研究課題/領域番号 |
23K26043
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補助金の研究課題番号 |
23H01348 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
岡部 孝裕 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (70772713)
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研究分担者 |
岡島 淳之介 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (70610161)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2026年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
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キーワード | 氷スラリー / 液滴衝突 / 生体急冷 / 高速度赤外線イメージング / 固気液混相流 / 融解 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では熱と流れの高速同時可視化に,固気液三相流と生体内熱伝導の3次元連成数値解析を援用するプラットフォームを構築し,氷粒子を含む単一液滴の衝突現象の解明,生体急冷のための氷スラリー噴霧冷却の最適化に資する知見の獲得を目指す.特に周囲流体への固体粒子の追従性に着目し,液滴に氷粒子が含まれると衝突挙動と伝熱現象にどのような影響を与えるのかを明らかにする.本研究は熱流体工学分野の発展にとどまらず,最先端医療ニーズである「温度・衛生・空間的な制約下での生体急冷」の解決に貢献でき,その波及効果は大きい.
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研究実績の概要 |
本研究課題では,生体急冷のための氷スラリー液滴衝突現象の解明と急冷性能最大化に資する知見を得ることを最終目的とし,具体的目標として「高速度カメラと高速度赤外線カメラを用いた熱と流れの高速同時可視化システムの開発」,「諸種条件下における氷スラリー液滴衝突実験」,「固気液混相流と壁面熱伝導の連成数値解析」を設定した.本年度は①熱と流れの高速可視化法および画像解析法の開発,②OpenFOAMを用いた数値解析法の実装,③高速同時可視化システムの妥当性検証と基礎データ取得を実施した. ①研究代表者既有の高速度赤外線カメラを用いた計測系に,赤外光と可視光の波長特性を上手く利用した酸化インジウム錫スパッタ基板と高速度可視カメラを導入し,熱と流れの高速同時可視化が可能となる機能を付加した.さらに伝熱に関する項目として液滴と壁面の温度分布,熱流束分布,伝熱量,熱量,流れに関する項目として液滴の広がり・収縮挙動,氷粒子個々の速度・融解挙動,氷含有率などを詳細に評価することができる画像解析法をMATLABを用いて開発した. ②これまで構築してきた単相液滴衝突の数値解析を拡張し,固体粒子を含む液滴の衝突現象を再現可能な数値解析プログラムを実装した.多相VOF法の枠組みで固体粒子を超高粘度流体として扱い,固気液三相流を表現した.固体粒子を解像できる計算格子を適用し,固体粒子を含む液滴の壁面衝突挙動を検証した. ③水滴を用いた予備実験を実施し,構築した高速同時可視化システムと画像解析法の妥当性検証を行った.また,ポリエチレン製固体粒子を含む液滴の衝突実験を行い,融解の起こらない固気液二相液滴の基礎データを取得した.実験の結果,固体粒子の数や初期位置,ストークス数,液滴のウェーバー数が固液界面熱伝達現象に大きな影響を与えることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題では,生体急冷のための氷スラリー液滴衝突現象の解明を最終目的とし,本年度の目標を「熱と流れの同時可視化システムと画像解析法の開発」,「固体粒子を含む液滴衝突の数値解析の実装」と研究開始当初に設定していた.上記の通り,同時可視化システムの開発に加え,水滴や固体粒子を含む液滴の衝突実験を実施し,妥当性検証や基礎データの取得まで実行できた.つまり,当初予定していた計画以上に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今後,構築した同時可視化システムと画像解析法を用いて氷粒子を含む液滴の衝突実験を本格化させる予定である.液滴のレイノルズ数,ウェーバー数,氷粒子のストークス数,衝突基板のビオ数を軸とした無次元数によるデータ整理を見据え,衝突速度や液滴径,氷スラリー特性,基板熱物性をパラメータとして幅広い条件下で実験を実施する.また,本年度実装した固体粒子を含む液滴の壁面衝突の数値解析を用いて,実験だけでは検証が難しい液滴内での固体粒子の振る舞いを詳細に検証していく.
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