研究課題/領域番号 |
23K26042
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補助金の研究課題番号 |
23H01347 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
千坂 光陽 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (20513310)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
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キーワード | 酸素還元反応 / 非白金 / カソード / 起動停止耐性 / 起動停止 / 加速劣化 / PEFC |
研究開始時の研究の概要 |
これまで申請者が合成してきた白金代替触媒であるチタン酸窒化物触媒は、酸化チタン相における酸素サイトに窒素原子を置換導入することにより、性能が発現することがわかっていた。 性能に支配的な窒素原子の置換導入量増大のため高温で合成すると、触媒が凝集して比表面積が低下するため、見かけの性能低下を引き起こす。 本研究では酸化チタンナノチューブを用いることで、凝集を抑えるとともに触媒組成を制御する。 窒素に加え、性能向上に寄与することを最近申請者が明らかにしてきた各種異元素を酸化チタン相のチタン/酸素サイトに置換導入する。これらが触媒性能、反応選択性、耐久性能に与える影響を解明し、目標値達成を見通す指針を得る。
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研究実績の概要 |
2023年度は、酸化チタンの形態制御と高性能化に注力した。前者についてはフラックス法を利用し、開始材料・合成温度・時間が酸化チタン粒子の繊維化に与える影響を探索した。酸化チタン粒子と混合溶融塩種をそれぞれ複数組み合わせて系統的に検討し、以下の知見を得た。酸化チタン粒子から酸化チタンナノチューブを再現性良くアスペクト比10以上で合成するのに、NaCl-NaPO3混合溶融塩が適し、開始材料の酸化チタン粒子にルチル相を含むことが繊維化に必要不可欠である。 並行して実施した後者では、新たにフッ化アンモニウムを従前の導電性窒化チタン表面に形成した酸化チタン触媒と混合してアニールする工程を検討した。本工程により、新たにアナターゼ型TiO2相とルチル型TiO2相の界面が形成され、酸素還元活性が大幅に向上した。アニール温度、時間、雰囲気とフッ化アンモニウム添加量を最適化した触媒から、これまでに報告された酸化物系触媒の中で最も高い半波電位が得られた。さらに燃料電池実用化推進協議会が定めるプロトコルを用い、加速劣化試験を実施した。可逆水素電極電位に対して1.0から1.5 Vの高電位にさらされる起動停止試験への耐久性は、所謂Fe/N/C触媒を含む全非白金触媒の中で最高レベルであり、5000回の起動停止試験後も半波電位は0.02 Vしか低下しなかった。その前後における表面元素の結合状態や形態を評価した結果、酸化チタン相の酸素サイトを置換した三種のアニオンがいずれも脱離せず、加速劣化試験中に結合状態が変わらなかったことが耐久性向上の要因であることを見出した。従前は同条件で加速劣化試験をしたのちにアニオンが脱離して性能が低下することが課題だったが、触媒を強く酸化させるフッ化アンモニウムとのアニールにより、高電位での酸化にも耐えるアニオンが残ったと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の第一目標である形態制御については予定通り順調に実施しており、求める形態の酸化チタンナノチューブが再現性良く得られている。組成制御についても予定通り進めている。 高性能化については予定を上回る進捗状況であり、特に耐久性については望外の結果を得て論文発表することができている。
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今後の研究の推進方策 |
組成の精密制御に今後重点的に取り組む。 2023年度は当初計画に無かった硫黄の置換導入により触媒性能が大幅に向上したため、次年度は特に硫黄の価数や導入量制御を検討する。 必要に応じ外部機関での委託試験も活用して、表面とバルクの元素分析を実施して性能に支配的な要因を明らかにする。 そのうえで目標値達成を見通す指針を探索する。
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