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蒸気中の液滴固体面衝突における凝縮効果によるsplash発生抑制機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K26027
補助金の研究課題番号 23H01332 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分19010:流体工学関連
研究機関北海道大学

研究代表者

渡部 正夫  北海道大学, 工学研究院, 教授 (30274484)

研究分担者 小林 一道  北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80453140)
藤井 宏之  北海道大学, 工学研究院, 准教授 (00632580)
真田 俊之  静岡大学, 工学部, 教授 (50403978)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
キーワード液滴衝突 / スプラッシュ / 凝縮現象 / 分子気体論 / 表面プラズモン共鳴
研究開始時の研究の概要

本研究の目的は,「蒸気中での液滴固体表面衝突直後に生じる splash の発生条件を明らかにし,凝縮効果による splash 発生抑制機序を解明すること」である.研究代表者は,蒸気中での液滴固体表面衝突過程を観察し,凝縮効果によりsplash発生が抑制される画期的な現象を見出した.本研究では,蒸気中で液滴衝突 splash が発生するか?の問いに答える.さらに,界面近傍での凝縮現象に着目して,実験的・数値的・解析的手法を融合し,界面での凝縮過程を評価し,splash発生抑制に及ぼす凝縮効果を解明し,splash発生機序を明らかにする新たな理論モデルを構築する.

研究実績の概要

本研究の目的は,「蒸気中での液滴固体表面衝突直後に生じる splash の発生条件を明らかにし,凝縮効果による splash 発生抑制機序を解明すること」である.本研究で着目しているのは,「蒸気中で液滴衝突 splash が発生するか?の問いに,世界初の実験的証拠を提示して答え, splash 発生条件を決定する」点と「界面近傍での凝縮現象に着目して,実験的・数値的・解析的手法を融合し,界面での凝縮過程を評価し,splash 発生抑制に及ぼす凝縮効果を解明し,splash発生機序の新たな理論モデルを構築する」点である.この目的を達成するために,本年度は以下の2項目について研究を行った.
1.水蒸気中の高速液滴衝突実験に基づくsplash 発生条件の探究するために実験装置の構築を行った.実験装置は実験チャンバと蒸気発生チャンバの2つで構成される.実験チャンバは加熱・温度制御が可能となっており,蒸気発生チャンバ内で所定の圧力・温度に制御された水蒸気を減圧チャンバに導入することにより,実験チャンバ内の水蒸気の温度・圧力を制御した.水蒸気で満たされた実験チャンバ内で高速で上方に射出された衝突板を,自由落下する液滴に衝突させることにより,水蒸気雰囲気内での水液滴の高速衝突を実現させ,衝突後に発生する液膜の不安定性を検討した.
2.液滴が固体表面に衝突する直前に形成される,液滴界面と固体表面との間の極薄空気膜の時空間分布を観察するために,表面プラズモン共鳴観察システムの構築を行った.表面プラズモンを発生させるためには,観察部底部から臨界屈折率以上で光を入射させ,光を基盤表面で全反射させ,液体側にエバネッセント波を染み出させる必要がある.そのためにガラスプリズム等の光学機器を用いて光学系を構築した.液滴が基盤表面に接触する過程が観察可能であることを確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は以下の2項目について研究を行った.それぞれの研究項目について得られた重要な成果を以下に示す.
1.実験チャンバ内を60-70kPa,90-100℃程度の水蒸気で満たし,10-15m/s程度の衝突速度で水液滴を衝突板に衝突させ,衝突後の液膜進展の様子を高速度カメラを用いて観察することに成功した.splashは観察されず,固体表面に沿って滑らかに進展する液膜の流れを観察することに成功した.実験装置を構築し液滴衝突過程の観察まで到達したため,本年度研究開始時に設定した目標を達成することに成功した.しかしながら,本研究の目的としている「蒸気中で液滴衝突 splash が発生するか?の問いに,世界初の実験的証拠を提示して答え, splash 発生条件を決定する」までには至っていない.目的未達の大きな要因は衝突速度の高速化が未達である.また,実験システムの性能を限界まで突き詰めるためにも,より高温・高圧水蒸気の条件下での衝突実験を精度良く行うことが必要である.
2.液滴が固体表面に衝突する際には,液滴界面と固体表面との間に形成される極薄空気膜が排除され,空気が液滴界面と固体表面との間から排出される.この極薄気膜の排除過程が液滴衝突splashの形成に大きな役割を担っていることが予測されている.この極薄気膜が消失される直前には数nm程度となることが報告されている.その厚さの気膜を高分解能で観察するために,研究室で既に作成していたプロトタイプの表面プラズモン観察システムの光学系を改良し,高精度の入射角制御と再現性の向上をはかった.具体的には,プリズムへの入射光および反射光の光路を制御するための4枚の組鏡面の保持方法を抜本的に改良して,堅牢な光路制御システムの構築に成功した.またカメラ固定方法を見直すことにより,従前システムからは飛躍的な幾何学的精度を得ることが可能となった.

今後の研究の推進方策

これまでに構築した実験装置を用いて,引き続いて以下の2項目について検討する.
1.液滴が固体面に高速で衝突する際に,周囲気体が水蒸気の場合にsplashが発生するか:これまでに構築した実験装置を用いて,「蒸気中で液滴衝突 splash が発生するか?の問いに,世界初の実験的証拠を提示して答え, splash 発生条件を決定する」ことを試みる.衝突速度がより高速となった場合にsplashが発生するかを確認するために,より高速で衝突板を射出可能となるよう装置を改良する.具体的には現時点では単段のコイルガンの多段化を行う.コイルガンを3段もしくは4段と多段化することにより,50m/s程度の衝突速度を実現する.これまでに得られた10m/s程度での液滴衝突過程とより高速な液滴衝突過程とを比較することにより,進展液膜不安定性およびsplash発生可能性の衝突速度依存性について検討する.
2.固体表面への液滴衝突時に固体表面-気液界面間に生じる極薄空気膜の時空間挙動を,表面プラズモン共鳴観察システムで観察するとsplash発生が予測できるか:これまでに構築した観察装置を用いて,表面プラズモン共鳴観察システムの観測精度について検討する.空気・水・エタノール等の物質のSPR曲線を実験的に取得し,理論曲線と比較することにより,本観察システムの特性について把握するとともに,より高精度化のための知見を得る.金薄膜を蒸着したスライドガラス上に液滴を落下させ,splashが発生する場合と,splashが発生しない場合とでの差異が,表面プラズモン共鳴観察ではどのように顕現するかを検討する.

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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