研究課題/領域番号 |
23K25891
|
補助金の研究課題番号 |
23H01195 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山崎 剛 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (00511437)
|
研究分担者 |
藏増 嘉伸 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (30280506)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2025年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2024年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
|
キーワード | 素粒子理論 / 格子QCD |
研究開始時の研究の概要 |
標準模型を超える未知の物理探索は、素粒子物理学における喫緊の課題である。本申請課題の目的は、世界初となる現実的クォーク質量かつ巨大体積での格子QCD精密計算により、強い相互作用効果の理論的不定性を低減し、標準模型を超える物理の間接的・直接的探索研究を実施することである。本研究では、これまでの研究で一定の成果を上げている間接的探索に関する研究を発展させることを第一の目標とする。それに加え、将来の格子QCD計算の更なる高精度化を見据え、これまでの我々の計算では扱っていなかったアップ・ダウンクォークの違いを取り入れた計算方法の開発研究も行う予定である。
|
研究実績の概要 |
素粒子物理学における喫緊の課題である、標準模型を超える未知の物理探索に関する理論的不定性を削減するための研究を行った。未知の物理現象探索のための理論計算には、強い相互作用の効果による不定性が存在している。この不定性を削減する計算方法として、強い相互作用の第一原理計算が可能な格子QCDに期待が寄せられているが、まだ十分な精度での計算を実行することは容易ではない。 本課題では、世界初となる現実的クォーク質量かつ巨大体積でゲージ配位(PACS10配位)を異なる格子間隔3点で生成し、それを用いた格子QCD精密計算により、強い相互作用効果の理論的不定性の削減を目指す。2023年度は、標準模型を超える物理の間接的探索に関係する、K中間子セミレプトニック崩壊形状因子の精密計算を実施した。2022年度までに計算が完了した格子間隔の大きな2点の計算結果に、さらに格子間隔を小さくした計算結果を加えた解析の中間結果から、統計誤差0.3%程度という高精度形状因子決定が行えた。その他にも、ニュートリノ実験で重要となる核子軸性ベクトル形状因子とそれに関係する種々の核子形状因子の精密計算を実施した。さらに、ハドロン構造と密接に関係する荷電半径を高精度に求める計算方法の研究に取り組み、その方法を用いたパイ中間子とK中間子の荷電半径の高精度計算を開始した。 これらの研究成果は、毎年開催されるLattice国際会議やその他の国際会議、国内研究会で発表し、国際会議報告や学術雑誌Physical Review Dで報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のようにK中間子セミレプトニック崩壊形状因子計算、および核子形状因子計算、中間子荷電半径計算は順調に進んでおり、今後も着実な進展が見込まれる。
|
今後の研究の推進方策 |
K中間子セミレプトニック崩壊形状因子計算は、全ての格子間隔3点の計算結果を用いた現在の解析結果を論文として取りまとめ、学術雑誌へ投稿する計画である。その後、これまでの計算には含まれていなかったチャームクォーク真空偏極効果を取り入れた計算を実施し、その系統誤差の大きさを議論する。 核子形状因子計算については、最も小さい格子間隔のPACS10配位を用いた計算を継続し、各形状因子について連続極限での値を見積もることが今後の目標となる。 中間子荷電半径計算は、最も大きな格子間隔のPACS10配位を用いて、新しい計算方法を用いることで、従来の計算方法と比較し、どの程度の高精度計算が実現可能かを調査することが今後の目標の一つである。
|