• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

テラヘルツパルスによる超高速イオンマニピュレーションのダイナミクス解明と運動制御

研究課題

研究課題/領域番号 23K25804
補助金の研究課題番号 23H01107 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
研究機関日本大学

研究代表者

南 康夫  日本大学, 生産工学部, 准教授 (60578368)

研究分担者 武田 淳  横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (60202165)
中村 浩一  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (20284317)
柳谷 伸一郎  徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 准教授 (40314851)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
キーワードテラヘルツ / 超イオン伝導体 / 超高速現象 / 光物性物理学 / イオン伝導体 / 高強度テラヘルツ / テラヘルツ科学
研究開始時の研究の概要

高強度のパルス状のテラヘルツ電場を位相制御した上で固体電解質の可動イオンに照射し、イオンをピコ秒で移動させる。固体電解質試料の両端に電極を取り付け、イオンの運動を電流として取り出す。また、テラヘルツ光パルス電場の透過計測を同時に行い、そのスペクトル変化からイオンの超高速ダイナミクスを明らかにする。本研究は電子の超高速制御に用いられてきた光やテラヘルツ光パルスの技術をイオンの制御に用い、イオンを動かし、そのダイナミクスを明らかにして発展させようというものである。

研究実績の概要

周波数が0.1-10 THz程度の電磁波をテラヘルツ波と呼ぶ。我々の研究グループでは、電場が1周期のみのテラヘルツ波―テラヘルツ光パルス―を発生・検出して研究をしてきた。テラヘルツ波はその光子エネルギーが低く、半導体や導体内のキャリアを光子エネルギーによって励起しにくい性質がある。また、テラヘルツ光パルスは、1 ps程度の時間だけ電場が増減する電磁波である。したがって、テラヘルツ光パルスは、余計なキャリアを励起することなく、電場による影響のみを最短時間・最高周波数でキャリアに及ぼし、その応答を観測するために最適な電磁波である。これまでにテラヘルツ光パルスの電場を用いてキャリアやイオンを実空間で動かす研究を行ってきた。そして、イオニクス(電解質内のイオンの制御技術)において、テラヘルツ光パルス電場の利用が超高速イオン制御につながることを見出した。しかし、テラヘルツ光照射下でのイオンの詳細なダイナミクスは明らかになっていない。本研究では、高強度のテラヘルツ光パルス電場を位相制御した上で固体電解質の可動イオンに照射し、イオンをピコ秒で任意の方向に移動させ、固体電解質試料の両端に取り付けた電極からイオンの運動を電流として取り出し、ダイナミクスの解明を目指す。2023年度は、これまでに用いてきた固体電解質試料とは異なる試料を探索するところから始め、実際に高強度のテラヘルツ光パルス電場を照射して電流を誘起・検出することに成功した。また、一般的なテラヘルツ時間領域分光法により、新規に準備した試料の可動イオンの密度を計測した。可動イオンの密度の計測にはインピーダンス・アナライザーを用いた方法が一般的であるが、テラヘルツ時間領域分光法での測定が可能となった点は特筆に値する。さらに、シミュレーション解析により、可動イオンのダイナミクスの一端を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題の初年度として当初計画に従い、高強度テラヘルツ波の発生・検出系の構築、一般的なテラヘルツ時間領域分光法の系の構築、電気特性評価装置系の構築をそれぞれ1から行い、研究を遂行した。対象となる試料を新規に探索、本研究に適した形にし、テラヘルツ時間領域分光法にて測定を行い、可動イオンの密度を求めるのに成功した。また、それらの試料に関して、可動イオンのダイナミクスについて議論した。さらに、これまでに研究を行ってきたシミュレーションを、イオンだけではなく、電子・ホールに対しても適用できるようにした。ここで、電子・ホールの運動に影響するポテンシャル形状を考慮してテラヘルツ波照射時の非平衡状態における有効質量を考慮する必要があるが、シミュレーションをより簡単に直感的にする方法を提案した。

今後の研究の推進方策

イオンの超高速制御を目指す超高速イオニクスの確立を目指し、テラヘルツ光パルス電場の位相変調によるイオン応答変化を発現させ、イオン運動のテラヘルツ光パルス位相依存性解明に取り組む。
テラヘルツ光パルスの位相変調器を導入する。高強度テラヘルツ分光系内に位相変調器を挿入し、テラヘルツ光パルスのキャリア・エンベロープ内の電場位相を変化させる。位相変調器を用いて、テラヘルツ光パルスの包絡線をそのままに電場の位相を -π/2、…、±0、…、+π/2、…、+π と変化させる。時間に対して偶関数のコサイン形、奇関数のサイン形の波形などへとテラヘルツ光パルスを変調でき、それぞれの波形に応じた電流、透過スペクトルを検出する。そして、位相とイオンの運動を関連付け、効率良くイオンを駆動できるテラヘルツ波の波形について検討する。イオンの電場への非線形応答がイオン駆動の鍵となっており、イオンが十分軽い場合には直感的にはテラヘルツ波の位相が±0(偶関数のコサイン形)の場合が効率良くイオンを駆動できると予想されるが、電子と異なりイオンがある程度重い場合にはイオンの電場への応答に遅れが生じるため必ずしもそうならないと考えている。実験的な検証だけでなく、引き続きシミュレーションを行い、実験と計算の両面から、テラヘルツ光パルスの電場に誘起されるイオンダイナミクス解明に取り組む。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Terahertz wave emission with 1.55mm pump from photoconductive antenna using stacked Er-doped-InAs quantum dot layers with ultrafast carrier relaxation2023

    • 著者名/発表者名
      Minami Yasuo、Abe Hiromutsu、Lu Xiangmeng、Kumagai Naoto、Kitada Takahiro
    • 雑誌名

      Journal of Applied Physics

      巻: 134 号: 14 ページ: 1431011-6

    • DOI

      10.1063/5.0168174

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高強度テラヘルツ波による超イオン伝導体内のイオン駆動2023

    • 著者名/発表者名
      南康夫
    • 学会等名
      テラヘルツ光科学の最新トレンド2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi