研究課題/領域番号 |
23K25754
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補助金の研究課題番号 |
23H01057 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
岩佐 和典 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 准教授 (00610031)
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研究分担者 |
石川 健太 帝京大学, 文学部, 助教 (20816334)
佐々木 恭志郎 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (70831600)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2026年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 知覚-嫌悪インタラクション / 行動免疫 / 病原性検出 / 知覚‐嫌悪インタラクション / 多感覚統合 |
研究開始時の研究の概要 |
嫌悪と知覚の相互作用,および感覚モダリティ間のネットワーク性に着目し,行動免疫の病原性検出過程を解明する。そのために,病原性の検出・評価にはどのような知覚的手がかりが利用され,処理されるのか,嫌悪の誘発や,嫌悪に関連する病理等の個人内要因は知覚にどのような影響を与えるか,という2つの問いを設定した。これらを究明すべく,刺激の物理特性と嫌悪反応の関数関係や,嫌悪誘発による知覚過程の変化といったテーマについて一連の実験を行う。さらに,感覚モダリティ間の統合過程にも注目し,嫌悪喚起過程との関連を検討する。これにより,病原性検出機構のモデル創出や,精神疾患の発生・維持要因の解明に貢献することを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は各研究に関する予備的な検討が進められた。研究1「嫌悪誘発による知覚の変化に関する検討」では,実験刺激として用いるニオイ試料を収集し,小規模な予備実験から,適切な刺激の選定を進めた。加えて,保存が難しいニオイ刺激の管理機材や,実験時の呈示機材など,実験環境の整備を並行して行った。さらに,本研究の中心となる嫌悪感情の測定法を開発し,その成果は心理学研究に掲載された。研究2「視-触覚的手がかりに対する嫌悪反応とその制御」では,トライポフォビアの視覚因について主に検討した。特にドットの密度に応じて,トライポフォビアが強くなることを明らかにした。さらに発展的な検討として,発達段階について調べており,4-5歳の子どもから生起することを示した。この知見については,査読付き国際誌に投稿中であり,現在修正稿を準備している。研究3「消毒に関する知覚手がかりの検出と嫌悪反応への影響」では,様々な種類の消毒臭を網羅的に収集し,嫌悪反応と関連する刺激を探索した。また感情障害の病態についても並行して実験を進めた。特に感覚間インタラクションの検証に備え,視覚刺激に対する認知・感情的反応の解析を行い,これら一連の研究は国内外の複数の学会にて発表を行い、その一部は日本心理学会第87回大会では優秀発表賞を受賞した。本研究成果は国際誌であるQuarterly Journal of Experimental Psychologyに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ,当初計画から若干の修正を行いつつ,研究は概ね順調に進んでいる。研究1については,主担当者の病気休暇に伴い,若干の遅れが生じたこと,ニオイ刺激の物理化学的性質を考慮した場合に,当初計画とは異なる刺激およびその呈示方法が必要となったことから,特に刺激選定を中心に作業が進められた。これにより,R6年度には本格的な実験を開始する準備が整ってきている。研究2については,既に当初設定した研究課題に関して一定の成果が挙がってきており,引き続き実験を進める予定である。研究3についても,研究1と同様にニオイ刺激の適切な取り扱いを模索しつつ,関連する病態研究が進められた。今後はそうした病態研究の成果も踏まえた実験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
各研究課題について,必要に応じて当初計画を見直しながら実験を継続していく。各研究者は,既に実験実施等の研究関連業務を担う人員を確保しており,また研究遂行に必要な環境構築を進めてきた。そのため,速やかにR6年度の研究計画を遂行することが可能である。ただし,研究3の主担当者がR6年度から所属変更となったため,これに関しては改めて環境構築を行う必要がある。研究1および3においては,ニオイ刺激の管理,実験呈示等にについて,各自が試行錯誤を進めてきた。R6年度は当該刺激の取り扱いに習熟すべく,専門家のコンサルテーションを受けることになっている。課題全体の進捗は定例のミーティングで管理しつつ,必要に応じて協働する体制を維持・発展させていく。
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