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高強度・極短パルスレーザーを用いた一般相対論的飛翔鏡の実現

研究課題

研究課題/領域番号 23K25848
補助金の研究課題番号 23H01151 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分14010:プラズマ科学関連
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

神門 正城  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光量子科学研究所, 副所長 (50343942)

研究分担者 難波 愼一  広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (00343294)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2023年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
キーワード高強度レーザー / レーザープラズマ / 飛翔鏡 / Unruh放射 / 一般相対性理論
研究開始時の研究の概要

ほぼ光速で進む鏡は、特殊相対論に従い反射光の周波数を上げたり、パルス幅を圧縮する。このような特殊相対論的な鏡は、超高強度・極短パルスレーザーをガスプラズマ中に集光して作り出すことができている。今回、特殊相対論から進んだ、加速される鏡、一般相対論的な鏡を作り出すことに挑戦する。本研究ではレーザー生成プラズマに急峻な密度勾配を独自の方法で形成し、レーザー伝播速度を制御することで加速されるプラズマ電子の鏡を実現させる。この加速される鏡が実現できれば、等価原理により、ブラックホールを模擬した地上実験が初めて可能となり、現在観測が基盤をなす宇宙論研究が飛躍的に進展すると期待される。

研究実績の概要

今年度は、飛翔鏡実験の準備として、2つのビーム発生光学系の設計と製作を行なった。ビーム振分け用の角形エッジミラーを作成し、性能を確認し仕様どおりであることを確認した。このミラーのホルダーの製作は能登地震の影響により手配を次年度に延期したが、実験は第三年度に実施することから、実験には支障がないと考えている。
飛翔鏡の速度変化計測のための予備実験をJ-KAREN-Pレーザー(1J-20J, ~30 fs)を用いて行なった。レーザー光をF/10の光学系(焦点距離2.6 m)にて直径1mmのガスノズル(ガス水素)上に集光させた。ガスジェット中にカミソリの刃を導入することで衝撃波を生成し、衝撃波前後でレーザーの伝播速度の様子を高倍率のSchlieren 計測にて求めた。その結果、真空中の光速に対して、99.9%から94.7%の変化があることがわかった。同時に、磁気ボトル型電子分光器の試験を実施した。当初予定通り、ノズルの3軸駆動化を図り、レーザープラズマ相互作用で発生する極端紫外光によるXeのAuger電子計測(8.26 eV)に成功、電子分光計測の高度化が実施できた。また、現在ノズル内部から生ずると思われる衝撃波の対策をおこなった設計を進めた。
飛翔鏡の速度計測の新しい方法として、飛翔鏡に反射させるソース光を2つに分割し、その周波数領域の干渉により計測することを考案した。この手法の妥当性について1次元シミュレーションを進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2つのレーザー光を作る準備は最も納期のかかるミラーの製作は完了し、ミラーホルダーのみが遅れている状況である。しかし、ミラーホルダーは次年度に手配することで第三年度に計画している、飛翔鏡の速度変化計測実験には間に合う見込みである。電子分光器に関する改良も、当初の予定通り進んだ。ガスノズルの設計については、既存のノズルでの問題点である、ノズル内部からの衝撃波の生成について、対策を施した設計を行なった。製作と計測までには辿りつけなかったが、第三年度までには間に合う見通しである。
また、当初計画以上に進んだこととして次の2点がある。予備試験により、飛翔鏡を作るレーザーパルス光のプラズマ中の速度変化を高精度の計測系を立ち上げ、実施できたこと、さらに、飛翔鏡の速度計測として、2つの反射されるレーザー光の干渉を用いて行うという新しいアイデアを創出し、そのシミュレーションを開始したことである。
これらのことから、総合的に「おおむね順調に進捗している」と判断した。

今後の研究の推進方策

ミラーホルダー、ガスノズルに関しては2024年度に製作を行う予定である。2024年度には、チェコのELI-Beamlinesにて、飛翔鏡実験が採択されたため実施予定である。ELI Beamliensでの実験では、ELI Beamlinesにて準備されている、穴あきミラーを用いた2つのパルスを作り、実験を行う予定である。密度勾配を用いた飛翔鏡の実験は今回が我々にとっても(また世界的にも)初めての試みである。この手法により飛翔鏡の生成位置が安定化されることも期待しており、反射光のイメージング計測により確かめる。また、飛翔鏡の加速度計測は、プローブによるレーザー伝播計測を引き続き実施し、反射光のスペクトル計測、FROG計測を考えている。また、新しく2つの時間的に近接するソース光を反射させ、それらの干渉を用いる手法を着想したためそちらを試す予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] ELI Beamlines(チェコ)

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [国際共同研究] National Taiwan University(その他の国・地域(台湾))

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] In-vacuum post-compression of optical probe pulse for relativistic plasma diagnostics2024

    • 著者名/発表者名
      S. Lorenz, G. Grittani, K. Kondo, A. Kon, Y.-K. Liu, A. Sagisaka, K. Ogura, N. Nakanii, K. Huang, A. Bierwage, S. Namba, H. Ohiro, T. A. Pikuz, J. K. Koga, P. Chen, H. Kiriyama, M. Kando, T. Zh. Esirkepov, S. V. Bulanov, and A. S. Pirozhkov
    • 雑誌名

      High Power Laser Science and Engineering

      巻: -

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Metrology for sub-Rayleigh-length target positioning in ~10^22 W/cm^2 laser-plasma experiments2024

    • 著者名/発表者名
      Vishnyakov,Sagisaka,Ogura,Esirkepov,Gonzalez,Armstrong,Pikuz,Pikuz,Yan,Jeong,Singh,Hadjisolomou,Finke,Grittani,Nevrkla,Lazzarini,Velyhan,Hayakawa,Fukuda,Koga,Ishino,Kondo,Miyasaka,Kon,Nishikino,Nosach,Khikhlukha,Tsygvintsev,Kumar,Nejdl,Margarone,Sasorov,Weber,Kando,Kiriyama,Kato,Korn,Kondo,Bulanov,Kawachi,Pirozhkov
    • 雑誌名

      High Power Laser Science and Engineering

      巻: - ページ: 1-58

    • DOI

      10.1017/hpl.2024.11

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Uncertainties of hard x-ray spectra reconstructed from linear absorption spectrometer data2024

    • 著者名/発表者名
      Alexander S. Pirozhkov, Chris D. Armstrong
    • 学会等名
      The 71st JSAP Spring Meeting
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Burst Intensification by Singularity Emitting Radiation in relativistic plasma driven by high-power laser2024

    • 著者名/発表者名
      A. S. Pirozhkov, A. Sagisaka, K. Ogura, T. A. Pikuz, A. Bierwage, Ko. Kondo, H. Ohiro, N. Nakanii, K. Huang, A. Kon, Y. Miyasaka, M. Koike, T. Zh. Esirkepov, J. K. Koga, S. Namba, H. Kiriyama, M. Kando
    • 学会等名
      JPS Spring Meeting 2024
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Multilayer structures in coherent x-ray diagnostics in BISER and Relativistic Flying Mirror experiments2023

    • 著者名/発表者名
      A. S. Pirozhkov, A. N. Shatokhin, E. A. Vishnyakov, A. Sagisaka, K. Ogura, M. Koike, T. Hatano, H. Ohiro, S. Namba, J. K. Koga, A. O. Kolesnikov, H. Kiriyama, T. Zh. Esirkepov, T. A. Pikuz, E. N. Ragozin, S. V. Bulanov, M. Kando
    • 学会等名
      The International Conference on Physics of X-Ray and Neutron Multilayer Structures (PXRNMS)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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