研究課題/領域番号 |
23K25926
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補助金の研究課題番号 |
23H01230 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松岡 彩子 京都大学, 理学研究科, 教授 (80270437)
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研究分担者 |
今城 峻 京都大学, 理学研究科, 助教 (70795848)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2027年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 磁場 / フラックスゲート磁力計 / 人工衛星 / 沿磁力線電流 / 沿磁力線ポテンシャル構造 / 磁場観測 / 観測機器開発 / 宇宙空間 / プラズマ物理 / 探査衛星 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、直流から低周波の磁場を高精度で測定するフラックスゲート磁力計に、高周波成分の磁場を検出する機能を持たせ、複数の観測点間で同期したサンプルを行い磁場変動の時間差を正確に検出することにより、プラズマの素過程における空間構造の変動方向の同定を可能とする計測システムの構築を行う。本研究により将来の衛星観測ミッションにおいて沿磁力線ポテンシャルや沿磁力線電流の構造の空間変動方向が検出出来るようになり、近地球領域におけるプラズマのエネルギー授受や輸送についての理解が増進することが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、直流から低周波の磁場を高精度で測定するフラックスゲート磁力計に、高周波成分の磁場を検出する機能を持たせ、複数の観測点間で同期したサンプルを行い磁場変動の時間差を正確に検出することにより、プラズマの素過程における空間構造の変動方向の同定を可能とする計測システムの構築を行う。本研究により宇宙空間の磁場構造の空間変動の方向を正確に求め、宇宙空間の様々なプラズマ物理現象を、空間変動の方向を正確に把握した上で考察することが可能となる。これらの現象に関連して、プラズマの加速や加熱、流入や流出を把握し、宇宙空間におけるエネルギーの流れや物質の輸送を理解する上で本研究は非常に重要である。 当該年度は、デジタル方式フラックスゲート (DFG) 磁力計について、デジタルに変換したピックアップ (PU) 信号の計算を行っている Field Programmable Gate Array (FPGA) の演算を考慮に入れた磁場計測システム全体の応答関数ののモデル化を行った。その上で、既に存在する DFG 試験用基板(観測ロケット搭載実績品と同じ設計、一軸用)とセンサを用い、動作の特性、特に周波数応答の試験を行い、モデルの結果と比較し、差異の原因を考察した。更に、PU 信号から高周波成分を取り出して出力する機能の追加を目的として、FPGA のプログラムを改修し、インターフェースを変更するための準備作業を行った。具体的には、VHDL 言語で記述された FPGA プログラムのシミュレーションと、プログラムをテストランするための環境の整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既開発のデジタル方式フラックスゲート (DFG) 磁力計は既に4回の観測ロケットへの搭載と宇宙空間の磁場観測の実績を持つ。それと同じ設計に基づいた試験用基板が既に製造済でありすぐに使用できる状況であったこと、製造を委託したメーカのエンジニアの支援がスムーズに得られたことから、速やかに実機を用いた試験を開始することが出来た。一方で、周波数特性を測定するネットワークアナライザ(既存)の設定に手間がかかっており、予定より稼働開始が遅れていることによって、磁力計システムの周波数応答データの取得をオシロスコープを用いて行うこととなった。結果としてデータ取得に時間がかかり、また、振幅・位相特性データの精度が低下した。この結果、振幅特性は目標精度を満たすデータを取得できたが、位相特性については十分な精度を持つデータを取得することができなかった。このことは、今年度の研究開発の進捗には影響を及ぼさなかったが、次年度以降の研究では、ネットワークアナライザを適切に設定することによって、位相特性も十分な精度で取得できるようにする必要がある。 試験用基板で用いている Xilinx 社製の Field Programmable Gate Array (FPGA) はバージョンが古く Spartan-3 であるため、対応する FPGA トレーナーの生産が既に中止されていたが、残っていた在庫を入手することができ、テストプログラムを走らせるための環境を整えることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
Field Programmable Gate Array (FPGA) が行っているデジタル信号処理の動作をモデルに落とし込む精度を向上させる。また、ネットワークアナライザを用い、試験用基板の振幅特性だけでなく位相特性も精度良く計測できるように環境を整備する。モデルの詳細化と測定技法の進展により、モデル計算と実機の間の周波数応答の差異を生む要因を検討しこれを縮小、最終的には解消する。その結果を元に、FPGA でピックアップ (PU) 信号の高周波成分を算出、データとして出力する演算方式を検討する。新たな演算方式を含めた FPGA プログラムの改修を行い、試験用基板に新たなプログラムを書き込んで、その周波数応答やノイズの特性がモデルと一致するかを調査する。 PU 信号の時刻精度を向上させるためには、FPGA プログラムだけではなく周囲のアナログ回路の改修も必要となる。改修したアナログ回路設計を持つ試験用基板の設計と製造を行う。この際に、FPGA を Xilinx Spartan-7 にバージョンアップし、また FPGA の言語を Verilog に変更して、将来の宇宙機への搭載に対応できるようにする。 この試験用基板で周波数応答やノイズ特性が目標とする性能を満たした後は、1つの FPGA で2軸、更には3軸2式のデジタル方式フラックスゲート (DFG) 磁力計を動作させる試験基板を製造し、その PU 信号の時間差を FPGA で正確に測定できることを検証する。
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