研究課題/領域番号 |
23K25756
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補助金の研究課題番号 |
23H01059 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
福島 穂高 東京農業大学, 生命科学部, 准教授 (60645076)
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研究分担者 |
中澤 敬信 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (00447335)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 記憶制御 / 恐怖記憶制御 / 海馬 / マウス / 脳機能 |
研究開始時の研究の概要 |
恐怖記憶は適切な条件下で思い出し(想起)されると、記憶の強弱を調節する記憶プロセスが誘導される。海馬領域は記憶制御の中心的な脳領野であるが、想起後の記憶プロセスに対する役割は十分に理解されていない。本研究では、マウスにおける恐怖記憶解析系を用いて、想起後に誘導される記憶プロセス群における海馬領域での分子動態を網羅的に解析することで分子的特徴を明らかにする。加えて、抽出した分子を標的とした遺伝学、薬理学的手法を用いて記憶プロセスに対する役割を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、恐怖体験の記憶(恐怖記憶)が思い出(想起)された後に、海馬において、どのような分子機構を介して再び記憶が脳に貯蔵されるのかを明らかにすることである。恐怖記憶を想起させた後のマウス海馬からRNAを調整して様々な遺伝子の発現量を解析したところ、初期応答遺伝子であり神経活動のマーカーとして広く用いられるc-fosの発現量が有意に上昇していたことから、恐怖記憶の想起に伴い海馬の神経細胞が活性化することが示唆された。一方、PTSD患者の末梢血においてホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)の発現量が低下していることから、恐怖記憶想起後のマウス海馬及び末梢血におけるPDE4B発現量を解析した。その結果、マウス海馬及び末梢血の両方においてPDE4Bの発現量は有意に低下していた。PDE4BはセカンドメッセンジャーであるcAMPを分解することから、恐怖記憶の想起に伴うPDE4Bの発現量の低下によるcAMP情報伝達経路の活性化が示唆された。加えて、恐怖記憶を想起させる前にPDE4B阻害剤をマウスへ投与することにより、想起が抑制され、その後の恐怖記憶が減弱したことから、PDE4Bは恐怖記憶の想起及びその後の恐怖記憶制御機構にも関与することが示唆された。なお、これらの研究成果は、国際学術誌であるMolecular Psychiatryに掲載された。本研究において同定された分子機構を標的とした新規治療法が開発されれば、PTSDなど恐怖体験をもととする精神疾患の治療・予防に大きく貢献することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
恐怖記憶想起後のマウス海馬において、特徴的な発現変動を示す分子であるPDE4Bを抽出することに成功した。また、マウスへのPDE4Bの阻害剤投与により、恐怖記憶想起が阻害されること、その後の恐怖記憶が減弱することも見出し、これら研究成果を国際学術誌に発表した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に大きな変更はない。記憶制御に関する他の分子機構についても解析を進める。
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