研究課題/領域番号 |
23K26052
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補助金の研究課題番号 |
23H01357 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高田 保之 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 特命教授 (70171444)
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研究分担者 |
喜多 由拓 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 客員助教 (40840616)
梅原 裕太郎 九州大学, 工学研究院, 助教 (80961755)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | 固液接触 / 濡れ性 / 表面構造 / 蒸発 / クエンチ点 / 液滴 / 表面性情 / スプレー冷却 |
研究開始時の研究の概要 |
スプレー冷却における急冷開始点(クエンチ点)は,冷却速度を決定する最も重要な特性点であるが,液体側の流動条件(流量,液温,液滴径,衝突速度)だけでなく,固体側の条件(温度,熱物性,表面性状)の影響により実測データがばらついて予測が困難であった.本研究では,非定常熱伝導モデルにより得られる固液界面温度を用いて実験データを整理し,クエンチ点決定の物理モデルを構築する.その際,固体側の表面状態に着目し,粗さや酸化層を人工的に付与する状態での実験データから,個々の液滴の挙動をモデル化することで,クエンチ温度の物理的な意味を明らかにし,最終的には高温面の冷却速度を高精度に予測する伝熱モデルを開発する.
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研究実績の概要 |
本研究では,大きく分けて次のAとBの2つの項目についての検討を行っている. A クエンチ点を予測する理論モデルを構築し,実験結果との比較によるモデルの妥当性の検証 B 熱力学的過熱限界温以上での固液接触の可能性に関する検討 Aについては,高温面上に蒸気膜を介した熱伝導による熱移動(膜沸騰モデル)と固液接触による非定常熱伝導による熱移動(固液接触モデル)の両者を組み合わせた理論モデルを検討中である.これまでの実験データを解析により,クエンチ点以上の温度帯では,膜沸騰モデルが支配的でクエンチ点以下では固液接触モデルが支配的となることが分かった.クエンチ点の決定については,膜沸騰下限界(極小熱流束点)で概ね予測できることが分かっているので,これを適用して表面粗さや酸化被膜の影響を検討中である. Bについては,ミクロレベルでの実験観察が困難なことから,マクロな冷却試験により得られたデータにより推測する方法に切り替えて検討することになった.そのためにレーザー加工による規則性をもたせたマイクロピラーを有するサンプルを準備し,スプレー冷却試験を実施し,それにより得られた冷却曲線にAで得られたクエンチ点予測手法を適用することで,見かけのクエンチ点を求めることにより熱力学的加熱限界温度以上での挙動を推測する試みを行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Aについては,伝熱モデルの検討に有用な種々のサンプルの実験データが蓄積されつつある.Bについては,当初検討していた手法の適用の困難さが判明したため,手法を切り替えて遂行中である.
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今後の研究の推進方策 |
Aクエンチ点を予測する理論モデルを構築し,実験結果との比較によるモデルの妥当性の検証 これまでの研究から,クエンチが発生する固液界面温度については,最新の研究によるプール沸騰の極小熱流束点の理論モデルが適用できることが判明しつつあるので,今後は,冷却開始からクエンチ発生温度に至るまでの伝熱理論モデルの構築に注力する.「研究実績の概要」で示した膜沸騰モデルと固液接触モデルの両者をいかに組み合わせて冷却曲線を予測するかが今後の焦点である.そのためには,表面粗さ,酸化被膜など種々のサンプルによるスプレー冷却試験と単一液滴による挙動観察試験の結果を蓄積することで予測モデルの精度を向上させることが有効である. B 熱力学的過熱限界温以上での固液接触の可能性に関する検討 マクロな手法に切り替えて分析に必要なデータの収集を行う.一方で,ミクロレベルの観察も視野に引き続き有効な手法の探索を継続する.
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