研究課題/領域番号 |
23K25705
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補助金の研究課題番号 |
23H01008 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
加藤 浩 放送大学, 教養学部, 教授 (80332146)
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研究分担者 |
葛岡 英明 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (10241796)
大西 鮎美 神戸大学, 工学研究科, 助教 (10869142)
鈴木 栄幸 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (20323199)
寺田 努 神戸大学, 工学研究科, 教授 (70324861)
久保田 善彦 玉川大学, 教育学研究科, 教授 (90432103)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2026年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 教育工学 / 遠隔教育 / HCI / 生体情報 / 表出 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの我々の研究から、講義中にうなずき等のリアクションの表出を促進することで、講義に対する受講者の集中度を高く維持できる可能性が明らかになった。そこで本研究では、遠隔講義における受講者のリアクションを促進する方法を検討する。具体的には、遠隔講義画面中に自分自身や他者の上半身動画を表示し、人の上半身動画像にうなずきや首かしげ等のモーションをリアルタイムに付与する技術を用いてそれを動かし、受講者の引き込み現象を誘発するシステムを開発する。それを用いて受講者のリアクションの表出を促進することで、受講者の集中度を高く維持し、さらには学習効果の向上を目指す。
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研究実績の概要 |
前科研の成果として、オンデマンド授業の受講時に自然に受講してもらう群と、PC上にあらかじめ撮影された他者の顔映像を表示し、他者の頷きに合わせて強制的に頷くように指示した群と、頷きを強制しなかった群の3つの群に分け、それぞれの覚醒度を調査したところ、強制された群以外で被験者の覚醒度が高まることが示唆された。これより、受講者を自発的に頷くように仕向ければ、授業に対する集中度を高く維持することが期待できる。 そこで、他者の動作に釣られて自発的にそれと同じ動作をする「引き込み現象」に着目し、それが誘発されやすい条件を探る実験を行った。あくびや感情の伝染には誘因となる人物との親密さが関係することが知られていることから、誘因となる顔画像には自分自身の顔画像を用いることにした。 そのために、オープンソースのフェイスアニメーション合成ツールAvatarifyを用いて自分自身の顔映像にリアルタイムに動作を付与できるシステムを開発した。そして、それを用いて自分自身の顔画像を頷かせたり、笑わせたり、首を傾げさせたりしたときに、自分の姿を見たときにそれが自分自身であると感じるかを表す身体所有感と、自分自身の動作であると感じるかを表す操作主体感とを調査し、それらと引き込み現象との関係を調べる実験を実施した。 その結果、まず、引き込み現象の強さには個人差が大きいことが分かった。次に、笑顔のような感情を表現している動きよりも、頷きや首傾げといった単純な動作かつ、その動作をすることに違和感がない状況の方が引き込み現象を起こしやすいことが示唆された。さらに、身体所有感と操作主体感はともに動作を付与すると、付与しないときよりも低下したが、どちらも低い方が引き込み現象が起こりやすい傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、リアクションの自発性と覚醒度の関係を明らかにした。さらに、顔画像にリアルタイムに動作を付与できるシステムを開発し、それを用いて、顔画像の動作と引き込み現象の強さとの関係を調べる実験を行った。これにより今年度の計画はほぼ達成された。
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今後の研究の推進方策 |
顔画像に動作付与するシステムを用いて、遠隔教育における受講者のうなずきなどのリアクションを、効果的に惹起できる引き込み現象の条件はどのようなものかを実験的に探る。条件としては、引き込み現象誘発刺激として用いる上半身動画における受講者と表示対象との親密性(自分自身・親しい他者・見知らぬ他者など)、表示対象者数(1人~複数人)、動画像の大きさ、リアルさ(実画像・アバタ)、注視点の影響(周辺視野でも効果は減じないか)、受講者自身が他者から見られているか否か、などを検討する予定である。並行して、これまでに引き込み現象を起こしやすい人とそうでない人の差が大きいことが分かっているので、その差を引き起こす要因について探索し、引き込み現象を起こしにくい人にも効果的な促進方法を検討する。 次に前述の条件を用いて、実際的な状況で学習させ、リアクションの出現頻度がリアクション促進方法の使用前と、使用中と、使用後とでどのように変化するかを調べ、効果の持続性を明らかにする。さらに、受講者のリアクションを促進するために、リアクションの効果や意義などを説明する教材を開発し、リアクション促進方法と併用してその教育効果を実験的に検証する。
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