研究課題
基盤研究(B)
空間反転対称性を欠いた環境下にある原子では電子の偶奇波動関数の混成が起こる。このパリティ混成は最近まで軽視されてきたが,強いスピン軌道相互作用を有するd・f電子系物質の電子状態に重要な影響を及ぼし,新奇な超伝導や特異な多極子秩序の発現に重要な役割を担う可能性がある。本研究では,典型物質候補と目されるCaBe2Ge2構造をとるウラン系化合物に焦点を当て,まだ観測例のない局所的な5f-6dパリティ混成により形成されるハイブリッド奇パリティ多極子の振る舞いを実験的に明らかにし,ウラン系強相関物質に残る様々な課題を解く鍵となる新たな基礎概念を確立することを目指す。