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粒子線計測実験における連続読み出しデータ収集システムの基盤化

研究課題

研究課題/領域番号 23K25902
補助金の研究課題番号 23H01206 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

五十嵐 洋一  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (50311121)

研究分担者 高橋 智則  大阪大学, 核物理研究センター, 特任研究員 (80612134)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワードDAQ / データ収集 / 粒子線計測
研究開始時の研究の概要

近年の原子核実験、素粒子実験などの粒子線検出実験はデータ量の増加を続けている。
本研究ではこの問題に対し、ストリーム型のデータ収集システムの開発・適用を行うことで解決を試みる。J-PARC ハドロン施設において複数の実験で共用可能なストリーム型データ収集システムの開発・構築を行い、ハドロン、ミュオン実験のデータ収集を行う。そこで開発したものを広く粒子線測定実験に使用可能なフレームワークとしてまとめ、他の原子核実験施設、加速器施設における適用を目指し原子核・素粒子実験コミュニティにおける共通の技術基盤として展開して行く。

研究実績の概要

2023年度においては科研費 20K04005 で開発を行ってきたストリーム型データ収集システムを実用に向けてシステムの改良を進め完成度を高めるとともに、実際の物理実験のデータの取得を行うことを目標に研究開発を進めた。
まず、J-PARC ハドロンホール K1.8BR ビームラインに置かれた J-PARC E50 実験のための検出器群に対しストリーミングデータ収集を適用しデータ収集を行った。この試みによりシステムの問題の洗い出しおよび解決と共にソフトウェアトリガープロセスの汎用化を行った。
次に大阪大学核物理センターのスペクトロメータ Grand Raiden の焦点面検出器の読み出しシステムに対して実際の物理実験を行うためデータ収集システムの開発を行った。ソフトウェアスケーラーの導入やプリスケールされたアンバイアスデータの記録、そしてオンラインモニタ、など通常の処理から枝分かれするようなある程度複雑な構成のデータ収集システムを開発し実験データの収集をおこなった。データ収集は成功し、今までの約40倍の速度でデータを取得することが出来た。
機能的にはストリーミングデータ収集システムのソフトウェアは初段の読み出し部においてタイムフレーム番号をイベント番号と見立てることにより、トリガー型データ収集にも適用可能である。トリガー型読み出しフロントエンドエレクトロニクス(FEE)が稼働している J-PARC E21 COMET 実験で用いられる円筒型ドリフトチェンバー検出器に対しストリーミングデータ収集ソフトウェアの適用を試みた。FEE 読み出しプログラムの開発を行い、タイムフレーム番号の代わりにイベント番号を使用することで、特に問題なく高速にデータ収集出来ることを確かめることが出来た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

開発しているストリーミング型データ収集システムについて、最低限必要とされる全ての機能、フロントエンドエレクトロニクスの読み出し、時間によるデータの切り出し、全ての機器からの時間単位のデータの収集しひとまとめにする処理、ひとまとまりのデータから興味あるイベントの抜き出し、そしてデータの記録処理、そしてそれらすべての制御までの実装を行うことが出来た。そのシステムを実際のスペクトロメーターや幾つかの検出器群の読み出しおよび物理計測に適用を行い、うまく稼働する実績を積むことが出来た。これらを持ってこのストリーム型データ収集システムは一応の実用段階に到達したといえる。
この状況をもって研究は次の段階の複雑なプロセス構成、多数のプロセスの動作、多数の計算機を使った大規模分散処理等に進むことが出来る。さらには次なる目標であるデータ収集システムの基盤化についても一歩進めることが出来る。

今後の研究の推進方策

開発しているストリーム型データ収集システムの次の課題は複雑なプロセス構成、多数のプロセスが動作している状況での動作検証、問題の洗い出し、ログシステムの開発、そして高レベルトリガーの実装である。
現状でかなり複雑なプロセス構成でデータ収集が可能になっているが、次の目標である高レベルトリガーの実現には1000プロセスほどのトリガープロセスの動作が必要である。それらに向けてデータ収集システムの構成の後段に高レベルトリガーの導入を行う。そこでは多数の高レベルトリガープロセスがワーカープロセスとして粒子識別や飛跡トラッキングなどの高度な解析処理を行いイベントの弁別を行うことになる。そのための開発を行い、システムパフォーマンスの評価、実用に必要な計算力などを見積っていくことを計画している。
また、現状では多数のプロセスがそれぞれ動作ログを出力しているが、それらを束ね問題の追跡が出来る様なログシステムの開発も行って行く予定である。これらを開発しながら検出器システムに適用を行い、問題の洗い出しと解決を進めていく。
それと並行して、J-PARC ハドロン施設で複数の実験で共用に使用できるトリガー計算機ファームの構築を行って行く予定である。研究の経過を観ながら要求される計算機アーキテクチャ、CPU でいくのか、GPU を入れるのか、FPGA ベースのアクセラレータを導入するのかを検討し、構築を行って行く予定である。
また、開発しているストリーム型データ収集は実用的になってきた。これらについてドキュメンテーション、パッケージングを進め、広く粒子線計測でのデータ収集システムとして使われるような基盤化を目指していく。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Construction of gas electron multiplier tracker for the J-PARC E16 experiment2024

