研究課題/領域番号 |
23K25955
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補助金の研究課題番号 |
23H01259 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
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研究機関 | 東京大学 (2024) 国立歴史民俗博物館 (2023) |
研究代表者 |
篠崎 鉄哉 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (40781597)
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研究分担者 |
後藤 和久 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10376543)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2026年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
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キーワード | 津波堆積物 / 津波浸水範囲 / 東北地方太平洋沿岸域 / 現地調査 / 地球化学分析 / 古津波 / バイオマーカー / 無機地球化学 / 環境DNA |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,津波堆積物の堆積限界より内陸において津波浸水の痕跡を化学的に検出することで,過去の津波浸水範囲推定において大きな課題であった「浸水範囲の過小評価」の問題を解決し,数値シミュレーションによってより正確な津波の規模・波源域の推定を行う.東北地方太平 洋沿岸域を対象に過去数千年の間に発生した歴史・先史津波の規模・ 波源域を再評価することで,「地球化学的アプローチによる古津波規模推定法の高度化」を達成し,巨大津波の実態解明に向けた新たな研究モデルを示す.
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研究実績の概要 |
本研究では,津波堆積物の堆積限界より内陸において津波浸水の痕跡を化学的に検出することで,過去の津波浸水範囲推定において大きな課題であった「浸水範囲の過小評価」の問題を解決し,数値シミュレーションによってより正確な津波の規模・波源域の推定を目指している. 2023年度は,福島県南相馬市で採取した試料を中心に分析・解析を進めた.西暦869年に東北地方太平洋沖で発生した貞観津波を対象にして,視認可能な津波堆積物と,その堆積限界よりも内陸側で得られた堆積物試料に対し検討を行った.その結果,視認可能な砂層の堆積限界よりも内陸側で,特徴的な粒度組成,元素組成,バイオマーカーなどの海水流入を示す痕跡を確認することができた.1000年以上前に発生した古津波を対象に,堆積物の分布限界よりも内陸で津波の浸水痕跡を検出し,浸水域を再評価した研究は本研究が世界初である.この研究から,堆積物の分布限界を超えた地域で津波流入の痕跡を見つけ出すには,単一のプロキシではなく,様々なプロキシを用いた統合的解釈が重要であることもわかった. 異なる堆積環境でも検討を進めるため,青森県太平洋沿岸域で試料採取を行った.2011年東北沖津波による堆積物を対象に,津波浸水域内の津波堆積物が視認できる地点と視認できない地点で試料を採取した.次年度以降に各種分析を行い,検討を進める.さらに,福島県の沿岸域において資料収集と教育委員会との打ち合わせを行い,次年度に掘削調査を行う準備を整えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で記したとおり,福島県南相馬市で掘削した試料に対して一定の成果を挙げることができた.この成果は既に学会等で発表を行っており,近いうちに査読付き国際学術誌に投稿予定である.また,異なる地域で試料採取が済んでおり,次年度すぐに新たな検討が可能な状況にある.さらに他の地域でも,教育委員会との打ち合わせなどから掘削の準備が整っている.以上から,研究は順調に進んでいると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
青森県太平洋沿岸域で採取した試料を中心に,津波堆積物の堆積限界よりも内陸で海水流入の痕跡の検出を目指す.さらに,福島県の沿岸域で試料の採取を行い,基礎データの取得および様々な分析を進める.
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