研究課題/領域番号 |
23K25700
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補助金の研究課題番号 |
23H01003 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
林 雄介 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (70362019)
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研究分担者 |
平嶋 宗 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10238355)
重田 勝介 北海道大学, 情報基盤センター, 教授 (40451900)
杉浦 真由美 北海道大学, 大学院教育推進機構, 准教授 (10829899)
長濱 澄 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50779270)
津下 哲也 姫路大学, 教育学部, 講師 (80983452)
峰松 翼 九州大学, データ駆動イノベーション推進本部, 准教授 (00838914)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | オンライン学習 / 反転学習 / 授業設計 / 授業分析 / キットビルド概念マップ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,キットビルド方式の概念マップ作成手法(KBマップ)をベースとして,知識獲得と知識活用の両方の基盤となる学習活動を支え るアプリケーションとその運用モデルの構築である.そのために,(1) 知識獲得と知識活用の連携学習モデルの構築,(2) 知識活用のためのKB マップ拡張と協調学習機能の設計・開発,(3) 知識獲得と知識活用を連携させた拡張型KBマップシステムの開発と運用モデルの構築,(4) KBマ ップをベースとした知識獲得と知識活用の連携学習の分析・評価という4つのサブテーマを設定し,分担して実施する.
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研究実績の概要 |
本研究では,知識獲得と知識活用の両方でキーとなる学習活動として情報の関連づけと比較に注目し,それらの活動を支えるアプリケーションとその運用モデルの構築を目指す.そのベースとなるのが,研究代表者らが提案しているキットビルド方式の概念マップ作成方法(以下,KBマップ)である.KBマップでは,教授者が用意した部品を使って学習者が概念マップを作成することで,情報の構造化のガイドラインとなると共に,部品の結合の違いとして構造の比較が容易になる.このKBマップを核として,知識獲得では共有したい知識に関する情報の整理,知識活用では他の知識との結合を支援するアプリケーションを実現し,教育現場における運用モデルを提案する.林・平嶋は知識活用を目的として,KBマップシステムを用いた学習のモデル化とシステム設計・開発を行う.長濱・重田・杉浦はKBマップの導入によって授業内の学習にどのような影響があるかを量的および質的に分析する. 2023年度は日本の国立大学とインドネシアの国立大学での利用を実施し,それぞれで取得したデータを分析することによって,KBマップでの知識獲得の支援が知識活用にどのような影響を与えるかを調査した.その結果として,KBマップで学習内容を整理してから演習やディスカッションを行うことによって,成果物やディスカッションの質が向上することが確認された.日本の国立大学での利用では,演習中の活動についてはデータの取得が難しかったが,授業内のアンケートによってKB利用の有無で受講者の学習内容への認識が高まったことが分かったことに加えて,受講者が作成した成果物に講義内での学習内容がより多く反映されたことが確認された.インドネシアの国立大学での利用では,オンラインディスカッションでの対話内容の分析から受講者が課題の意味を掘り下げ,単に答えを得るだけに注力しようとしないことが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,キットビルド方式の概念マップ作成手法(KBマップ)をベースとして,知識獲得と知識活用の両方の基盤となる学習活動を支えるアプリケーションとその運用モデルの構築である.そのために,(1)知識獲得と知識活用の連携学習モデルの構築,(2)知識活用のためのKBマップ拡張と協調学習機能の設計・開発,(3)知識獲得と知識活用を連携させた拡張型KBマップシステムの開発と運用モデルの構築,(4)KBマップをベースとした知識獲得と知識活用の連携学習の分析・評価という4つのサブテーマを設定し,分担して実施する. 2023年度は日本の国立大学とインドネシアの国立大学での利用を実施し,それぞれで取得したデータを分析することによって,KBマップでの知識獲得の支援が知識活用にどのような影響を与えるかを調査できた.その結果として,KBマップで学習内容を整理してから演習やディスカッションを行うことによって,成果物やディスカッションの質が向上することが確認された.これらの結果は,(1)知識獲得と知識活用の連携学習モデルの構築,(2)知識活用のためのKBマップ拡張と協調学習機能の設計・開発,(4)KBマップをベースとした知識獲得と知識活用の連携学習の分析・評価の3つのテーマの遂行になっており,この結果を踏まえて(3)知識獲得と知識活用を連携させた拡張型KBマップシステムの開発と運用モデルの構築を進めていくことで研究目的を達成できると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
これまで複数の大学において,基礎知識の獲得にKBマップを導入し,その上でその知識を活用する活動を組み込んだ授業を設計して実施してきた事例を分析して,知識活用のためのKBマップ拡張と協調学習機能の設計・開発を行う.林・平嶋は知識活用を目的として,KBマップに学習者が自分の考えや調べた内容を追加したり,それを学習者間で共有し比較する活動を設計し,KBシステムに追加する.重田・杉浦は反転授業として,事前学習では基礎知識の獲得のためにビデオを視聴するのに加えて,視聴後にKBマップで学習内容を整理するタスクを与える.このKBマップの導入によって,授業内の学習にどのような影響があるかを量的および質的に分析する.ただし,普通の講義で学習者の対話データなどを取るのは難しい上に,実際に普及させるときに効果を測定しやすいように,一般的に講義で用いられるようなコメントシートなどの記入を学習者に求めることによって,その効果を検証する.現在のところ,日本の国立大学とインドネシアの国立大学での利用を計画しており,それぞれでデータを取得して分析することによって,KBマップでの知識獲得の支援が知識活用にどのような影響を与えるかを調査する.また,長濱・津下によって,知識活用を支援するためのKBマップを用いた学習の枠組みについて,協調学習環境の日本国内の小学校での利用を計画している.ここでは,KBマップに機能追加をすることで,グループ学習などで利用して,概念マップの比較や拡張として,知識やアイデアの比較や発展を支援できるような機能の設計をし,それを用いた授業実践も行いながら,授業モデルの開発およびシステム実装を進めていく.峰松は,これらの取り組みの中で得られたデータについて,機械学習的手法を用いて分析方法の確立を目指す.
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