    • 著者名/発表者名
      Murakami T.N.、Aoki K.、Ashikaga S.、En’yo H.、Gunji T.、Hamagaki H.、Ichikawa M.、Kanno K.、Kobayashi S.、Komatsu Y.、Kondo T.K.、Morino Y.、Murakami H.、Muto R.、Nakai W.、Nakasuga S. et al.
    • 雑誌名

      Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment

      巻: 1058 ページ: 168817-168817

    • DOI

      10.1016/j.nima.2023.168817

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Streaming DAQ Software Prototype at the J-PARC Hadron Experimental Facility2023

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Tomonori、Honda Ryotaro、Igarashi Youichi、Sendai Hiroshi
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Nuclear Science

      巻: 70 号: 6 ページ: 922-927

    • DOI

      10.1109/tns.2023.3262061

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] New determination of the branching ratio of the structure dependent radiative K+?→?e+νγ2023

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi A.、Ito H.、Bianchin S.、Cao T.、Djalali C.、Dongwi D.H.、Gautam T.、Gill D.、Hasinoff M.D.、Horie K.、Igarashi Y.、Imazato J.、Kalantarians N.、Kawai H.、Kimura S.、Kodama S.、Kohl M.、Lu H.、Mineev O.、Monaghan P.、Shimizu S.、Tabata M.、Tanuma R.、Toyoda A.、Yamazaki H.、Yershov N.
    • 雑誌名

      Physics Letters B

      巻: 843 ページ: 138020-138020

    • DOI

      10.1016/j.physletb.2023.138020

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Commissioning of a hadron blind detector for dielectron measurement in pA reactions at J-PARC2023

    • 著者名/発表者名
      Kanno K.、Aoki K.、Arimizu D.、Ashikaga S.、Ebata K.、Honda R.、Ichikawa M.、Kajikawa S.、Kimura Y.、Kondo T.K.、Kyan S.、Morino Y.、Murakami H.、Murakami T.N.、Nakai W.、Nakasuga S. et al.
    • 雑誌名

      Journal of Instrumentation

      巻: 18 号: 06 ページ: C06021-C06021

    • DOI

      10.1088/1748-0221/18/06/c06021

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 連続読み出しデータ収集のためのFPGA TDCを用いたsingle-slope ADCの研究2024

    • 著者名/発表者名
      高橋智則, 味村周平, 五十嵐洋一, 大田晋輔, 小林信之, 本多良太郎, 柳善永
    • 学会等名
      日本物理学会2024年春季大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] RCNP グランドライデンでの連続読み出しDAQ のオンラインフィルタ開発2024

    • 著者名/発表者名
      古川史也, 大田晋輔, 小林信之, RYU SUN YOUNG, 白鳥昂太郎, 本多良太郎, 五十嵐洋一, 馬場秀忠, 郡司卓, 堀田智明, 宮部学, 野海博之, 堂園昌伯, J.Cai, 川田敬太, 遠藤史隆, 柴北洋明, C.Lin, 高橋智則, 庄子正剛, 池野正弘
    • 学会等名
      日本物理学会2024年春季大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] J-PARCにおけるチャームバリオン分光実験のための検出器・DAQテストベンチの構築2024

    • 著者名/発表者名
      白鳥昂太郎, 五十嵐洋一, 石川貴嗣, 宇田隆佑, 大田晋輔, 小林信之, 佐久間史典, 鈴木翔太, Lin Che-Sheng, 戸田匡哉, 冨田夏希, 野海博之, 橋本直F 林双葉, 本多良太郎, 宮本憲伸, 柳善永, 他J-PARC E50コラボレーション
    • 学会等名
      日本物理学会2024年春季大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] A DAQ software framework for SRO2023

    • 著者名/発表者名
      Y. IGARASHI
    • 学会等名
      Streaming readout Workshop SRO-XI
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Overview of DAQ system of J-PARC E16 experiment2023

    • 著者名/発表者名
      Masaya Ichikawa, Ryotaro Honda, Shunnosuke Nagafusa, Wataru Nakai, Tomonori Takahashi
    • 学会等名
      6th Joint Meeting of the APS Division of Nuclear Physics and the Physical Society of Japan
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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