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ミュー粒子質量精度向上に向けたCW高強度レーザーによるMu1S-2S遷移精密分光

研究課題

研究課題/領域番号 23K25881
補助金の研究課題番号 23H01185 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
研究機関岡山大学

研究代表者

今井 康貴  岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任助教 (30888342)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2023年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
キーワードミューオニウム / レーザー分光 / 周波数測定 / 基礎物理定数 / レーザー精密分光
研究開始時の研究の概要

本研究では,素粒子のみからなる水素様純レプトン原子ミューオニウムの1S-2S遷移の精密分光を行う.
現在ミュー粒子に関する基礎物理定数の不確かさは,ミュー粒子の質量に由来する不確かさにより大きく制限されている.ミュー粒子は強い相互作用の影響を受けないため,その物理定数の精密測定は量子電磁力学のみならず,電弱スケールの新物理の探索へともつながる.
本研究課題では高出力の連続波発振(CW)レーザー分光系を開発し,ミューオニウム1S-2S遷移の精密分光を行い実験によるミュー粒子質量決定精度の改善を目指す.

研究実績の概要

本研究は,実験によるミュー粒子質量の決定精度を120 ppbから1 ppbまで向上させることを目的とする.ミュー粒子の基底準位超微細構造間周波数には,電弱効果によるシフトが-65 Hz存在することが理論計算で明らかになっている.しかし,超微細構造間周波数自体の理論計算値には515 Hzの不確かさが存在する.この不確かさは参照値であるミュー粒子質量の実験値に起因するものであり,ミューオニウム1S-2S遷移精密分光によりミュー粒子質量精度を2桁向上させることができれば,超微細構造間の不確かさは4 Hzまで低減するため,標準理論を超えた精密検証が可能となる.また,ミュー粒子の異常磁気モーメントにもミュー粒子質量は参照されるため,ミュー粒子の質量精度向上はg-2 anomalyで見えている新物理の検証にも寄与する.本年度はJ-PARCの大強度μ粒子ビームラインでパルスレーザーを用いた1S-2S遷移分光実験を行い,測定不確かさの低減に努めた.
系統誤差の一つ残留ドップラーシフトの低減を目的として,ミューオニウム生成標的であるエアロゲルを2層化し,レーザーと相互作用するミューオニウムの速度分布の対称化を試みた.結果,これまで使用していた単相の生成標的使用時よりも残留ドップラーシフトを低減させることに成功した.また,光周波数コムによるレーザーの周波数安定化を行い,周波数安定度を1.3 MHzから50 kHzにまで改善した.信号の統計量に関しては,244 nm発生に使用する非線形光学結晶をリチウムトリボレートに変更し,パルスレーザーの空間モードを改善することで,1S-2S遷移の対向二光子励起の効率を向上させ,先行研究の約130倍の信号レートを達成した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り,信号レートの向上やミューオニウム生成標的2層化による残留ドップラーシフトの低減等,1S-2S遷移周波数測定における不確かさの低減に向けた研究を行った.パルスレーザー実験での不確かさ目標1MHzを達成する目処は立ったが,2層標的を保持するホルダーが帯電し,不随意な電場による周波数シフトが生じる問題が起こったため,残留ドップラーシフトの対策の改善が必要となったため,若干遅れが見込まれる.

今後の研究の推進方策

上述の問題の対策として,ミューオニウム生成標的ではなくレーザー系の改良による残留ドップラーシフト低減を予定している.具体的にはレーザーとミューオニウムの相互作用部分に光共振器を組み,対向するレーザー波面を一致させることで残留ドップラーシフトを抑制する.この方法はCWレーザー分光でも有用である.また並行して高出力の244 nm CW光源の開発も行う.

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ミューオニウム1S-2Sパルスレーザー分光 III2023

    • 著者名/発表者名
      今井康貴, 足立泰平, 原秀明, 平木貴宏, 池戸豊, 石田勝彦, Saeid Kamal, 上岡修星, 河村成肇, 幸田章宏, 増田孝彦, 三部勉, 宮本祐樹, 嵯峨航, 下村浩一郎, Patrick Strasser, 鈴木一仁, 植竹智, 山基真佑, 山崎高幸, 吉田光宏, 吉村浩司, Ce Zhang
    • 学会等名
      日本物理学会第78回年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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