研究課題/領域番号 |
23K25853
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補助金の研究課題番号 |
23H01156 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分14020:核融合学関連
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
向井 啓祐 核融合科学研究所, 研究部, 准教授 (70807700)
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研究分担者 |
金 宰煥 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所フュージョンエネルギー研究所 ブランケット研究開発部, 上席研究員 (80613611)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2026年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
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キーワード | セラミックス / 事故耐性 / 核融合 / ブランケット / 水素発生 / 第一原理計算 / モンテカルロ法 / 材料化学 |
研究開始時の研究の概要 |
核融合炉の増殖ブランケットは燃料生産と熱の回収を担う重要機器であり、ベリリウム化合物によって中性子を増倍し、リチウム化合物によって燃料生産を行う。中性子増倍材であるベリリウム金属は事故時の水蒸気酸化により水素を発生する可能性がある。この水素発生反応を抑制するために金属間化合物化による水素発生量低減の研究がなされてきたが、冷却水損失事故発生時の水素発生に対する根本的な解決には至っていない。本研究では、材料探索と高温特性試験により、事故耐性の高いハイブリッドセラミックス材料を製造する。自己自給性を満たす最適構造を明らかにし、固有の安全性を持つ新しいブランケットの設計指針を示す。
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研究実績の概要 |
冷却水損失事故の発生により、ベリリウム金属間化合物の水蒸気酸化反応による水素の発生が懸念される。本研究ではブランケットの固有安全性を高める材料としてリチウムとベリリウムを含むセラミックスに着目し、本年度の研究ではブランケットの固有安定性向上を目指し、体系的に第一原理計算を実施することで熱力学的に安定なハイブリッドセラミックスを探索した。密度半関数法に基づく第一原理計算にVienna ab-initio Simulation Packageを用い、原料酸化物及び生成酸化物のトータルエネルギーを計算し、生成エンタルピー変化を求めた。結晶構造はベータ相とガンマ相(高温相)を検討し、汎関数にはPBEを用いた。四元系組成のうち、添加元素は低放射化元素である第四周期遷移金属と第14族を対象とした。SiやGeを含む相では負のエネルギー値が得られた。これらは従来材の単斜晶Li2TiO3に近い生成エネルギーを持つことから、同程度の熱力学的な安定性を持つことが予想された。一方、SnやPbを含む相は熱力学的に不安定な相であることが示唆された。Li, Be, Siはそれぞれ周辺酸素と四面体構造を形成しており、共有結合とイオン結合の両方を含むことが確認された。得られた材料を対象にモンテカルロ法による核計算を実施し、様々な組成を対象としてトリチウム増殖比と遮蔽能を計算した。この結果、特にBe濃度の高い組成においては既存のハイブリッド材料(液相)と同程度あるいはそれ以上のトリチウム増殖性能を持つことを明らかにした。本スクリーニングに関する成果はプラズマ核融合学会の年会にて報告された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在までに、初年度に計画されていた材料のスクリーニングを実施し、有力な候補材料・組成の絞り込みを行った。また、ハイブリッド材料を増殖ブランケットに装荷した場合のトリチウム増殖性能を核計算によって調べた。始発原料のバルク計算をあわせて実施し、生成反応におけるエンタルピー変化を算出した。この結果、既存材料と同程度の熱力学的安定性を持つハイブリッド材料の組成とその結晶構造を明らかにし、複数の候補組成を得ることができた。電子密度計算の結果、4元系の材料ではイオンごとに異なる化学結合状態を持つことが分かった。核計算ではこれらの材料を用いた場合のトリチウム増殖比を計算し、最適な組成や遮蔽性能の調査を概ね完了している。また、実験では合成に必要な原料の調達を完了し、現在、量子科学技術研究開発機構のベリリウム取り扱い施設にて試料合成に着手している。酸化物粉末を回転混合し、固相反応法によって複数種のハイブリッド材料の合成を行う。得られた原料粉末は示唆熱熱重量同時測定装置にて加熱を行い、合成温度や高温での安定性を明らかにする。 本研究では計画されていた材料スクリーニングを概ね完了しており、一部において研究開始時の予測とは異なる結果が得られたものの、例えばトリチウム増殖性能を改善するための知見が得られているなど、ブランケット機能性材料設計に資する成果が得られている。すでに学会での口頭発表や論文投稿を実施しており、当初の計画以上に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、2023年度で得られたシミュレーション結果をもとに、材料合成と高温化学特性評価を実施する。また、状態密度計算により、バルクの電子構造を調べる。本研究では基本的に4元系の組成を対象とし、構成元素を変化させ、化学的安定性の高い構造を明らかにする。選定されたハイブリッドセラミックスを固相反応法で合成し、結晶構造と電子構造の分析、微細組織観察を行う。得られた結晶粒サイズ、密度、構造解析結果をもとに最適な合成条件を明らかにするとともに、ハイブリッド材料中の電子構造と化学結合状態を実験的に明らかにする。原料粉末は乳鉢で混合粉砕を行い、金型でコールドプレスする。熱処理には雰囲気制御可能な電気炉を用い、不活性ガス条件で数時間の熱処理により焼結する。また、高温で蒸発に伴う質量変化を調べることで、高温化学安定性を明らかにする。得られた試料は走査型電子顕微鏡で微細構造を観察し、粒分布や元素分布明らかにする。試料は乳鉢で粉砕され、粉末X線回折によって結晶構造を調べる。X線回折結果はリートベルト解析により、結晶構造パラメータの精密化を実施し、第一原理計算との比較を行う。得られた構造をもとに第一原理計算を実施し、電子状態を調べ、化学結合状態、特に水素との相互作用に寄与する価電子の構造や分布を明らかにする。研究分担者とのオンライン会議を定期的に実施し、遠隔で計算と実験の連携をとりつつ、研究を推進したいと考えている。
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