研究課題/領域番号 |
23K25854
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補助金の研究課題番号 |
23H01157 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分14020:核融合学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
宮本 光貴 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (80379693)
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研究分担者 |
大宅 諒 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (10804750)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2026年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 核融合プラズマ対向材料 / 表面変質 / 実時間その場測定 / 分光エリプソメトリー |
研究開始時の研究の概要 |
燃焼プラズマを定常的に取り扱う核融合炉において,時々刻々と変化していくプラズマ対向材料の表面特性を実時間で正確に把握しておくことは,プラズマ制御と炉の安全性維持に関わる極めて重要な課題である. 本研究では,核融合炉定常運転環境を模擬した複合イオン照射下での材料の原子レベルでの損傷組織発達過程や材料表面の不純物堆積挙動を評価するとともに,これらの表面変質が材料のガス保持・放出特性に与える影響を定量的に把握することを目的としている. 材料表面特性のその場計測手法は,将来の定常核融合炉においても適用可能であり,核融合炉のプラズマ対向材料の診断手法としての応用も期待できる.
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研究実績の概要 |
燃焼プラズマを定常的に取り扱う核融合炉において,時々刻々と変化していくプラズマ対向材料の表面特性を実時間で正確に把握しておくことは,プラズマ制御と炉の安全性維持に関わる極めて重要な課題である. 本研究では,将来の核融合炉におけるプラズマ対向材料の有力な候補となっているタングステンを主要な研究対象とし,核融合炉定常運転環境を模擬した複合イオン照射下での材料の原子レベルでの損傷組織発達過程や材料表面の不純物堆積挙動を評価するとともに,これらの表面変質が材料のガス保持・放出特性に与える影響を定量的に把握することを目的としている. 研究初年度は表面変質の素過程を理解するために,島根大学では高分解能質量分析計を導入したイオン照射装置直結型の透過型電子顕微鏡により,イオン照射下および昇温下におけるタングステン試料の微細組織変化と脱離ガスを同時に測定して,微細組織変化と重水素・ヘリウムの放出挙動の相関を調べた. また,カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)では,高密度プラズマ照射下での材料表面のその場測定を行う準備として,in-situ用高速分光エリプソメーター(米国において購入・納入)を導入した.高密度プラズマ装置PISCESを用いたその場測定を今後予定しているが,その基礎データの収集を目的として,九州大学でRFプラズマスパッタ装置を用いて作成したタングステン再堆積層によるを予備実験に取り組んだ.再堆積層の分光エリプソメトリー測定において,膜厚や成膜条件に応じて,スペクトルに検出可能な有意な変化が生じることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度にあたる昨年度は,島根大学に既設の高分解能質量分析計を導入したイオン照射装置直結型の透過型電子顕微鏡を用いて,イオン照射下および昇温下におけるタングステン試料の微細組織変化と脱離ガスを同時に測定して,微細組織変化と重水素・ヘリウムの放出挙動の相関を明らかにする研究に取り組んだ.得られた成果をすでに国内外の会議等で発表している. また,カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)では,高密度プラズマ照射下での材料表面のその場測定を行う準備として,in-situ用高速分光エリプソメーター(米国において購入・納入)を導入し,九州大学でRFプラズマスパッタ装置を用いて作成したタングステン再堆積層の模擬試料によるを予備実験を開始することができた. 全体としてはおおむね順調に研究が進展している.
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目にあたる本年度は,引き続き,島根大学において既設のイオン照射装置を用いて実験パラメータを拡張したうえで,(1)イオン照射下における損傷組織発達とガス保持特性への影響の実時間評価を行う.さらに,UCSDでは,(2)高密度混合プラズマ照射下での材料表面の特性変化を実時間その場測定するための実験装置の構築を進める予定である.UCSDの高密度プラズマ発生装置(PISCES)において,プラズマ照射下実時間測定を実施するためには,昨年度納入した分光エリプソメーターを試料を見込めるように光学系を精度よく配置する必要があるため,専用の実験フランジの設計と作製を本年度中に行う予定である. なお,研究成果の発信においては,国内外における学会,研究会において積極的に成果報告を行うとともに,広く認められた学術雑誌に多数の論文を寄稿するように努める予定である.
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