| 研究課題/領域番号 |
23K25918
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| 補助金の研究課題番号 |
23H01222 (2023)
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| 研究種目 |
基盤研究(B)
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| 配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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| 研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
松原 英雄 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (30219464)
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| 研究分担者 |
平原 靖大 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (30252224)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
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| キーワード | 中間赤外屈折率 / Infrared Spectroscopy / Immersion Grating / 高分散分光観測 / imersion grating / infrared spectroscopy / immersion grating |
| 研究開始時の研究の概要 |
スペースからの中間赤外高分散分光観測に必須なイマージョングレーティング(IG)の開発の上での重要技術課題の一つ、IG候補材料の極低温中間赤外線屈折率の高精度測定を、独自の装置を開発・整備して実施する。 この装置は (1)光ファイバーの切り替えにより常温でアラインメントを保証し中間赤外で測定する、 (2)二次元フーリエ分光器の導入により波長8-18 μmの測定が一挙に可能、 という二つのユニークな特徴があり、IGのみならず様々な光学材料の極低温屈折率を可視光~遠赤外線までデータベース化することができ、屈折光学系を用いた超コンパクト中間赤外観測装置の実現の道を拓く。
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| 研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、宇宙研所有の精密屈折率測定装置を波長19μmまでの中間赤外線波長、かつ極低温で実施可能な改造を実施した。改造後、本研究の目的である極低温までサンプル(CdZnTe;イマージョングレーティング候補材料)を冷却して屈折率測定を行った。 測定装置の改造のポイントは、精密かつ再現性の良い屈折率測定を実施できるようにするため、これまで手動であった回転ステージ駆動を自動駆動に改造したことである(業者による請負作業)。おもな改修は、回転台の粗動軸に直結するステッピングモータの取り付け、モータコントローラ・PC上の制御ソフトの導入、および装置既存の回転台エンコーダからの数値のPCへの取り込み回路および取り込みソフトの導入等である。これにより、要求駆動速度範囲0.2 ~ 1.0 deg/minを含む0.1 ~ 2.0 deg/minの範囲で、回転速度の安定度10%以下を十分満足する精度(0.1%以下;機械的なものに由来する変動のみ)で駆動するシステムが完成した。 完成した装置により、中間赤外線波長(10-17μm)かつ極低温から常温までのCdZnTeサンプルの屈折率の測定を実施した。中でも、10.6μmでの極低温(12K)~常温での屈折率測定結果は、6月に横浜で行われたSPIE(光学技術に関する国際学会)にて発表し、さらに10月に査読付き論文誌(JATIS)に測定装置の系統誤差の評価も含め、詳細な検討結果を投稿した。レフェリーとのやり取りを経て論文は2025年2月に受理された。 また、本年度の本来の研究である極低温における10.6μm以外の他の波長(11.5、14、17μm)での屈折率の結果は、2025年1月に行った系統誤差評価のための補足実験の結果を含め、前述のJATIS論文の主著者による博士論文としてとりまとめた(令和7年度に別論文を投稿予定)。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
原始惑星系円盤理論モデルの妥当性の重要な証拠となるスノーラインの位置を特定するにはスペースから水分子の中間赤外スペクトル線の高分散分光観測が必須である。これを実現するためには極低温イマージョングレーティング(IG)による分光装置の小型化が必要であるが、候補材料の極低温吸収係数が十分な精度で知られておらず、未だIGの実現性が示されていない。またターゲットとするスペクトル線(例えばH2Oの17.7μm)を分光イメージの適切な位置に配置するためには屈折率の絶対値が1E-3以下の精度で必要である。 本研究の課題は、スペースからの中間赤外高分散分光観測を実現するため、IG候補材料の屈折率の精密測定を、広い中間赤外波長域(12-18 μm)かつ常温~極低温(10K以下)で行うことである。このための独自の極低温・中間赤外線屈折率測定装置を開発・整備する。 令和5-6年度の研究開発により、宇宙研所有の精密屈折率測定装置を波長17μmまでの中間赤外線かつ極低温(12K)で実施可能なように改造することに成功した。これは当初目的(波長19μmまで、10K以下の極低温)をフルには達成できていないがおおむね達成できたと自己評価する。また系統誤差の評価から、現状の屈折率の測定精度の信頼性は0.1%にとどまっていることが課題として抽出された。
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| 今後の研究の推進方策 |
2024年度までの本補助金による研究計画は、当初想定に反する結果の解釈による計画変更(2023年度実績報告書C-7-1)があったものの、予定通り完了することができた。 令和7年度(最終年度)は、並行して研究分担者の平原(名古屋大学)の研究室で開発を進めてきた2D FT-IR分光器を、屈折率測定装置の検出器系として用い、波長10-18 μmまでの中間赤外波長において極低温屈折率の高精度度測定を実施し、研究成果をとりまとめる。 この2D FT-IR分光器は、入射結像面に一次元多重スリットを配置し、その出射リコリメート光をスリットの開口方向と平行(上下)に分割した平面鏡の片側(上)を直線駆動し、結像面の2次元アレイで干渉光成分を”増幅”して検出する。これを応用することで、これまで十分な感度が得られなかった波長19μmでの高精度の測定が可能になるであろう。また併せて極低温への熱流入を低減することから10K以下の極低温での測定も可能になると期待している。 さらに本年度までの研究で明らかとなったサンプルクライオスタットの真空窓による屈折の効果による系統誤差に対する対策を行う予定である。現状の装置において、サンプルの回転と合わせてサンプルクライオスタット全体が回転するため窓に対する入射角が変化してしまうことが系統誤差の原因である。そこでクライオスタットは固定し、サンプル台だけを回転する改修を磁気利用の回転導入端子を用いて実現する。
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