研究課題/領域番号 |
23K25773
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補助金の研究課題番号 |
23H01076 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 同志社大学 (2024) 大阪大学 (2023) |
研究代表者 |
塩沢 裕一 同志社大学, 理工学部, 教授 (60454518)
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研究分担者 |
森 隆大 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 助教 (80909911)
松浦 浩平 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90874355)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2027年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2026年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | マルコフ過程 / ディリクレ形式 / フラクタル構造 / ハウスドルフ次元 / コンパクト性 / 対称マルコフ過程 / 熱核 / 反射壁ブラウン運動 / フェラー性 / 容量 / 確率熱方程式 / スペクトル下限 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では不連続経路を持つマルコフ過程のフラクタル構造およびスペクトル構造を解明する。具体的には、1)マルコフ過程の経路にまつわる集合のハウスドルフ次元の計算、および2)マルコフ半群の本質的スペクトル下限の評価や L1 コンパクト性の導出を行う。本研究により、粒子の微視的挙動を定める解析的情報や、状態空間の幾何構造との兼ね合いが、マルコフ過程の確率論的および関数解析的性質を規定する仕組みが解明される。
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研究実績の概要 |
1)代表者 塩沢は、Jian Wang 氏(Fujian Normal University)との共同研究で、対称マルコフ過程が与えられた集合に滞在する時刻全体、および測度距離空間上の2つの独立な対称マルコフ過程が与えられた集合で衝突する時刻全体のハウスドルフ次元を決定した。今回の研究成果は、熱核評価を通じた解析に基づき、測度距離空間上のマルコフ過程、特にフラクタル上のブラウン運動や対称安定型過程にも適用可能である。本研究成果を国際研究集会などで発表するとともに、確率論の専門誌で論文として公表した。 2)代表者 塩沢は、Jian Wang 氏(Fujian Normal University)との共同研究で、レビ型雑音を持つ分数べき確率熱方程式に対して、解の空間方向に対する大域的性質を調べた。確率熱方程式の主要部が分数べきラプラス作用素になることで、裾の重さが解の存在性および大域的性質に影響を与えることが明確になった。 3)分担者 松浦は、京都大学の日野正訓氏とその学生であった真木新太氏との共同研究において、領域上の反射壁ブラウン運動に対する離散近似を得、結果に関する論文の執筆と投稿を行なった。この近似は領域の分割上のマルコフ連鎖によるもので、不均一な分割を例に含む。また、京都産業大学の森隆大氏との共同研究において、マルコフ過程のフェラー性について議論し、ポテンシャル論的な必要十分条件について既存の結果を整理した。 4)分担者 森はディリクレ形式の境界理論の観点からキャパシティーを特徴付ける研究を行った。また、指数 $p>2$ のルベーグ空間へのディリクレ空間のコンパクト埋め込みについて研究を行い、熱核の文脈での同値条件を得た。 5)研究集会「マルコフ過程とその周辺」では、本研究費で講演者の旅費援助を行った。また、研究集会やセミナーで研究成果を報告し、情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要1)で述べた研究成果が論文として出版された。この成果は、ユークリッド空間上の対称安定過程という基本的な状況であっても、これまで知られていなかったものであり、測度距離空間上の対称マルコフ過程という広い枠組みで証明できたことになる。また、研究実績の概要1)が派生して、研究実績の概要2)で述べた研究につながった。この研究は、研究計画策定時には想定していなかったものである。なお、本年度取り組む予定であった、マルコフ半群の本質的スペクトルに関する研究には着手できなかった。しかし、それは2)で述べた進展のためである。分担者の研究活動も活発に行われており、本研究課題は全体として順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究実績の概要2)で述べた研究成果を論文にまとめ上げて公表し、国内外の研究集会で発表する。また、研究計画に沿って研究を進める予定であるが、研究の進捗状況や展開に応じて、研究計画時には想定していなかった課題にも着手するなど、柔軟に対応する。
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