研究課題/領域番号 |
23K26044
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補助金の研究課題番号 |
23H01349 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡島 淳之介 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (70610161)
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研究分担者 |
坂本 勇樹 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (50845774)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,240千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 4,440千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
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キーワード | 沸騰 / 液体水素 / 伝熱 / 混相流 / 極低温 / 数値計算 / 二相流 |
研究開始時の研究の概要 |
クリーンエネルギーである水素の利用拡大に向けて、大気圧から臨界点にわたる幅広い圧力範囲での液体水素の沸騰の抑制や制御が求められている。そのため、液体水素沸騰現象の動的な挙動を明らかにすること、および熱伝達機構の解明に迫る必要がある。そこで、本研究では、幅広い圧力範囲における液体水素プール沸騰現象の全貌を明らかにし、伝熱素過程を解明することを目的とする。具体的には、初生から高熱流束領域までの液体水素プール沸騰現象の可視化、沸騰数値シミュレーションによる核沸騰孤立気泡領域の伝熱素過程評価、大気圧から臨界点にわたる液体水素の熱流体挙動を評価する。
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研究実績の概要 |
初年度である2023年度は、液体水素用の核沸騰可視化実験装置の設計・構築を行った。気密性を確保するために加熱ブロックの配置を工夫し、電源及び信号の入出力の方法を検討した。温度センサーを選定し、沸騰実験用の加熱ブロックを製作した。制作した加熱ブロックを用いて、液体窒素の核沸騰可視化実験を実施し、製作物が正常に動作することを確認した。各種計測器やバルブの選定や、真空容器の製作が完了した。 合わせて、加熱ブロックの材質が液体窒素の核沸騰現象に与える影響を評価した。銅およびステンレス鋼製の加熱面を用意し、大気開放状態の液体窒素で沸騰実験を行った。得られた沸騰曲線は加熱面の材質で大きく特性が異なっていたが、核沸騰熱伝達がミクロ液膜蒸発により支配されていると仮定し、ミクロ液膜の蒸発が加熱面表面近傍の温度変化を解析した。解析により得られた温度分布から温度計測では得られない表面の温度を推定し、推定した温度で沸騰曲線を表現したところ、両材料の沸騰曲線が概ね一致した。このように材料の熱物性を考慮した沸騰曲線の補正方法を提案した。 並行して数値計算を実施した。これまで実施してきた水に加えて、絶縁性流体であるFC-72の核沸騰の計算を行った。計算結果から、ミクロ液膜の形成特性を評価した。加熱面の温度の違いにより、ミクロ液膜の形成の有無が変わることを示した。今後は、流体の種類を極低温流体に拡張し、実験と数値計算との整合性を評価していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた実験装置の設計・製作を行った。また、液体水素用の加熱ブロックについては、計画書で予定していたセンサーよりもより高確度のものを選定した。液体窒素を用いた実験は、当初計画では製作した実験装置の予備試験の位置づけであったが、極低温環境下での材料の熱物性値の変化が沸騰に与える影響を合わせて評価するべく実験を実施した。当初予定のなかった解析モデルを構築し、実験データを整理することができた。また、数値計算についても、概ね計画書通りに流体の種類を変更し、ミクロ液膜形成過程の評価を実施できた。以上の理由により、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
計画に従い、液体水素の実験実施に向けて、実験装置および計測制御システムの構築を進める。実験装置の気密性能や断熱性能を評価し、液体窒素を用いて実験シーケンスを完成させる。以上の踏まえて、JAXAの能代ロケット実験場にて2024年度に液体水素の実験を実施する予定である。また、液体窒素の実験データを評価するために、極低温流体の対象とした核沸騰の数値計算にも着手する。
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