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能動的推論による自然の防御シグナルとしての孤独感の検討

研究課題

研究課題/領域番号 23K25730
補助金の研究課題番号 23H01033 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分10010:社会心理学関連
研究機関愛知医科大学

研究代表者

松永 昌宏  愛知医科大学, 医学部, 准教授 (00533960)

研究分担者 石井 敬子  名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (10344532)
大坪 庸介  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (80322775)
山末 英典  浜松医科大学, 医学部, 教授 (80436493)
野口 泰基  神戸大学, 人文学研究科, 教授 (90546582)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2023年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
キーワード孤独感 / 遺伝子多型 / 磁気共鳴画像装置(MRI) / 心拍変動
研究開始時の研究の概要

近年、新型コロナウイルス感染症の拡大により外出自粛が長引き、社会や他人との接点が少なくなる社会的孤立・孤独の問題が社会問題として一層深刻化・顕在化している。本研究では「孤独」に着目し、人が孤独に陥るリスクの可視化や、孤独を予防する社会的仕組みの開発を検討する。具体的には、①磁気共鳴画像装置(MRI)による脳画像解析により、人が孤独に陥るリスクの客観的評価方法を検討する。②日本と北米において国際比較研究を実施し、人の遺伝的特性や行動特性、社会的・文化的環境が孤独感に及ぼす影響を検討する。③地域住民が集まることができる運動教室などで、孤独に陥るリスクの客観的指標に基づいた介入研究を実施する。

研究実績の概要

本研究では、近年社会問題として深刻化している「孤独」に焦点を当て、近年神経科学の分野で注目されている「能動的推論仮説」(脳は「予測機械」、すなわち世界の外部状態を推論し、予測する統計的な器官と位置づけ、脳が持つ内部モデル(予測)と、環境からの信号とのずれ(予測誤差、自由エネルギー)を最小化するために、知覚と行為の両方が協働して最適化するという仮説)に基づき、人が孤独に陥るリスクの可視化を試みる。
孤独が脳の構造と機能、さらには自律神経系の機能に影響を与えることが先行研究で示されており、私たちの以前の研究において、孤独が友人からのコミットメントシグナルに応じた関係価値の計算に悪影響を与えることが分かっている。
今年度我々は、自律神経機能を反映すると考えられている心拍変動(HRV)が日本の若者の孤独感と関連しているかどうか、また自律神経活動を実験的に改善させることにより友人の行動に応じた関係価値の計算プロセスが変化するかどうかを調査した。
実験の結果、孤独感と HRV の総パワーに占める高周波 (HF) 成分の割合との間には負の相関があり、孤独と低周波 (LF) 成分/HF成分の比(LF/HF)との間には正の相関があることが示された。 それに加えて、実験的なHRV の改善により、孤独が影響する関係価値判断も改善することが示された。
これらの知見は、孤独による認知機能の変化は不可逆的ではないことを示唆しており、自律神経機能を改善することで、孤独によって変化した認知機能を改善することが可能であることを示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究1年目に結果を出すことができ、論文として1本英文誌に投稿中であるため。

今後の研究の推進方策

近年の社会・文化心理学的研究では、人の遺伝的な特性と文化的特性が相互作用し生態学的環境への適応が達成されているという考え方(Gene&environment correlations (rGE))が支持されるようになり、人のある特定の心の状態は、どのような遺伝的特性や行動特性を持っている人が、どのような社会的・文化的環境におかれた場合に生じやすいのか、ということを考えるようになってきている。
そこで次年度は、実験参加者の遺伝子多型を解析し、どのような遺伝的特性・心の性質・行動特性を持っている人が、どのような社会的・文化的環境におかれた場合に、孤独になりやすいのかについて解析する。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] アルバータ大学(カナダ)

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] Association between internet addiction, brain structure, and social capital in adolescents2023

    • 著者名/発表者名
      Matsunaga Masahiro、Ohtsubo Yohsuke、Ishii Keiko、Tsuboi Hirohito、Suzuki Kohta、Takagishi Haruto
    • 雑誌名

      Social Neuroscience

      巻: 18 号: 6 ページ: 355-364

    • DOI

      10.1080/17470919.2023.2264543

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Exploratory research on genetic polymorphisms associated with positive empathy and trait forgivingness among the Japanese2023

    • 著者名/発表者名
      Matsunaga Masahiro、Ohtsubo Yohsuke、Takahiko Masuda、Yasuki Noguchi、Hidenori Yamasue、Ishii Keiko
    • 雑誌名

      Neuroendocrinology Letters

      巻: 44(8) ページ: 506-516

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Association between peripheral physiological functions and subjective happiness, loneliness, and depressive symptoms.2024

    • 著者名/発表者名
      松永昌宏、石井敬子、大坪庸介、野口泰基、山末英典
    • 学会等名
      第101回日本生理学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 孤独感と友人関係の価値判断との関連は自律神経機能により修飾される2023

    • 著者名/発表者名
      松永昌宏、石井敬子、大坪庸介、野口泰基、山末英典
    • 学会等名
      日本心理学会第87回大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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