研究課題/領域番号 |
23K26003
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補助金の研究課題番号 |
23H01308 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
田原 大輔 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (20447907)
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研究分担者 |
小野 景子 同志社大学, 理工学部, 准教授 (80550235)
稲葉 裕 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40336574)
松浦 佑介 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (60638336)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2026年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
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キーワード | 筋骨格シミュレーション / 個体別モデル / 有限要素法 / セグメンテーション / 整形外科バイオメカニクス / 生体力学 / 有限要素解析 / 歩行解析 / 個体別モデリング / 治療戦略開拓 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,1) 自動セグメンテーションを用いた個体別筋骨格計算から得る筋力・関節反力を骨のCT-FEAに適用する計算手法の基盤構築,2) 筋骨格モデルの精度検証,解析結果の変動範囲の解明,3) 変形性股関節症患者の歩行と大腿骨骨折整復を対象とした筋力・関節反力変化と骨の応力分布の関係の解明と治療戦略の開拓である.方法として,①筋骨格シミュレーション,X線CTベースの骨モデリング,大規模FEAの連携計算フローの確立,②U-Netを用いたセグメンテーション法の開発,③モデル化の不確かさに起因する解析結果の変動範囲の解明,④個体別モデリングの妥当性検証,⑤骨疾患患者の個体別治療戦略提示を行う.
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研究実績の概要 |
個体別の筋骨格シミュレーション,骨のX線CT画像に基づくイメージベース有限要素解析手法,骨の医用画像に対する高精度なセグメンテーション(関心領域抽出)手法の連携構築および,モデル化・計算手法の骨疾患事例への適用探索の目的の下,2023年度は,先行研究で開発を進めてきたセグメンテーション技術をさらに改良するとともに,変形性股関節症患者の骨形状を筋骨格シミュレーションに反映して歩行中の筋力・関節反力を算出する手法の開発,計算手法の妥当性検証のための新鮮凍結屍体大腿骨への髄内釘挿入術に対する力学実験のための予備検討を行った.主な概要を以下に示す. 1.患者の身長・体重と歩行動作を取り込んだ筋骨格モデルに対し,骨形状の一部のみが映った医用画像から画像処理の統計的予測手法を用いて画像に映っていない骨形状を予測する手法により予測した骨形状を反映し,歩行時の関節反力・筋力を推定した.骨形状の反映の有無で推定された関節・筋力が顕著に変化し,個体別の下肢の骨形状のモデル化が重要であることが示された. 2. 大腿骨および,手首から手先を対象とし,X線CT画像から骨領域を抽出するセマンティックセグメンテーション手法を開発した.手法は,従来から用いている深層学習モデルであるU-netに加え,機械翻訳でよく用いられる深層学習モデル(Transformer)をベースモデルに加えることで,性能向上を図った.手首は細かな骨が多くセグメンテーションの難易度が高いが,データの前処理も工夫することで,性能の高いセグメンテーションが可能となった. 3. 新鮮凍結屍体大腿骨に髄内釘挿入術を行い,術後の力学試験を行った.垂直方向の不安定性はほとんど認められなかったが,水平方向の不安定性が生じていることがわかった.術前,術後のCT画像を基に,有限要素モデルを構築中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りの進展に加え,当初の計画になかった医用画像から画像処理の統計的予測手法を用いて画像に映っていない骨形状を予測する手法の予測手法を活用できる可能性を発掘することができた.また,骨のセマンティックセグメンテーションに対し,本年度は新たなモデルの提案と性能向上を確認した.さらに,学会発表も行い,ジャーナル論文も出版されている.一方,髄内釘並びの髄内釘のデータを使用するために必要な企業との契約に時間を要した.以上をふまえ,総合的にはおおむね順調に進展していると認識している.
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今後の研究の推進方策 |
1.骨形状の一部のみから医用画像に映っていない骨形状を予測する手法の妥当性の検証を進める.予測した下肢の骨形状を筋骨格モデルに反映して関節反力・筋力を推定した場合と,下肢全体のCT画像のセグメンテーションにより作成した骨形状を反映して関節反力・筋力を推定した場合とで結果を比較する.また,骨形状と同様に解析結果に影響を与えると考えられる骨強度の反映のため,筋断面積(筋繊維に垂直な断面)の算出方法を検討する.筋繊維が必ずしも筋の長手方向と同一でない筋が複数あるため,これを解決できる手法の開発・検討を行う. 2. セマンティックセグメンテーション手法のさらなる開発のため,一般画像のセマンティックセグメンテーションのstate-of-the-artであるMask2Formerをベースモデルとした手法の提案を考えている.Mask2Formerは学習画像が比較的多く必要であるが,セグメンテーションの性能は高いと報告がある.骨画像に対する性能検証と,ベースモデルとしての適用可能性を検証する. 3. 新鮮凍結屍体大腿骨の髄内釘挿入術の事例に対して,CT画像ベースの有限要素解析を行い,新鮮凍結屍体を用いた力学試験との妥当性を確認するとともに,最適なCT有限要素解析のプロトコルを確立する. 4. 筋骨格モデル解析の適用対象事例の拡大を進める.具体的な次の対象として,肘部から手先の部位を対象とし,筋骨格モデルによる筋力推定とともに,それらを荷重条件として有限要素解析に与えて応力解析を行い,結果の臨床的妥当性について考察する.
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