研究課題/領域番号 |
23K25852
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補助金の研究課題番号 |
23H01155 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分14020:核融合学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
近田 拓未 静岡大学, 理学部, 准教授 (20614366)
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研究分担者 |
菱沼 良光 核融合科学研究所, 研究部, 准教授 (00322529)
田中 照也 核融合科学研究所, 研究部, 准教授 (30353444)
八木 重郎 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (70629021)
能登 裕之 核融合科学研究所, 研究部, 助教 (50733739)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2025年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | 被覆 / トリチウム / 腐食 / 照射 / 修復 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、核融合炉におけるトリチウム透過漏洩および腐食の低減を両立する機能性被覆開発において、これまで検討が決定的に不足していた劣化診断手法および修復技術に集中的に取り組むものである。機能性被覆開発は実用化のフェーズに入りつつあり、実際の核融合炉で利用されることを想定した保守点検技術の開発が急務である。核融合炉における機能性材料研究者がチームを組み、従来の手法に加えて電気的な応答や機械的な強度を検討することで被覆の特性を学術的に明らかにするとともに、再成膜および自己修復性の付与という独創的な修復技術の開発を通して機能性被覆の管理技術を構築し、核融合炉ブランケット材料開発を格段に進展させる。
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研究実績の概要 |
本研究は、核融合炉において深刻な課題であるトリチウム透過漏洩および腐食の低減を達成するために設置する機能性被覆開発において、これまで検討が決定的に不足していた劣化診断手法および修復技術に集中的に取り組むものである。これまで研究代表者らは、機能性被覆を用いてこれらの課題を克服する研究を進め、核融合炉実機に適用可能な諸性能を達成しつつある。一方、機能性被覆を実機で運用する場合、熱サイクル、中性子照射、腐食等の影響を評価するために、定期点検における性能評価や、劣化が認められる場合は修復や交換が必要となるが、具体的な技術は確立されていない。そこで、機能性被覆の電気化学特性、密着強度、および硬さ等の測定による簡便かつ高精度な劣化診断手法の構築、また再成膜および自己修復による修復技術開発に取り組み、機能性被覆の実機導入に向けて残された課題を解決し、核融合炉の早期実現に貢献することを本研究の目的とした。 初年度となる本年度は、主に機能性被覆の作製と劣化の導入、劣化診断に向けた各種測定、および再成膜による修復技術の検討の三項目について研究を進めた。これまで高い水素同位体透過低減性能と照射耐性が示されている酸化ジルコニウムを材料とし、低放射化フェライト鋼F82H基板上に配管内面等にも成膜可能な有機金属分解法で成膜を行った。まず、作製した酸化ジルコニウム被覆に対し、熱サイクル試験を行った。熱サイクル後に表面粗さの増加と密着強度の低下が示され、また重水素透過試験においては、熱サイクル後に透過低減性能が低下したことを確認した。さらに、同様に成膜後に熱サイクルをかけた被覆試料に対して、酸化ジルコニウム被覆を再度成膜した。この再成膜試料は、熱サイクル後と比較して、表面粗さの減少、密着強度の増加、さらに透過低減性能が一回目の成膜直後と同等以上を示したことから、劣化部分の修復が可能であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間中に実施する予定の全四項目中の三項目について取り組み、再成膜による修復が可能であることが示されたことから、おおむね順調に進展していると判断した。また、四項目目の自己修復についても先行して検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
劣化の導入方法として、熱サイクルだけでなく、重イオン照射や機械的な損傷の導入を行い、各種診断手法による評価を行う。特に重イオン照射試料では、被覆の微細構造の変化が起こる可能性があることから、電気化学インピーダンス測定などのより簡便な診断手法と従来の電子顕微鏡観察との結果の比較を通して、被覆の診断手法の確立を目指す。 修復技術の検討については、一年度目に引き続き再成膜による修復可能性を調べる。さらに、機能性被覆への自己修復性能の付与について検討を進める。ナノ粒子の分散パラメータを最適化し、凝集をさせずに被覆に均一に分散した被覆の作製を目指し、自己修復の評価に向けた各種分析を進める。
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