研究課題/領域番号 |
23K25769
|
補助金の研究課題番号 |
23H01072 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小谷 元子 東北大学, 材料科学高等研究所, 教授 (50230024)
|
研究分担者 |
楯 辰哉 東北大学, 理学研究科, 教授 (00317299)
内藤 久資 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (40211411)
熊谷 隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90234509)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2026年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 離散幾何学 / 離散極小曲面 / 共形構造 |
研究開始時の研究の概要 |
離散曲面(距離・測度付き三分岐グラフ)の幾何解析を行う。特にW.Thurstonによって提唱された「閉曲面の接触円パッキング」を用いた離散共形構造の概念をより一般の離散曲面に対して定義する。また共形構造を用いて離散極小曲面の表現公式を定義する。与えられた離散極小曲面の細分列を「標準的実現」を用いて構成し、その極限として離散曲面の背後にある連続な曲面を特定する。その際に表現公式を通して共形構造の収束や特異点の詳細解析を行う。更に離散曲面上のランダム・ウォークを細分列に対して定義し、その確率過程としての収束を議論する。これらの結果を絡み合う複数のグラフにより構成される織り込み構造に対して拡張する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、与えられた離散曲面に対し、共形構造の概念を定式化し、共形構造をもつ離散曲面と収束理論を精密化し特異点解析を行うこと、その上でのランダム現象の収束理論も構築を目指すこととしていた。本年は離散正則構造を定式化することで、離散曲面に共形構造を導入し、離散調和曲面に関するWeierstrass表現公式を得ることができた。また、離散正則構造から古典的な正則構造を取り出すことに成功し、与えられた離散調和曲面から細分を繰り返すことで得られる離散調和曲面列の収束を議論し、これが古典的な極小曲面に滑らかに収束することを証明した。これらは内藤氏との共同研究論文として出版した。収束する曲面列上のランダムウォークの収束に向けての第一段階が達成できた。この表現公式の応用として、楯氏と共に群作用のある場合に適用する為の検討を開始した。空間内で絡みあう織物構造を組み合わせ論的に分類する研究に関しては、twistのある場合についてMahmoudi氏と研究討論を継続しているが、特に3月に国内研究者を招聘し最新研究の進捗状況を含め数学と材料科学の学際的研究に関し有意義な情報交換ができた。また、織物構造の3次元空間内の安定的な配置に関して、反発作用を持つ標準実現を用いて定式化することができる事が分かり、内藤氏と共に出版の準備を行っている。熊谷氏はBouchaudのトラップモデルと呼ばれる一次元ランダムウォークの各点での滞在時間にランダムなheavy tailの重みを置いたモデルについて、対応する熱核が振動を起こす現象を重みに関するパラメーターに応じて詳細に解析した。今後これを離散調和曲面などに展開していく為の議論を開始した。“Emerging Platforms for Quantum Computing”を開催し東北大学及びUCSB, Microsoft Q-station他の研究者に講演頂いた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この課題の目的であった離散共形構造の定式化、および離散調和曲面の表現公式を得られたことは研究計画の要であり、実現できたことに満足している。また、当初、これが古典的な極小曲面に滑らかに収束することを示すのは大変に難しいと考えていたが、正則形式に注目することでこれが証明できたことは予想以上であった。それ以外の計画も順調に進んでおり、論文発表に向けて準備できている。国際研究集会を開催し、世界的に活躍する研究者から講演をいただき、活発な研究討論を行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
6・8に記載したように、順調、もしくは予想以上に計画が進んでいる。今後は、共同研究者間の情報交換の機会や、若手研究者を巻き込んだ国際シンポジウムの開催を活発に行い、成果の発信や、さらなる発展につなげる。
|