研究課題/領域番号 |
23K25781
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補助金の研究課題番号 |
23H01084 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
高橋 太 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (10374901)
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研究分担者 |
石渡 通徳 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (30350458)
内免 大輔 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (20783278)
壁谷 喜継 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70252757)
小野寺 有紹 東京工業大学, 理学院, 准教授 (70614999)
橋詰 雅斗 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (20836712)
佐野 めぐみ 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (70834935)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2026年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 非コンパクト / 変分問題 / 領域の幾何 / Hardy 不等式 / 非コンパクト性 / 爆発解析 / 非正則領域 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、非コンパクト型変分問題の近似解の列や最小化列の非コンパクト性が、領域の境界の特異的な形状や非有界性、または主部の微分作用素の特異性・退化性・非等方性、 Hardy ポテンシャルのような微分作用素に含まれる非有界ポテンシャル関数の特異性など、領域や方程式の特異的な幾何構造とどのように関係するのかを定量的に解明することを目的としている。具体的には、非正則領域上での非線形楕円型方程式の爆発解析や Sobolev 型不等式、Hardy 型不等式の最良定数に対する最小化列の挙動、または体積有限非有界領域上での Trudinger-Moser 型不等式の最大化列の挙動についての解析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、変分法の直接法が適用される変分問題のうち、その最小化列や近似解の列の相対コンパクト性が、方程式のスケール変換不変性に基づく爆発現象や、領域の非有界性に基づく消失現象によって喪失し得る「非コンパクト型」の変分問題を取り扱い、近似解の列がコンパクト性を喪失する関数解析的なメカニズムと、変分問題の設定されている領域の特異的な幾何構造、及び汎関数に含まれる微分作用素やポテンシャル関数の特異構造との関係を定量的に解明することを目的とする。より具体的には、以下に掲げる課題について研究を推進する。 (1)非正則領域上での臨界 Sobolev 型方程式の爆発解析、及び臨界 Hardy 不等式に関わる最小化問題の達成可能性 (2)主部の微分作用素が準線形、非等方、非斉次である臨界 Sobolev 型方程式の爆発解析(3)体積有限非有界領域上での変分問題と消失現象による非コンパクト性
本年度は研究分担者の佐野めぐみ氏と推進していた重み付き積分平均がゼロとなる関数に対する2次元臨界型 Hardy 不等式の解析が進展し、研究論文として取りまとめ、専門誌で公刊することができた。また、多年にわたり国際共同研究を推進しているミラノ大学のグループと 13th AIMS (at Wilmington) で Special Session を組織し、国内外の研究者を招聘して関数不等式にかかわる変分問題についての研究動向情報の交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者は2023年6月に開催された 13th AIMS (North Carolina, Wilmington) においてミラノ大学他の海外研究者と Special Session を組織し、そこで Finsler ラプラシアンを主部に持つ楕円型作用素の最小エネルギー解の漸近挙動、及び渦なし条件・ソレノイダル条件をみたすベクトル場に対する Hardy-Leray 不等式の最良定数に関して研究講演を行い、関連する研究情報の収集に努めた。また、2023年7月には、研究分担者の内免・佐野・橋詰が大阪公立大学を会場として国際研究集会を組織し、イタリア・韓国から研究者を招聘して研究講演の実施と国際共同研究の推進に努めた。この国際研究集会を契機に研究代表者は J. Byeon 教授 (KAIST) と重み付き平均ゼロ関数に対する Hardy 型不等式の共同研究に着手し、年度後半には研究論文の形にまとめることができた。研究代表者の高橋は、2023年度中に佐野めぐみ氏との共著論文の発表を行い、英語講演5回を含む計9回の研究講演発表を行った。研究計画は順調に推移していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、非コンパクト型変分問題の近似解の列や最小化列の非コンパクト性が、領域の境界の特異的な形状や非有界性、または主部の微分作用素の特異性・退化性・非等方性、Hardy ポテンシャルのような微分作用素に含まれる非有界ポテンシャル関数の特異性など、領域や方程式の特異的な幾何構造とどのように関係するのかを定量的に解明することを目的としている。具体的には、非正則領域上での非線形楕円型方程式の爆発解析や Sobolev 型不等式、Hardy 型不等式の最良定数に対する最小化列の挙動、または体積有限非有界領域上での Trudinger-Moser 型不等式の最大化列の挙動についての解析を行う。
現在までの研究によって、ラプラシアンを主部に持つ非線形楕円型方程式の非コンパクトな解の族に対する爆発解析の手法は確立しつつあるといえる。今後は種々の関数不等式に関わる最小化問題の研究や解の安定性への応用などが自然な研究の方向であろう。領域の幾何を摂動することで爆発解析を行う研究も重要となる。今年度以降はこのような主題も取り上げていく予定である。
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