれるようになっており、日本の教職大学院設置に対する関心が高まっていることが明らかになった。韓国については、12月中旬にソウルにあるユネスコの機関であるアジア太平洋国際理解教育センター(APCEIU)を訪れ、グローバル・シティズンシップ教育のための教員研修のあり方について情報収集を行うとともに、スタッフへの聞き取り調査を行なった。また、同機関が実施している教員対象の研修を、院生とともに受講した。調査の結果、グローバル・シティズンシップ教育に携わる教員の資質として、現代の多様な教育課題の解決に取り組むことができる実践的な力の養成が求められていることが明らかになった。さらに、韓国の小学校教師に聞き取りを行うとともに、オンラインにて授業観察を行なった。3月中旬に訪れたノルウェーでは、持続可能な社会のあり方、そしてそれを支える教員の養成に関して、北欧の教育研究者と情報交換を行った。 国内に関しては、2月下旬に愛媛大学において、開発したシティズンシップ教育のプログラムを実践し、その効果に関するデータを収集した。3月下旬には、香港メトロポリタン大学のエリック・チョン博士によるオンラインの講演会を実施し、中国の高等教育におけるグローバル・シティズンシップ教育の状況について理解を深めた。さらに、東洋大学で開催された日本公民教育学会の研究会にてシティズンシップ教育に関する情報収集を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は、調査予定であった中国と韓国において、連携予定の機関が当方の研究計画を速やかに受諾してくれただけではなく、先方の教員やスタッフが期待以上に協力的であったため、事業が速やかに進行し、中国と韓国で2度の現地調査が完了した。また、国内の協力者の支援により韓国及び日本において、日韓交流に基づくグローバル・シティズンシップ教育の実践に取り組んでいる教員の協力が確約できている。一部ではあるが、聞き取り調査も完了している。以上のような当初予定していた海外調査に加えて、ノルウェーで開催された国際学会に参加することで、シティズンシップ教育の動向を把握し、本プロジェクトの方向性をシティズンシップ教育の世界的な動向を踏まえてブラッシュアップしているところである。 また、国内においてもプログラムの開発を行い、愛媛大学にて実践しその効果に関するデータ収集が完了した。さらに東洋大学において開催された日本公民教育学会の研究会に参加し、シティズンシップ教育に関する情報収集を行なった。上記の他に、海外の研究者を招いての研究会も実施し、グローバル・シティズンシップ教育の高等教育機関での実施の仕方について、新たな知見を獲得した。上記のことから、当初予定の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は次の4点を達成しようとするものである。①東アジアの文脈をふまえたグローバル・シティズンシップの具体像解明のための国際調査、②調査の成果に基づく、日中韓の研究者の共同によるGCEDの担い手育成プログラムの開発、③開発プログラムを活用した日中韓の教師を対象とするGCED推進のための研修会の開催、④研修会を通したGCEDの担い手としての教師の成長に関する質的調査、以上の4点である。 1年目の昨年度は、国際比較調査を中心に事業に取り組んだ。日中韓の三か国においてグローバル・シティズンシップ教育に取り組んでいる機関の教員やスタッフ、さらに現職教員に対して聞き取り調査を行い、グローバル・シティズンシップをどのように捉えているか、グローバル・シティズンシップ教育を実践するにあたり東アジア固有の困難や課題にはどのようなものがあると考えているかについて状況を把握した。 今年度は、教員研修用のプログラム開発を進めるため、昨年度よりも分担者との研究協議の時間を取り、グローバル・シティズンシップ教育に取り組むために必要な教員の資質を明らかにしたうえで、プログラムの構成原理を解明することを第一の目標とする。その一方で、昨年度関係を確立した中韓の協力機関との連携を継続し、調査を継続する。特に、プログラム開発に必要な、日中韓の教師のグローバル・シティズンシップ教育に対する考え方や、それを実施するうえでの課題などを解明する。以上の取組によって、昨年度以上の成果をあげることを目指す。
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