研究課題/領域番号 |
23K26018
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補助金の研究課題番号 |
23H01323 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18030:設計工学関連
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
合同審査対象区分:小区分18030:設計工学関連、小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
矢地 謙太郎 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90779373)
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研究分担者 |
牛島 邦晴 東京理科大学, 工学部機械工学科, 教授 (00349838)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2026年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | トポロジー最適化 / 熱交換器 / マルチフィデリティ設計 / 積層造形 |
研究開始時の研究の概要 |
機械や電子機器の高性能化には排熱技術の改善が欠かせない。集積回路の超高密度化や蓄電デバイスの小型化には、それらの定格温度を実現するヒートシンクや熱交換器といった伝熱機器が必須となる。近年は自動運転やカーボンニュートラルをはじめ、熱エネルギーの効率的な制御が一層求められる時代に突入しており、究極の省エネ・小型化を実現する伝熱機器の需要は益々高まっている。この課題に対し本研究では、トポロジー最適化による高自由度の形態創成と積層造形による実証実験を統合することで、革新的な伝熱機器を設計する枠組みの体系化を目指す。
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研究実績の概要 |
機械や電子機器の高性能化には排熱技術の改善が欠かせない。集積回路の超高密度化や蓄電デバイスの小型化には、それらの定格温度を実現するヒートシンクや熱交換器といった伝熱機器が必須となる。近年は自動運転やカーボンニュートラルをはじめ、熱エネルギーの効率的な制御が一層求められる時代に突入しており、究極の省エネ・小型化を実現する伝熱機器の需要は益々高まっている。この課題に対し本研究では、トポロジー最適化による高自由度の形態創成と積層造形による実証実験を統合することで、革新的な伝熱機器を設計する枠組みの体系化を目指す。本研究は与えられた条件下における究極の伝熱機器をコンピュータ上で創成し、それをスムーズに社会実装していくための基礎研究を推進するものである。 令和5年度は、提案する枠組みの基盤となるマルチフィデリティ設計を深化させるべく、低フィデリティモデルとして新たなダルシーモデルの開発を進めた。これをナビエ-ストークス方程式を直接用いた熱流体問題の結果と比較することで、特定の条件下においては性能面で同等の結果が得られることを明らかにした。また、マルチフィデリティ設計の一環として、設計パラメータを埋め込んだ修正ダルシーモデルを構築し、網羅的に多数の流路パターンを生成することで、高い伝熱性能を有するパターンを二次元および三次元のヒートシンク設計問題で創成することに成功した。さらに、乱流モデルを用いた直接最適化についても検討し、マルチフィデリティ設計で得られる最適化結果との形態的な違いについて足がかりを得た。加えて実験機器の構築をほぼ完了し、単純なヒートシンクを対象に数値シミュレーションとの誤差を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度はマルチフィデリティ設計の基盤構築に注力し、当初の予定通りダルシーモデルを用いた熱流体トポロジー最適化を構築した。従来のダルシーモデルでは壁面での非滑り境界を表現できないことから、偏微分方程式フィルターを組み込むことで、擬似的な境界層を埋め込んだ修正ダルシーモデルを新たに開発した。本モデルのフィルター半径をマルチフィデリティ設計での設計パラメータ(シーディングパラメータ)に設定することで、多様な流路パターンを網羅的に生成できることを確認し、二次元および三次元のヒートシンク問題においてその有効性を検証した。また、マルチフィデリティ設計で得られた結果と直接最適化の違いを明確化するため、乱流モデルを用いた直接最適化についても検討した。その結果、マルチフィデリティ設計の結果では見られない形態的な特徴が直接最適化で観察されることを明らかにした。加えて、積層造形による造形と実験的検証に向けて、実験機器の構築を概ね完了することができた。単純なピンフィンやラティス構造を用いて実験を実施し、数値シミュレーションとの誤差について検証した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、これまで構築したモデルをもとに、ミクロ構造としてラティス構造を敷き詰めたヒートシンクを対象とした最適化手法について検討を行う。ラティス構造は積層造形の際にサポート材を一切用いる必要がないことから、本研究の目指す枠組みと相性が良い。ここで、複数のラティス構造に対し直接的に数値シミュレーションを実施するのは計算コストの観点から不可能であるため、均質化法により等価な材料に置き換える方法を採用する。その際、均質化された材料は本来のラティス構造に対し幾らかの誤差を含む。したがって、本研究ではこの均質化モデルを低フィデリティモデル、ラティス構造を用いたモデルを高フィデリティモデルと捉え、マルチフィデリティ法により有望な解候補の効率的な探索を実施する。合わせて、陰関数を用いたコンフォーマルマッピングの技術を活用することにより、等間隔のラティス構造ではなく、設計領域に粗密をつけた配置についても検討する。これにより、さらなる高性能化と軽量化を両立する伝熱機器の創成が期待できる。
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