研究課題/領域番号 |
23K25895
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補助金の研究課題番号 |
23H01199 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
横井 喜充 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (50272513)
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研究分担者 |
政田 洋平 福岡大学, 理学部, 准教授 (30590608)
滝脇 知也 国立天文台, 天文シミュレーションプロジェクト, 准教授 (50507837)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2027年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2026年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2025年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | 超新星 / 乱流 / サブグリッド・スケール・モデル / 中性子星 / プラズマ / 超新星爆発 / 原始中性子星 / 乱流モデル / 非平衡効果 / データ解析 / 磁場 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
大質量星の終末期,重力崩壊から超新星爆発,中性子星の誕生に至る動的進化ダイナミクスは、謎のヴェールに包まれている.最新の大型計算機をもってしても,超新星内部の乱流を直接解像することは不可能である.本研究で目指すのは,プラズマ乱流のサブグリッドモデルの開発による超新星研究の革新である.自己無撞着なモデルを構築する.モデルの妥当性は,局所シミュレーションと物理組込型深層学習によって検証される.星の終末期の動的進化ダイナミクスを記述する平均場モデルを開発する.親星の金属量,自転,磁場などを変えた幾多の条件に対しての重力崩壊シミュレーションが可能となり,大質量星の終末期の標準理論の確立が期待される.
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研究実績の概要 |
大質量星の終末期,鉄核の重力崩壊から超新星爆発,そして中性子星の誕生に至る動的進化ダイナミクスは、未だ謎のヴェールに包まれている.本研究では,プラズマ乱流のサブグリッドモデルの開発による超新星研究の革新を進めている.具体的には,重力崩壊型超新星のパラメトリックなシミュレーションから超新星乱流テンプレートを作成し,最新の乱流理論にもとづき自己無撞着な乱流モデルを構築している.構築した乱流モデルの妥当性は,局所シミュレーションと物理組込型深層学習(PINNs)によって検証・洗練・最適化される.最終的には,乱流モデルを低次元の方程式に落とし込むことで,星の終末期の動的進化ダイナミクスを記述する簡略な平均場モデルを開発する.本研究により,親星の重さ(金属量),自転,磁場などを変えた幾多の初期・境界条件に対しての重力崩壊シミュレーションが可能となり,系統的な超新星研究による,大質量星の終末期の標準理論の確立が期待される. 理論については,非一様・非等方で強い圧縮性に支配された非平衡プラズマにも適用可能な最新の乱流理論 [Yokoi, 2018a (強圧縮性),Yokoi, Masada & Takiwaki, 2022 (非平衡効果)] を拠り所している.従来の乱流理論は,一様等方かつ非圧縮な理想化された平衡プラズマにのみ適用可能なものであり,超新星内部のような大域的流れや衝撃波が存在する環境には適用ができなかった.この状況を打破する理論を我々はすでに世界に先駆けて獲得しており,これを応用することで超新星環境を適切に記述できる乱流モデルを構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎方程式に基づく乱流モデルの開発:平均場と乱流場を同時に考慮し解く,自己無撞着なモデリングを行っている.超新星内部では,密度・速度・温度などの非一様性,輻射,核反応,衝撃波,さらには回転や磁場など多くの時間スケールが存在する.時間スケールの変化は乱流場の平衡からのずれによってももたらされる(非平衡効果).降着流や対流プルームに沿って乱流の状態が変化すると乱流の時間スケールは平衡時の時間スケールから変化し,乱流輸送を促進したり抑制する可能性がある[Yokoi, Masada & Takiwaki, Mon. Not. Roy. Astron. Soc. 516, 2718 (2022)].このような非平衡効果を組み入れた乱流モデルを発展させた.その成果は,Yokoi,Atmosphere 14, 1013 (2023)で報告された. 局所的シミュレーションによる乱流モデルの検証と発展:モデル表現の妥当性を,まず幾何形状が簡単な局所的(ローカル)シミュレーションを用いて調べている.直接数値計算と乱流モデルを組み込んだ計算結果を比較し,モデルの妥当性を検証している.密度勾配,回転角速度,磁場の強さ,それらの相対的幾何形状,対流層の厚みといったシミュレーションの設定を変えることで,個々の物理要素とその組み合わせがどのように対流や生成磁場の性質を変え,結果として乱流輸送にどのような影響を与えるか,そしてそれはどのような条件で起きるのかを調べている.
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今後の研究の推進方策 |
開発した乱流モデルを組み入れた大域的シミュレーション:これまで発展させてきた乱流モデルを組み入れた大域的(グローバル)シミュレーションを行う.この計算には,これまでの大域的シミュレーションでは解像できなかった乱流の効果が取り入れられている.特に,局所的シミュレーションで得られた知見を基に,大域的シミュレーションの物理パラメータを変化させ,どのような条件下で超新星爆発が起きるかを精査する. 低次元簡略化乱流モデルの開発:局所的と大域的の両シミュレーションで,三次元の直接数値計算の結果と乱流モデル数値計算の比較を行う.理論的に導出した自己無撞着乱流モデルに基づき,乱流効果を輸送係数表現に取り入れることで,より低次元の計算でも超新星爆発のダイナミクスや重力崩壊に伴う原始中性子星の磁場を正しく再現できる簡略化した乱流モデルを開発する.これにより親星の重さ(金属量),自転,種磁場,対流層の厚さ,などを変えた数百から数千もの初期条件に対してシミュレーションを行うことが可能になり,系統だった超新星爆発の標準理論を構築することができる.
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